中国の「ニュー農民」たち スマート農業と有機栽培が変える農村 video poster
中国の農村でいま、「ニュー農民」と呼びたくなる人たちが次々と現れています。スマート農業や有機農業、カフェ、法律の専門家など、多様なバックグラウンドを持つ人々が、暮らしと農業のあり方を静かに変えつつあります。
4組のニュー農民を追う国際ニュース
国際ニュース映像シリーズMeet ChinaのEpisode 35では、こうした新しい農業の担い手として4組の人物に焦点を当てています。本記事では、その内容を日本語でかみくだき、中国の農業と農村のいまを読み解きます。
スマート農業で「無人農場」をめざすBai Jianfengさん
中国中部の湖北省で、スマート農業に情熱を注ぐ農業者がBai Jianfengさんです。彼は8人のイノベーターからなるチームを率い、1770ムーの農地を管理しながら、デジタル技術を使って従来型の農業を変えようとしています。
リモートセンシング(離れた場所から作物の状態を観測する技術)や、知能的な害虫防除システムなどを組み合わせることで、日々の生育状況や病害虫のリスクをきめ細かく把握し、必要な対策を自動化しようとしているのです。彼らの目標は、今後5〜10年のうちに、完全に無人で運営できる農場を実現すること。農業の現場にテクノロジーをどう根付かせるかという問いに、実践で答えようとしています。
博士課程から畑へ 有機農業を切り開くShi Yanさん
Shared Harvestという農場を立ち上げたShi Yanさんは、農薬や化学肥料を使わない有機農業の先駆け的な存在です。かつて中国人民大学で博士号取得を目指していた彼女は、研究室から飛び出し、土と向き合う道を選びました。
Shared Harvestの畑では、作物は有機的な方法で栽培され、食卓に届くまでの過程が透明になるよう工夫されています。Shi Yanさんにとって、有機農業は単に健康な食べ物を増やすためだけではありません。環境を守り、人と自然の関係を見つめ直し、農業とは何かという私たちの考え方そのものを変えていく取り組みでもあります。
カフェからはじまる農村の文化拠点 Lang HuichenさんとWu Feiさん
都市での暮らしを離れ、地方に移り住んだのがLang HuichenさんとWu Feiさんです。2人は「Hello! Fellow Villager」と名付けたユニークなカフェを農村に開きました。このカフェは単なる飲食店ではなく、都市と農村をつなぐ小さな文化拠点として育っています。
カフェでは地元の人を積極的に雇用し、障がいのあるバリスタも働いています。さらに、親が都市で働き家を離れている子どもたちの学習をサポートするなど、地域に根ざした活動も続けています。ささやかな店舗から生まれる雇用と交流が、農村振興への希望となり得ることを、2人は日々の実践で示しています。
法律を武器に地域を支えるZhang Xiaさん
教室から田畑へ──法学の専門家であるZhang Xiaさんは、こうした言葉がぴったりのキャリアチェンジをしました。彼女は、法律の知識を農村に広め、住民自らが地域を運営していく自律を育てることに力を注いでいます。Zhang Xiaさんにとって、それこそが農村発展の鍵だと考えられているからです。
中国南部の海南省にある沿岸の村Damaoとのつながりは、その象徴的な取り組みです。Zhang Xiaさんはこの村で、住民が自分たちの権利や制度を理解し、話し合いながら地域のルールをつくっていけるよう、法律教育の種をまき続けています。農地や地域資源をどう守り分かち合うかという課題に、法律という切り口から寄り添う試みです。
ニュー農民が照らす、中国農村のこれから
Bai Jianfengさん、Shi Yanさん、Lang HuichenさんとWu Feiさん、そしてZhang Xiaさん。分野も経歴も異なる4組に共通しているのは、農業と農村を一つの産業以上のものとして捉えている点です。そこには、技術、環境、文化、法律といった要素が交差しています。
彼らの取り組みは、次のような問いを私たちに投げかけているようにも見えます。
- テクノロジーは、農業の現場で人の負担を減らしつつ、どこまで品質と持続可能性を高められるのか。
- 有機農業は、環境保護と食の安心を両立させる一つのモデルになり得るのか。
- 小さなビジネスや文化拠点は、農村コミュニティをどのように豊かにできるのか。
- 法律や制度へのアクセスは、住民主体の地域づくりをどう後押しするのか。
中国の農村で進むこうした動きは、日本を含むアジア各地で続く地方の課題を考えるうえでも、多くの示唆を与えてくれます。ニュー農民と呼べる人々の姿から、自分の身近な地域で何ができるかを静かに想像してみるきっかけになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








