経済学者が警鐘 トランプ氏の米関税政策は「混乱を生むだけ」 video poster
経済学者が警鐘 トランプ氏の米関税政策は「混乱を生むだけ」
2025年のいま、米国の関税政策をめぐる議論は、世界経済や日本にも影響する重要な国際ニュースです。米ミシガン大学の経済学者ジャスティン・ウルファーズ氏は、トランプ氏の「混乱した関税政策」はコストだけを押し上げ、製造業の雇用を取り戻す効果はないと指摘しました。
MSNBCで語られた「混乱した関税政策」
ウルファーズ氏は、米ニュース専門局MSNBCのインタビューで、トランプ氏が打ち出した米国の関税政策について厳しく評価しました。氏によると、これらの関税政策は米議会の承認を得ておらず、制度面でも異例の位置づけにあります。
同氏は、こうした関税が次のような問題を生んでいると指摘します。
- 企業や消費者のコストを押し上げている
- 政治的には注目を集めても、実体経済の改善にはつながっていない
- 特に、製造業の雇用を米国内に取り戻す効果はほとんど見られない
関税は誰の負担になるのか
関税とは、輸入品にかけられる税金の一種です。トランプ氏の関税のように、幅広い品目や特定の国・地域を対象にした関税が導入されると、次のような形で影響が広がるとされています。
- 輸入企業:仕入れ価格が上がり、利益を圧迫されやすくなります。
- 消費者:企業がコスト増を価格に転嫁すれば、日用品から家電まで物価上昇の圧力がかかります。
- サプライチェーン(供給網):部品や原材料の流れが複雑になることで、生産の遅れや追加コストが発生しやすくなります。
ウルファーズ氏は、こうしたコスト増の負担を踏まえると、トランプ氏の関税政策は「利益よりも損失の方が大きい」との見方を示しているといえます。
製造業の雇用はなぜ戻らないとされるのか
トランプ氏は一貫して、関税によって海外に移転した製造業を米国内に呼び戻し、雇用を増やすと主張してきました。しかしウルファーズ氏は、その目標は達成されていないと評価しています。
背景には、関税だけでは変えにくい構造的な要因があります。
- 自動化の進展:工場ではロボットやAIが導入され、人手を必要とする仕事自体が減っています。
- 生産拠点の長期戦略:企業は数年から十数年単位で投資計画を立てており、短期的な関税だけで拠点を大きく動かしにくい側面があります。
- コスト構造の変化:人件費、物流費、規制など、多くの要因で立地が決まるため、関税だけを上げても「総合的なコスト優位」が逆転しない場合が多いと考えられます。
その結果、関税で輸入品の価格は上がっても、国内で大きな雇用増につながらない、というのがウルファーズ氏の見立てです。
議会承認なき関税がもたらす不透明感
ウルファーズ氏は、トランプ氏の関税政策が米議会の承認を得ていない点にも注目します。米国の政治制度では、本来、通商政策は議会とも連携しながら進められるのが一般的です。
議会プロセスを十分に経ない関税は、次のような不透明感を市場にもたらします。
- ルール変更の予測が難しい:突然の関税引き上げや方針転換が起きる可能性があると、企業は長期投資を控えがちになります。
- 政治リスクの増大:政権の交代や政局の変化によって、政策が大きく振れるリスクが高まります。
こうした不確実性は、米国内だけでなく、米国と取引する海外企業や日本企業にとっても、経営判断を難しくする要因となり得ます。
日本と世界への含意
米国の関税政策は、日本を含む世界経済に波紋を広げます。2025年現在も、サプライチェーンの再編や安全保障をめぐる議論と絡みながら、通商政策は各国の重要課題となっています。
- 米国向け輸出に依存する企業にとって、関税は直接的なコスト要因になります。
- 関税の応酬が広がれば、世界全体の貿易量が縮小し、景気の下押し要因となりかねません。
- 為替や株式市場にも不安定要因として働き、個人投資家や年金運用にも影響が及ぶ可能性があります。
日本の読者にとっても、米国の関税ニュースは「遠い国の話」ではなく、自分の働き方や投資、物価にじわじわと影響し得るテーマだと言えます。
私たちが押さえておきたい3つの視点
トランプ氏の関税政策に対するウルファーズ氏の批判は、単に一人の経済学者のコメントにとどまらず、通商政策全般を考えるヒントにもなります。
- 1. コストと効果をセットで見る
関税は「自国産業を守る」という名目で語られがちですが、企業や消費者のコスト増という副作用も同時に生みます。そのバランスを冷静に見る視点が重要です。 - 2. 雇用政策と通商政策を混同しない
製造業の雇用を増やすには、職業訓練や教育、技術投資など、関税以外の政策も組み合わせる必要があります。関税だけに期待しすぎないことが大切です。 - 3. ルールの安定性を重視する
ウルファーズ氏が懸念するように、議会の承認を欠いた関税政策は、予測不可能性を高めます。ビジネスや家計にとっては、ルールが安定していること自体が重要な価値です。
ニュースを自分ごととして読むために
トランプ氏の「混乱した関税政策」は、日本から見ると一見、米国内の政治争点のようにも見えます。しかし、コスト増、雇用、ルールの安定性という論点は、日本や他の国・地域にも共通する課題です。
ウルファーズ氏の指摘を手がかりに、私たち自身も次のような問いを持ちながらニュースを追うことができます。
- その政策は、本当に誰のためになっているのか。
- 目に見えるメリットと、目立ちにくいコストの両方が語られているか。
- 短期的な人気取りではなく、長期的な制度の安定性に配慮しているか。
「読みやすいけれど考えさせられる」国際ニュースとして、トランプ氏の関税政策をめぐる議論は、これからも追いかけていく価値のあるテーマだと言えるでしょう。
Reference(s):
cgtn.com








