中国・丹陽の眼鏡産業、米国関税の逆風下で探る活路 video poster
世界有数のレンズ生産地として知られる中国・江蘇省丹陽市が、米国の関税見直しという逆風にどう向き合っているのか。国際ニュースとしても重要な、眼鏡産業の現場を追います。
世界の「眼鏡の都」・丹陽とは
丹陽市は、世界最大級のレンズ製造拠点のひとつです。毎年4億枚を超えるレンズを生産し、世界の眼鏡市場に大きな割合を供給しているとされています。2025年現在も、その規模と集積は他の地域を圧倒しており、「眼鏡の都」と呼ばれてきました。
中国の国際メディアCGTNのビジネス番組・BizFocusの取材では、街中にレンズ関連の工場や加工業者が集まり、検査や研磨など細かな工程を分担しながら、世界中の消費者向けのレンズが生み出されている様子が伝えられました。
米国の関税見直しがもたらす不透明感
こうした中で、最近の米国の関税政策の見直しが、丹陽の企業に影を落としています。関税は輸入品にかかる税金であり、引き上げられれば米国市場での価格競争力が低下し、注文が減るおそれがあります。
番組によると、丹陽のレンズメーカーの多くは長年、米国を含む海外向け輸出を成長の柱としてきました。関税の方針が揺れるたびに、受注の見通しが立てにくくなり、設備投資や雇用計画にも慎重にならざるを得ない状況が生まれています。
競争力を保つための現場の工夫
では、企業はどのようにして競争力を維持しようとしているのでしょうか。BizFocusの取材からは、いくつかの方向性が見えてきます。
- 高付加価値レンズへのシフト:一般的な量産品だけでなく、薄型・軽量レンズや特殊コーティングなど、より高品質な製品づくりに力を入れる動きが紹介されました。関税で価格競争が厳しくなるほど、「品質で選ばれる」ことが重要になるためです。
- 自動化とデジタル化の推進:製造ラインの自動化や品質検査のデジタル化により、コストを抑えつつ安定した品質を保つ取り組みも目立ちます。人手不足への対応という意味でも、こうした投資は将来のリスク軽減につながります。
- 輸出先の多角化:米国依存を和らげるため、アジアや欧州など他の市場への販売を強化する企業もあります。市場を分散させることで、一つの国の政策変化に左右されにくい体制を目指しているといえます。
私たちのメガネ価格への影響は
日本を含む世界の消費者にとって気になるのは、「メガネの価格が上がるのかどうか」という点かもしれません。丹陽のような巨大な生産拠点が揺れれば、世界のサプライチェーン全体に影響が出る可能性があります。
ただし、実際の店頭価格には、メーカーや卸、販売店の努力や為替レートなど、多くの要因が絡みます。関税の変化がすぐに価格高騰につながるとは限りませんが、長期的には「どこで作るか」「どう付加価値をつけるか」といった戦略が、私たちの手に取る商品にも反映されていくでしょう。
関税時代に問われるサプライチェーンの「視力」
丹陽の眼鏡産業の動きは、単なる一地方都市のニュースではなく、世界のモノづくりが直面する課題を映し出しています。関税や地政学リスクが高まるなかで、企業はどこで生産し、どの市場を重視するのかという選択を迫られています。
2025年の今、国際ニュースとして丹陽を見ることは、「安くて質の良いものはどこから来ているのか」「その裏でどのような調整が行われているのか」を考えるきっかけにもなります。通勤時間の数分で触れたこの話題が、身近なメガネの向こう側にある世界経済を想像するヒントになりそうです。
Reference(s):
BizFocus Ep.128: Global eyewear hub seeks clarity amid tariffs
cgtn.com








