ブラックフライデーで存在感増す中国越境EC 米国オンライン消費が牽引
ブラックフライデーのオンラインセールが、いまや米国と中国をつなぐ「越境ECの祭典」になりつつあります。最新の商戦では、米国のネット消費が大きく伸び、中国発の越境ECプラットフォームも存在感を強めました。
米国ブラックフライデーで伸びるオンライン消費
ブラックフライデーは、米国発の大型セールとして国際ニュースでも毎年注目されています。近年は、店舗よりもオンラインで「掘り出し物」を探す動きが加速しています。
複数のデータ提供企業によると、米国ではブラックフライデー当日のオンライン消費が大きく増加しました。米メディアがアドビ・アナリティクスのデータとして伝えたところでは、11月29日のオンライン売上高は108億ドルに達し、過去最高を更新しました。
これは前年のブラックフライデーと比べて10%増、2017年の2倍以上の規模です。物価上昇が続くなかでも、自宅からスマートフォンやパソコンで価格を比較し、最もお得な商品を探すスタイルが定着してきたと言えます。
中国発越境ECプラットフォームの存在感
オンラインへのシフトは、国境をまたいだ取引を得意とする中国の越境ECにも追い風となっています。衣料品からスポーツ用品、生活雑貨まで、「メイド・イン・チャイナ」の多様で価格競争力のある商品が、世界中の消費者に直接届けられています。
ロイター通信によると、中国の越境EC大手であるShein(シーイン)、PDD傘下のTemu(ティームー)、TikTok Shopなどでは、ブラックフライデー期間の7日間(~金曜日)の売上が、前年と比べて力強い伸びを示しました。
こうした好調を支えているのが、中国の越境ECエコシステムです。製造業が集積した生産拠点、効率化が進む通関手続き、世界各地へ広がる物流ネットワークが組み合わさることで、企画から出荷までのスピードが上がり、国境を越えた大量出荷が可能になっています。
「世界のスーパー」義烏の現場
中国東部の義烏(イーウー)は、「世界のスーパー」とも呼ばれる日用品の一大供給地で、中国発の越境ECプラットフォームにとっても重要な調達拠点です。ブラックフライデーの季節は、同市にとって一年で最も忙しい時期の一つです。
スポーツ用品企業でマーケティングディレクターを務める呉廷軒(Wu Tingxuan)氏は、中国メディアに対し、「ブラックフライデーシーズンには30万~40万点の商品を在庫として準備しています。この大型プロモーションによって、期間中の売上高を前年比で20~30%伸ばしたい」と語っています。
数字で見る越境ECの拡大
中国には現在、およそ12万の越境EC輸出企業があるとされています。2024年1~9月の越境ECによる輸出入総額は、前年同期比で11.5%増加しました。世界経済の不確実性が続くなかでも、越境ECが安定した成長分野となっていることがうかがえます。
ブラックフライデーのような世界的なセールイベントは、こうした越境ECの伸びをさらに押し上げています。米国の高い消費意欲と、中国の供給力・物流網が組み合わさることで、「国境を感じさせない買い物体験」が広がっています。
日本の消費者と企業への示唆
この動きは、日本の消費者や企業にとっても無関係ではありません。スマートフォン一つで海外の商品を購入できる環境が整うなかで、買い物の選択肢と競争相手は、事実上「世界市場」へと広がっています。
- 世界中のブランドや中国企業が価格・品ぞろえで競い合い、消費者の選択肢が一段と広がる
- 日本の小売業やメーカーにとっては、価格とスピードでの競争が厳しくなる一方、越境ECを活用した海外販売のチャンスも広がる
- 環境負荷、返品・不良品対応、関税など、国境をまたぐ取引ならではのリスクをどうコントロールするかが重要な課題になる
ブラックフライデーの売上データは、米国の消費トレンドだけでなく、中国発の越境ECが世界の消費行動を変えつつあることも映し出しています。次のセールシーズンにオンラインで「購入する」を押すとき、その背後にあるグローバルなサプライチェーンや各地の経済への影響にも、少し目を向けてみると、新しい視点が得られるかもしれません。
Reference(s):
Chinese shoppers join Black Friday as e-commerce bridges borders
cgtn.com








