世界の若き天才が集結。学生スーパーコンピューター大会「ASC26」で北京大学が優勝
次世代のコンピューティングを担う世界中の若き才能たちが、中国本土の江蘇省にある無錫大学に集まりました。5日間にわたる熱い戦いを繰り広げた学生スーパーコンピューター大会「ASC26」が今週の水曜日に閉幕し、激戦の末に北京大学が優勝、清華大学が準優勝という結果に終わりました。
ASCは、ドイツのISCや米国のSCと並び、世界で最も権威ある学生向けスーパーコンピューティング大会の一つとして知られています。今年は中国本土をはじめ、米国、ドイツ、英国など世界各国から300以上のチームがエントリーし、厳しい予選を勝ち抜いた精鋭25チームが決勝の舞台に立ちました。
「限られた資源」から知能を絞り出す挑戦
決勝戦のハイライトは、48時間連続で行われた構築プロセスです。学生たちは単なるプログラマーではなく、設計者であり、エンジニアであり、最適化のスペシャリストとして、ゼロから小型のスーパーコンピューター・クラスターを構築しました。
今回の競技において特に重視されたのが、「5,000ワット」という厳格な電力制限です。これは家庭用エアコン約10台を同時に使用する程度の電力に相当します。最新の高速チップを搭載すればいいというわけではなく、いかに効率的に電力を使い、パフォーマンスを最大化させるかが勝敗の分かれ目となりました。
- 評価軸: 計算速度、エネルギー効率、アプリケーションの最適化、技術プレゼンテーション、大学間の連携。
チューリング賞受賞者であり、ASC専門委員会の委員長を務めるジャック・ドンガラ氏は、「単に速いチップを持つことが重要なのではない。1ワットの電力をいかに有効に使うか。限られたリソースから最大限の知能を引き出すことこそが、現実の世界で求められているスキルである」と、学生たちの取り組みを高く評価しています。
AIが描く未来と宇宙のシミュレーション
今年の大会では、SFの世界のような最先端テクノロジーを応用した課題が盛り込まれました。
「身体性AI(Embodied AI)」への挑戦
特に注目を集めたのが、ロボットが物理世界を理解するための世界モデルシステム「UnifoLM-WMA-0」を最適化する課題です。北京大学は、根本的なコードアーキテクチャを再構築することで、高速な推論と高品質な視覚出力を両立させた極めて効率的な推論エンジンを実現し、計算課題の栄誉ある「e Prize」を受賞しました。
宇宙の神秘を計算で解き明かす
また、中国本土で開発されたソフトウェア「AMSS-NCKU」を用いた重力波シミュレーションも大きな話題となりました。復旦大学は、革新的なヘテロジニアス・コンピューティング(異なる種類のプロセッサを組み合わせる計算手法)フレームワークを採用し、シミュレーションプロセスを大幅に加速させ、審査員に強い印象を残しました。
このほかにも、以下のような高度な課題に学生たちが挑みました。
- 量子回路シミュレーション: QiboTNを使用した計算。
- 世界モデリング: LeWorldModelによるアプローチ。
- 地球のデジタルツイン: ゴードン・ベル賞を受賞したICON気候モデルを用いた「ブルーマーブル」プロジェクトの再現。
計算速度という数値的な競争を超えて、AIや環境問題、宇宙物理学といった複雑な社会課題にどうアプローチするか。ASC26は、技術的な突破口を開くだけでなく、次世代のエンジニアたちが持つ「知的な好奇心」と「最適化の精神」を証明する場となりました。
Reference(s):
cgtn.com