IMF、2025年世界成長率を3.2%に上方修正 米国関税の不透明感も警告
リード:IMF(国際通貨基金)が最新の世界経済見通しで2025年の世界成長率予測を3.2%に引き上げる一方、米国の高い関税水準と貿易政策の不透明さが世界経済のリスクになっていると警告しました。中国の成長と貿易の底堅さもあらためて示されています。
2025年の世界成長率は3.2%に上方修正、2026年は据え置き
国際通貨基金(IMF)は火曜日に公表した最新の「世界経済見通し」で、2025年の世界全体の実質成長率予測を0.2ポイント引き上げ、3.2%としました。IMFは、各国経済が貿易政策をめぐるショックに対して比較的強いレジリエンス(耐性)を示していることを理由に挙げています。
一方で、2026年の世界成長率見通しは3.1%とし、従来の予測を維持しました。IMFは、世界経済は緩やかな成長が続くとしながらも、貿易や政策の不確実性が先行きのリスク要因として残っていると指摘しています。
米国の実効関税率は約19% 貿易政策の不透明感が継続
今回のレポートでIMFが強調したのが、米国の関税をめぐる状況です。IMFによると、米国の実効関税率は依然として約19%と高水準にあります。こうした関税の引き上げが続くなかで、貿易摩擦が世界経済の見通しに影を落としていると分析されています。
IMFは、貿易政策をめぐる不確実性が依然として高い水準にあるとし、とりわけ米国では企業が将来の関税や貿易ルールを読みづらい環境に置かれていると指摘しました。このような不透明さは、企業の投資判断や雇用計画を慎重にさせる要因となり、世界の成長ペースを抑え込む可能性があります。
中国は4.8%成長見通しを維持 対外貿易は4%増と底堅い動き
中国は、今回のIMF報告でも世界経済の重要なけん引役として位置づけられています。IMFは、中国の2025年の成長率見通しを4.8%とし、従来予測を据え置きました。
貿易データでも、中国の底堅さが示されています。最新の報告によると、中国の対外貿易は2025年の最初の3四半期(1〜9月)で前年同期比4%増となりました。米国向け輸出はこの期間に減少したものの、ユーロ圏や東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国向けの輸出が伸び、その落ち込みを相殺したとされています。
これは、特定の相手国との貿易が減少しても、他の地域との取引拡大によって全体としての貿易を維持する「分散」の動きが進んでいる可能性を示しています。地域ごとに需要を開拓することで、個別の政策ショックに対するリスクを抑える構図です。
世界経済のレジリエンスと残るリスク
IMFが2025年の世界成長率見通しを引き上げた背景には、関税などの貿易ショックが続く中でも各国経済が急激な失速を避けてきたという評価があります。企業やサプライチェーン(供給網)が、市場や調達先の多様化を進めてきたことも、世界経済全体のレジリエンスを高めた要因といえます。
とはいえ、関税や貿易をめぐる政策環境が今後どう変化するかによって、成長シナリオは大きく変わり得ます。IMFは、特に米国の貿易政策を取り巻く不透明さが解消されない限り、企業や市場にとっての「予測しにくさ」が続くと警戒しています。
日本と企業にとっての含意 不確実性の中での戦略
今回のIMFの見通しは、日本を含む各国の企業や投資家にとって、今後の戦略を考えるうえで重要なシグナルです。世界経済が3%台前半の成長を続ける一方で、米国の関税政策や貿易ルールの行方は読みづらい状況が続いています。
こうした中で、日本企業には、特定の国や地域への依存度を高めすぎないことがあらためて求められます。米国市場を重視しつつも、ユーロ圏やASEANなど複数地域での展開や、供給網の多角化を進めることが、リスク管理と成長機会の両立につながりそうです。
中国やASEANをはじめとするアジア市場の動きも、今後のビジネス戦略を組み立てるうえで重要になります。IMFの最新見通しは、世界経済の数字だけでなく、その裏側で進む貿易構造の変化や企業行動のシフトを読み解き、自分たちの選択を見直すきっかけになると言えるでしょう。
Reference(s):
IMF lifts 2025 global growth to 3.2%, warns on US tariffs uncertainty
cgtn.com








