米政府閉鎖で世界市場に不安拡大 経済データ停止がFRBを揺るがす
米政府閉鎖が長引くなか、米国経済と国際金融市場へのリスクがじわじわと高まっています。経済指標の発表停止で米連邦準備制度理事会(FRB)の判断材料が細り、世界の投資家も米国資産への姿勢を見直し始めています。
政府閉鎖がもたらした「経済データの空白」
水曜日、米連邦政府はシャットダウン(政府機関の一部閉鎖)に入り、世界の市場参加者に不安が広がりました。米国への投資比率を見直す動きも出ています。
今回の政府閉鎖で、統計を担う政府機関が相次いで業務を停止しました。労働統計局(Bureau of Labor Statistics)などの機関が閉鎖され、毎月の雇用統計や消費者物価指数(CPI)といった重要指標の公表が遅れています。
こうした「情報の空白」は、政策運営を担うFRBにとっても大きな痛手です。FRBは今月予定されている政策会合で、追加の利下げを検討するとされていますが、最新の雇用や物価のデータがないなかで難しい判断を迫られます。
FRBをめぐる政治リスクと機能不全への懸念
市場関係者の視線は、政府閉鎖だけでなくFRBをめぐる政治的な動きにも向かっています。アバディーン・インベストメンツの副チーフエコノミスト、ルーク・バザロミュー氏は、米メディアのインタビューで、トランプ政権がFRBの「改革」にこれほど多くの政治的エネルギーを費やしていることに強い印象を受けていると語りました。
この発言は、米国の政治の機能不全が金融政策や市場に波及するのではないかという、投資家の根深い不安を映し出しています。
格下げと貿易不安が重なる「複合ショック」
今回の政府閉鎖は、米国の財政健全性をめぐる懸念が高まるなかで起きています。今年、米国の国債格付けが引き下げられたことは、財政に対する警戒感を象徴する出来事でした。
さらに、企業は関税(タリフ)の影響をすでに吸収しようとしている最中です。コールドストリーム・ウェルス・マネジメントの最高投資責任者ブライアン・シプリー氏は、米国の信用格付けの引き下げ、貿易体制の変更、そして今回の政府閉鎖といった出来事が「累積的かつ複合的に効いてくることを懸念している」と述べています。
個別には対処可能に見えるショックでも、重なり合うことで投資家心理を冷やし、資産価格の下押し要因になりかねません。
世界の「リスクオン」を冷やす可能性
政府閉鎖が長期化すれば、世界全体の「リスク選好」にブレーキがかかるとの見方も出ています。英投資会社プレミア・ミトンの最高投資責任者ニール・ビレル氏は、米メディアに対し、米政府閉鎖が長引けば、世界の投資家がリスク資産を取りにくくなると警告しました。
民間調査機関オックスフォード・エコノミクスの分析によると、部分的な政府閉鎖であっても、米国の国内総生産(GDP)成長率は週あたり0.1~0.2ポイント押し下げられるとされています。閉鎖が長期化すれば、その影響は無視できない規模になりかねません。
雇用と消費マインドへの打撃
今回の危機は、米労働市場がすでに減速の兆しを見せるなかで起きています。政府閉鎖によって、約75万人の連邦政府職員が一時帰休(レイオフ)に直面していると見積もられています。
さらに、トランプ政権は過去の政府閉鎖よりも踏み込んだかたちで、大規模な解雇の可能性も示唆しています。単に給与支払いが止まるだけでなく、職そのものが削減されるおそれがあり、経済へのダメージがより深刻かつ長期化する可能性が指摘されています。
消費マインドへの影響も見逃せません。ニューヨーク・ライフ・インベストメンツのエコノミストで市場ストラテジストのローレン・グッドウィン氏は、2018~2019年にかけて35日間続いた政府閉鎖の際、ミシガン大学の消費者調査で消費者信頼感が7%低下したと指摘しています。
雇用不安と政府への不信感が重なると、家計は支出を控えるようになります。今回の政府閉鎖が長引けば、同じようなメカニズムで消費が冷え込み、景気の下振れ要因となるリスクがあります。
これから注視すべきポイント
今回の米政府閉鎖をめぐって、市場が特に注目しているのは次の点です。
- 政府閉鎖がどの程度の期間続くのか
- 今月予定されるFRBの政策会合で、利下げや今後のガイダンスがどう示されるか
- 米国の信用格付けや国債市場に追加の圧力がかかるかどうか
- 米企業の投資計画や雇用計画に慎重姿勢が広がるかどうか
- 消費者信頼感が2018~2019年の閉鎖時と同様に落ち込むかどうか
政策の停滞が長引けば、株式や為替、債券など複数の市場でボラティリティ(価格変動)が高まりやすくなるとみる向きもあります。
短期のニュースに振り回されすぎない一方で、政治リスクが経済や市場にどう波及するのかを意識しておくことが、これからの資産運用ではより重要になりそうです。
(ロイターなどの報道内容をもとに構成しました)
Reference(s):
cgtn.com








