アメリカで食料品の値上がりが深刻なストレスに 2025年調査が示す家計不安
アメリカで食料品の値上がりが、人々の心と家計を直撃しています。2025年7月に実施された世論調査では、多くの人がスーパーのレジで感じるプレッシャーを「大きなストレス」と答えました。本記事では、この調査結果と現地の声から、アメリカの生活者が直面する物価高の実態を見ていきます。
2025年7月の調査が示す「食費は大きなストレス」
AP-NORCセンターが2025年7月10〜14日にかけて実施した最新の世論調査(回答者1,437人)によると、食料品価格の上昇はアメリカの多くの人にとって明確なストレス要因になっています。
- 約半数が、食料品のコストは「大きな」ストレスだと回答
- さらに約3分の1が、「小さな」ストレスだと回答
- ほとんど気にならないと答えたのは、全体の14%にとどまる
つまり、大多数の人が程度の差こそあれ、食料品の値上がりを負担として感じている構図が浮かび上がります。調査ではまた、住宅費の上昇や貯蓄の薄さも幅広い世代の家計を圧迫しており、そのなかでも若い成人ほど負担が重くのしかかっているとされています。
若い世代に重くのしかかる家計のプレッシャー
調査によると、上昇する家賃などの住宅コストと、十分とは言えない銀行口座の残高が、年齢を問わずアメリカ人の生活を締め付けています。その一方で、その影響はとくに若年層で大きくなっているとされています。
収入がまだ安定しにくい時期に、家賃や食費といった固定的な支出が増えれば、少しの予想外の支出でも生活が崩れやすくなります。今回の調査結果は、若い世代ほど将来への不安と日々のやりくりに挟まれている現状を示していると言えます。
「あと払い」で生活費をまかなう人が3割に
注目されるのは、支払い方法の変化です。回答者のおよそ30%が、食料品、医療、娯楽といった支出に、AfterpayやKlarnaなどの「買ってから支払う」サービス、いわゆる「あと払い」サービスを利用していると答えました。
こうしたサービスの利用は、若年層や人種的マイノリティのグループで特に高いとされています。本来は給料日まで待ってから支払うはずの費用を、分割して先送りできる仕組みは、目先の負担を軽くする一方で、日常的な支出そのものを借金的な枠組みで賄うことにもつながりかねません。
食料品や医療のような生活必需の分野で「あと払い」が広がっているという事実は、多くの家庭が毎日の支払いだけでも苦しい状況にあることを物語っています。
トランプ政権の関税政策への不安が続く
景気そのものへの見方には、やや明るさも見えています。アメリカ人の経済への自信は、2025年7月時点で小幅ながら持ち直しが見られたとされています。しかし、その裏で根強く残っているのが、ドナルド・トランプ大統領による関税政策の影響への不安です。
コンファレンス・ボード(非営利の調査機関)は、短期的な景気見通しなどには改善が見られるものの、多くの消費者にとって最大の懸念材料は依然として関税と、その結果として自分たちの家計にどのような影響が及ぶかだと指摘しています。
関税によって輸入品のコストが上がれば、最終的には消費者が支払う価格に跳ね返る可能性があります。スーパーでの食料品の値上がりや、日常生活に必要な商品の価格上昇といった形で、抽象的な「通商政策」が、非常に具体的なストレスとして感じられていると言えます。
フロリダの現場から聞こえる「毎週値上げ」の声
統計だけでなく、現場の声も深刻さを物語っています。フロリダ州フォートローダーデールで中国メディアグループ(CMG)が行った取材では、住民から物価高への切実な声が相次ぎました。
住民の一人、マリア・オリヴェイラさんは「価格が毎週、毎月のように上がっている」と話し、とくに果物の値上がりを強く実感しているといいます。スーパーに行くたびに値札が変わっている感覚は、多くの人に共通するものかもしれません。
ウリシーズ・ジェンキンスさんは、「本当に厳しい状況だ」としたうえで、「人々は食料品を買うために店に行くが、いざ行ってみると手が届くものがほとんどない」と語り、この状況を「ばかげている」と表現しました。
別の住民、メアリー・ミラーさんも「価格は耐えがたいほどだ」と話し、本来は銀行に貯金しておくはずだったお金が、いまはほとんどスーパーでの支払いに消えているとこぼしました。
こうした一つひとつの証言は、統計の背後にいる「一人の生活者」にとって、物価高がどれほど切実な問題かを具体的に示しています。
数字の向こうにある「生活のしづらさ」を読む
2025年7月の調査結果とフロリダでの証言を合わせて見ると、単なるインフレ率の数字だけでは見えにくい「生活のしづらさ」が浮かび上がります。
- 食料品価格の上昇が、日々の買い物そのものをストレスの源にしている
- 貯蓄の薄さが、「もしもの出費」に対する不安を増幅させている
- 「あと払い」サービスの利用は、当面の支払い負担を軽くしつつも、将来に返済の重さを残す可能性がある
日本の読者にとっても、食費の変化が家計や気持ちに与える影響は、決して遠い世界の話ではないはずです。アメリカで今何が起きているのかを知ることは、自分たちの暮らしと経済をどう見つめ直すかを考える一つの手がかりになります。
調査の数字と現地の声が伝えているのは、「単に物価が上がっている」という事実だけではなく、「多くの人が将来や日々の生活に不安を抱えながら暮らしている」という現実です。こうした視点を持つことで、国際ニュースは私たち自身の生活を考えるヒントにもなり得ます。
Reference(s):
Survey: Most Americans feel squeezed by rising grocery costs
cgtn.com








