BEYOND Expo 2025で見るAI最前線と中国テック 国際ニュース解説
中国のマカオ特別行政区で開幕したアジア最大級のイノベーション・サステナビリティ関連イベント「BEYOND Expo 2025」で、人工知能(AI)の最前線と中国のテック分野の存在感が改めて浮き彫りになりました。国際ニュースとしても、アジアのデジタル競争の現在地を映し出す場になっています。
アジア最大級のイノベーションイベント「BEYOND Expo 2025」
水曜日に開幕したBEYOND Expo 2025は、アジアでも有数の規模を誇るイノベーションとサステナビリティのイベントです。会場には世界各地から800社を超える企業が集まり、新しい技術やビジネスモデルを披露しました。
展示やセッションのテーマは多岐にわたり、次のような分野が紹介されています。
- 人工知能(AI)
- 拡張現実(AR)・仮想現実(VR)・複合現実(XR)
- ロボティクス
- スマートモビリティ(次世代の移動手段)
- スポーツテックなどの新興分野
その中でも、金曜日に開催されたAIサミットはとくに注目を集めました。専門家や業界リーダーが登壇し、AIの役割がどのように変化しているのか、中国のテック分野が世界でどのような位置を占めつつあるのかが議論されました。
AIサミットで飛び交ったキーメッセージ
「人間より正確」AIをどう使いこなすか
OpenAIでGo-To-Market(市場展開)責任者を務めたザック・キャス氏は、基調講演でAIの精度について強いメッセージを発しました。Sina Financeによると、キャス氏は多くの現実世界の状況で「人間の正確さはAIに及ばない」と述べ、今後は人とAIの役割分担を前提にしたビジネス設計が不可欠になると指摘しました。
同氏が特に強調したのは、「研究開発力の高さ」よりも「どれだけ広く、深くAIを使いこなせるか」という点です。最先端のモデルを開発すること以上に、日々の業務プロセスにAIを組み込み、現場レベルで活用できるかどうかが、企業の競争力を左右するとしました。
中小企業にとっては「実装の深さ」がカギ
キャス氏は、AIの価値を引き出す主役は大企業だけではないと強調しました。むしろ、中小企業やスタートアップがAIを業務に取り入れることで、これまで不可能だった生産性向上やサービスの高度化が現実になるとしています。
同氏によれば、AI活用の真の指標は「どれだけAIがビジネスオペレーションに深く統合されているか」です。例えば次のような取り組みが挙げられます。
- 営業やサポートでの問い合わせ対応をAIが支援し、人はより高度な判断に集中する
- 社内データをAIで分析し、需要予測や在庫管理を自動化する
- 文章や画像の生成をAIに任せ、企画担当者は構想や検証に時間を割く
こうした「地味だが重要な実装」が積み重なるほど、企業全体の動きは大きく変わっていくという視点です。
「知っているつもり」を疑う Mike Cai氏の警鐘
Meituの元会長であるマイク・ツァイ氏は、AIがもたらす変化を前に、既存の前提を見直す必要性を訴えました。ツァイ氏は、AIが進化するにつれて、私たちが「正しい」と信じてきた多くの前提やビジネス慣行が、実は誤っているかもしれないと指摘しました。
そのうえで、経営者や起業家に対し、現在の仕組みを前提とせずにゼロベースで問い直す「大胆なリセット」が必要だと呼びかけました。AIを単なる効率化ツールとして扱うのではなく、業界そのものの構造やビジネスモデルを組み替える契機として捉えるべきだ、という視点です。
中国テックの存在感とマカオの役割
今回のBEYOND Expo 2025は、AIやロボティクスをはじめとする高度な技術分野で、中国の企業が存在感を高めていることを示す場にもなりました。マカオ特別行政区が、国際的な企業同士をつなぐハブとして機能しつつある姿も印象的です。
世界各地から800社以上の企業が集まったことは、アジアのイノベーションに対する関心の高さを物語ります。AIやスマートモビリティといった分野で、中国の企業が重要な役割を果たしていることをうかがわせる内容だといえます。
日本・アジアの読者への3つの示唆
BEYOND Expo 2025の議論は、日本を含むアジアの企業や個人にとっても他人事ではありません。AIとの向き合い方について、次の3つのポイントが浮かび上がります。
- 「完璧な準備」を待たず、小さく試す
AI導入は、大規模なシステム刷新から始める必要はありません。社内の一つのチームや業務プロセスで試験導入し、効果と課題を見ながら段階的に広げていくやり方が現実的です。 - 技術よりも「使いこなす現場」を育てる
どのAIツールを選ぶか以上に、社員がそれを日常的に使いこなせるようにする教育やルール作りが重要です。現場の不安や疑問に向き合うコミュニケーションも欠かせません。 - 前提を疑い、「そもそも」を問い直す
ツァイ氏の指摘のように、AIの登場で「当たり前」だった業務フローやビジネスモデルそのものを見直す必要が出てきます。AIを使って何を自動化するかだけでなく、「何のためにこの仕事をしているのか」を問い直す視点が求められます。
AIは技術の話であると同時に、社会や組織のあり方を問うテーマでもあります。BEYOND Expo 2025で示された議論は、読者一人ひとりにとっても、「自分の仕事や暮らしのどこにAIを生かせるか」を考えるきっかけになりそうです。
Reference(s):
BEYOND Expo 2025 spotlights AI frontiers and China's tech prowess
cgtn.com








