トランプ米大統領、ウォルマートに関税負担を要求 値上げ巡り応酬
米国のトランプ大統領が、小売大手ウォルマートに対し「関税を値上げの理由にするな」と強く批判し、関税コストを自社で負担するよう求めました。この米国の国際経済ニュースは、物価やインフレに直結するテーマとして注目されています。
トランプ大統領「ウォルマートは関税を飲み込むべきだ」
トランプ大統領は土曜日、自身のSNS「Truth Social」に投稿し、ウォルマートが関税の高騰を理由に全米の店舗での値上げを示唆していることを批判しました。投稿では、ウォルマートは昨年、予想を大きく上回る数十億ドル規模の利益を上げたと指摘したうえで、「値上げの理由を関税のせいにするのをやめるべきだ」と主張しました。
さらに大統領は、ウォルマートに対し「関税は自分たちで飲み込め(EAT THE TARIFFS)」と呼びかけ、価格を据え置くよう要求しました。「私も、あなたたちの顧客も注視している」と述べ、政治トップが物価と企業行動に直接プレッシャーをかける構図となっています。
ウォルマート側「すべての負担はできない」
ウォルマートは低価格路線で知られる米国最大の小売企業で、全米に4,000店以上を展開しています。同社のダグ・マクミロン最高経営責任者(CEO)は木曜日、新たに課された関税は、最近一部が引き下げられた水準であっても、いずれ価格引き上げを迫る要因になると説明しました。
マクミロン氏は「可能な限り価格を低く保つよう最善を尽くす」としつつも、関税によるコスト上昇の「すべてを吸収することはできない」として、一定程度の値上げは避けられないとの見方を示しています。
トランプ氏の投稿を受け、広報担当のモリー・ブレイクマン氏は声明で「私たちは常に価格を可能な限り低く抑えるよう取り組んできており、それは今後も変わらない」と強調しました。ただし、小売業の利益率はもともと小さく、「現実的には、できる限り長く価格を抑える」というスタンスだと説明しています。
同社のジョン・デービッド・レイニー最高財務責任者(CFO)によると、ウォルマートで販売される商品の約3分の1は海外からの輸入品です。関税の対象となる輸入品の比率が高いほど、価格転嫁の圧力は強まることになります。
ターゲットやベストバイも値上げを警告
関税の影響を懸念しているのはウォルマートだけではありません。米小売大手のターゲットや家電量販のベストバイなども、関税の引き上げにより今後の価格上昇が避けられない可能性をすでに警告しています。米国の消費者にとっては、日用品から家電まで幅広い商品で負担が増すリスクがあります。
インフレ鈍化の流れに「逆風」となる可能性
米金融大手ウェルズ・ファーゴのエコノミストは報告書で、エネルギーや食料品を除いたコア消費者物価指数(CPI)が、過去12カ月で2.8%上昇し、直近3カ月では年率換算2.1%の伸びにとどまっていると指摘しました。これは、米国のインフレが「緩やかではあるものの着実に低下する傾向」を続けていることを示しています。
一方で、同報告書は「関税の引き上げは、この流れを頓挫させるおそれがある」と警告しています。とくに自動車や衣料品などのモノの価格は、今後数カ月で上昇に転じるとみており、関税が企業の価格戦略を通じてインフレ率に再び上押し圧力をかける可能性を示唆しました。
誰が関税を負担するのか 消費者にとってのポイント
今回のトランプ大統領とウォルマートのやり取りは、関税のコストを「政府・企業・消費者の誰がどの程度負担するのか」という古くて新しい問いを改めて浮き彫りにしています。政府が関税を引き上げれば、企業は利益を削るか、価格を上げるか、あるいはその中間を選ばざるをえません。
- 大型小売企業がどこまで関税コストを吸収するかで、店頭価格への影響の度合いが変わる
- 複数の小売チェーンが値上げを示唆しており、競合各社の動きも価格形成に影響する
- インフレ率が落ち着きつつある中で、関税が再び物価に上昇圧力をかける可能性がある
レジで支払う最終的な価格を決めるのは、政策だけでも企業だけでもありません。今回のように、政治のメッセージと企業の判断がせめぎ合うなかで、米国の物価とインフレの行方を見極めるうえで、小売各社の発言と実際の値札の変化が今後いっそう重要になりそうです。
Reference(s):
Trump demands Walmart 'eat the tariffs' amid potential price hikes
cgtn.com








