ハンガリー、原油100ドル超でEUに対ロエネルギー制裁「一時停止」を提起
原油価格が1バレル100ドルを超える水準まで上昇するなか、ハンガリーのオルバン首相は2026年3月9日、EU(欧州連合)に対しロシア産の石油・ガスへの制裁を「見直し、停止すべきだ」と求めました。中東での戦争を背景にエネルギー価格が跳ね上がる局面で、EUの対ロ制裁と域内の物価・供給不安が改めて交差しています。
何が起きた?オルバン首相がEUに送った「停止要請」
オルバン首相は、欧州委員会のフォンデアライエン委員長に宛てた書簡で、ロシアのエネルギーに関する制裁の再検討と停止を提起したとしています。首相は動画でも発信し、価格高騰への対抗策として位置づけました。
背景:中東情勢の緊張で原油が急騰
報道によると、イランが報復として原油生産国の多い湾岸諸国への攻撃を行い、原油価格が急上昇しました。原油が100ドルを上回るのは、ロシア・ウクライナ紛争が続くなかでも「久しぶり」とされ、市場の不安心理が映し出されています。
ハンガリー国内では「燃料価格の上限」を導入
オルバン首相は同日、ガソリンと軽油の小売価格に上限を設ける「価格キャップ(上限措置)」を導入すると発表しました。措置は、3月10日未明(現地時間の9日深夜0時)に発効したとされます。
首相は、原油高への対応に加え、後述するウクライナとの石油供給をめぐる対立も、国内措置の理由として挙げています。
火種:ドゥルージバ・パイプラインをめぐる対立
ハンガリーと隣国スロバキアは、ロシア産原油を運ぶドゥルージバ・パイプラインの再開が遅れているとして、ウクライナ側が意図的に遅らせていると主張しています。一方、ウクライナ側は、2026年1月にロシアの攻撃で設備が損傷したためだと説明しているとされます。
内陸国である両国にとって、特定ルートへの依存度が高いことは、供給不安が起きたときに「政治問題」と「生活コスト」が直結しやすい構図でもあります。
EUの意思決定に影響も:ウクライナ支援と追加制裁を「差し止め」
オルバン首相は、いわゆる「ウクライナの石油封鎖」を理由に、ウクライナ向けのEU融資(1060億ドル規模とされる)や、対モスクワ追加制裁の新パッケージを阻む姿勢を続けていると報じられています。さらに、4月12日に予定される議会選挙を前に、ウクライナへの政治的攻勢を強めているとも伝えられました。
週末には新たな摩擦も:現金と金塊の押収
関係悪化に拍車をかけた出来事として、週末にハンガリー当局がウクライナの国有銀行職員7人を逮捕し、オーストリアから輸送中だった現金8000万ドルと金塊9本を押収したと報じられています。
ロシア側は「政治的圧力がないなら供給する」
別の動きとして、ロシアのプーチン大統領はテレビ中継の会合で、欧州側が「長期で持続的な協力」を望み、「政治的圧力から自由」であるなら、欧州の買い手に石油・ガスを供給する用意があると述べたとされます。
注目点:制裁・物価・安全保障が同時に揺れる局面
今回の論点は単純な「制裁賛否」だけではなく、次の3つが同時進行しているところにあります。
- 中東情勢によるエネルギー価格の急変
- EU域内での供給ルート(パイプライン)をめぐる対立
- ウクライナ支援と対ロ追加制裁をめぐるEUの結束
原油高が家計と産業に与える負担が増すほど、各国政府は短期の物価対策を迫られます。一方で、制裁や支援の枠組みは政治判断の積み重ねで成り立つため、合意形成には時間がかかります。3月以降、EUがどこで折り合いを探るのか、そしてウクライナ・ハンガリー間の摩擦がどこまで波及するのかが焦点になりそうです。
Reference(s):
Hungary urges EU to pause Russia sanctions as oil prices surge
cgtn.com



