中国が対米デュアルユース輸出を厳格化 半導体材料など対象
中国商務省は火曜日、米国向けの一部デュアルユース(軍民両用)品目の輸出管理を厳格化すると発表しました。半導体関連材料やグラファイト(黒鉛)などが対象となり、国際的なサプライチェーンや米中関係への影響が注目されています。
対米デュアルユース輸出を厳格化 何が変わるのか
商務省(MOC)の声明によると、中国から米国へのデュアルユース品目の輸出について、特に軍事用途に対して厳しい制限が導入されました。
- 米国の軍事ユーザー、または軍事目的向けのデュアルユース品目の輸出を禁止
- ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、アンチモン(Sb)、超硬材料に関連するデュアルユース品目の対米輸出は、原則として認めない方針
- グラファイト(黒鉛)のデュアルユース品目については、米国向け輸出の際にエンドユーザー(最終ユーザー)とエンドユース(最終用途)の審査を一段と厳格化
この決定は発表日から即日施行されており、すでに効力を持っています。中国側は、国家の安全と利益を守るとともに、拡散防止(核・生物・化学兵器などの拡散を防ぐこと)などの国際的な義務を履行するためだと説明しています。
デュアルユースとは何か
今回の措置の対象となるデュアルユース品目は、民生用(民間利用)にも軍事用にも使われ得る物品・技術・サービスを指します。声明では、特に以下のような特徴が挙げられています。
- 民間用途と軍事用途のどちらにも利用可能
- 軍事能力の増強に寄与し得る
- 大量破壊兵器やその運搬手段の設計・開発・製造・使用に関わる可能性がある
ガリウムやゲルマニウム、アンチモン、超硬材料、グラファイトといった素材は、一般的に電子機器、半導体、エネルギー関連機器など幅広い分野で使われています。その一部は、安全保障上の観点からも重要度が高い素材とみなされています。
第三国も対象に 違反時は法的責任
今回の措置は、米国への直接輸出だけでなく、第三国や第三地域を経由した迂回的な移転も強く意識した内容になっています。
声明によると、いかなる国や地域の組織や個人であっても、中華人民共和国原産の関連デュアルユース品目を、上記の規定に違反する形で米国に移転・提供した場合、法的責任が問われるとしています。
この決定は、中華人民共和国輸出管理法など中国の関連法令に基づいて行われたものであり、商務省の報道官は、法的枠組みに沿った対応であると強調しています。
中国側の見方 米国の輸出規制に対抗する動き
商務省の報道官は、今回の措置の背景として、近年の米国側の動きを挙げました。その説明は次のような内容です。
- 米国が国家安全保障の概念を拡大解釈している
- 経済・技術問題を政治化し、さらには「武器化」している
- 輸出管理措置を乱用し、中国向けの関連製品輸出を恣意的に制限している
- 複数の中国企業を制裁リストに加え、抑圧・封じ込めを図っている
報道官は、こうした米国のやり方が国際的な貿易ルール、企業の正当な権利・利益、そして世界の産業・サプライチェーンの安定を深刻に損なっていると指摘しました。
それでも「高水準の開放」を強調
一方で、中国側は対外開放の姿勢を維持する考えもあわせて示しています。報道官は、中国政府は高水準の対外開放を着実に推進しており、国家安全保障の概念を誤って一般化するいかなる行為にも反対すると述べました。
また、中国は関係する国や地域と輸出管理をめぐる対話を強化し、世界の産業・サプライチェーンの安全と安定を共に促進する用意があるとしています。つまり、今回の措置は一方的な遮断ではなく、国際的なルールと安全保障のバランスを模索する取り組みの一環だと位置づけられています。
国際サプライチェーンへの影響は
今回の対米輸出管理強化は、素材そのものがハイテク分野で広く使われていることから、国際的なサプライチェーンにも波紋を広げる可能性があります。
- ガリウムやゲルマニウム、アンチモン、超硬材料は、通信機器、半導体、特殊合金などで重要な役割を持つ素材です。
- グラファイトは、電池、電子部品などで利用される一方、一部は安全保障上も戦略的な素材とみなされています。
- エンドユーザーや最終用途の審査が厳格化されることで、企業は調達ルートや契約条件の見直しを迫られる可能性があります。
米国と中国の間では、ここ数年、輸出管理や制裁リストをめぐる応酬が続いています。今回の決定は、その流れの中で、中国側が自国の安全保障と産業基盤を守るために、輸出管理のカードを一段と明確に切ったものといえます。
日本・アジアのビジネスにとっての論点
日本を含むアジアの企業や投資家にとっても、今回の動きは対岸の火事ではありません。米国市場、中国市場の双方と取引を持つ企業は、次のような点を注視する必要があります。
- 自社が扱う製品や素材が、今回の対象となるデュアルユース品目やその関連技術に該当しないかの確認
- 米国と中国それぞれの輸出管理規制に同時に対応するためのコンプライアンス体制の強化
- 長期的な調達戦略や生産拠点の分散など、サプライチェーンのリスク管理
中国側は、関係国・地域との対話を通じて、サプライチェーンの安定を図る姿勢を示しています。今後、どのような具体的な協議やルール作りが行われるのかは、国際ビジネスにとって重要な関心事となりそうです。
デジタル技術と安全保障が交差する中で、輸出管理をめぐる動きは今後も続く可能性があります。今回の対米デュアルユース輸出管理強化は、その一つの節目として、国際ニュースや経済動向をフォローするうえで押さえておきたいトピックといえるでしょう。
Reference(s):
China tightens control over exports of dual-use items to U.S.
cgtn.com








