石破首相、Nippon Steel-U.S. Steel買収で懸念払拭をバイデン氏に要請
日本の石破茂首相が、Nippon Steel による U.S. Steel 買収計画をめぐり、日本と米国の企業界に広がる懸念の払拭をバイデン米大統領に直接求めました。日米同盟と経済安全保障が重なるこの案件は、今後の国際投資のあり方にも影響を与えそうです。
オンライン3者会談で石破首相が懸念を表明
日本の外務省によると、石破首相はバイデン大統領、フィリピンのフェルディナンド・マルコス・ジュニア大統領との3者によるオンライン会談の場で、Nippon Steel の U.S. Steel 買収問題を取り上げました。
外務省の報道官は、石破首相が次のような趣旨を伝えたと説明しています。
- 同盟国や「志を同じくする国々」の連携は、強靱なサプライチェーン(供給網)を築くうえで不可欠であること
- 経済安全保障を進めるには、企業が安心して投資できる環境づくりが重要であること
報道官は、首相が特に Nippon Steel と U.S. Steel の取引について言及したことも認めました。
日米企業界に広がる「強い懸念の声」
石破首相は会談後、記者団に対し、Nippon Steel と U.S. Steel の案件をめぐって「日本だけでなく、米国のビジネス界からも強い懸念の声が上がっている」と述べ、バイデン大統領に対してこうした不安を払拭するよう求めたと説明しました。
ここで首相が強調したのは、単なる一企業の買収案件ではなく、日米のビジネス環境全体への波及効果です。政治判断によって取引の行方が左右されるとの印象が強まれば、将来の大型投資や企業提携に慎重論が広がる可能性があります。
バイデン政権は買収を安全保障上の理由で阻止
この買収計画をめぐっては、バイデン政権が1月3日に安全保障上の理由から取引を阻止しました。そのうえで、Nippon Steel に買収案の撤回を求める命令については、6月18日まで執行を遅らせる判断が示されました。買収額は149億ドルとされています。
両社によると、この執行延期の決定は土曜日に明らかにされたということです。
Nippon Steel と U.S. Steel は、こうした大統領の対応を「違法な介入」だとして法的措置に踏み切っており、退任を控えるバイデン大統領を相手取るかたちで争う構図になっています。
経済安全保障と「レジリエントな供給網」の試金石
石破首相の発言の背景には、経済安全保障への問題意識があります。経済安全保障とは、重要物資や技術の供給を特定の国や企業に過度に依存しないようにしつつ、自国や同盟国の安定と繁栄を守ろうとする考え方です。
首相は、同盟国や志を同じくする国同士でサプライチェーンを強靱にするには、企業が中長期の投資を安心して行えることが前提になると指摘しました。今回の件で政治リスクへの不信が高まれば、インフラや基幹産業への国際投資が手控えられる懸念もあります。
日米関係への影響と、今後の焦点
Nippon Steel と U.S. Steel の案件は、日米同盟そのものを揺るがすような次元の問題ではありませんが、同盟国同士であっても経済と安全保障の境界線をどこに引くのかという、デリケートな論点を浮かび上がらせています。
今後の焦点となりそうなのは、次のような点です。
- 両社による法的争いの行方
- バイデン政権側が示す具体的な安全保障上の懸念の中身
- 日本や米国の企業界が、この案件を前例としてどのように受け止めるか
石破首相がバイデン大統領に直接懸念を伝えたことは、日本として、同盟関係を尊重しつつも企業の投資環境を守る姿勢を示したものと言えます。今回の買収問題は、日米両国が経済安全保障と市場の開放性をどのように両立させていくかを考えるうえで、一つの試金石になりそうです。
Reference(s):
Ishiba asks Biden to allay concerns over Nippon Steel-U.S. Steel deal
cgtn.com








