習近平氏が「新質生産力」を論じる論文 求是第22号に掲載へ
中国の習近平氏(中国共産党中央委員会総書記・国家主席・中央軍事委員会主席)が、「新質生産力」の発展を各地の実情に合わせて推進することをテーマにした論文を公表します。中国経済の今後を占うキーワードとして、国際ニュースとしても注目されます。
習近平氏の論文、求是第22号に掲載
論文は、中国共産党中央委員会の機関誌である理論誌「求是(Qiushi)」本年第22号に掲載される予定で、日曜日付の号に収録されると伝えられています。
今回の論文は、2023年9月から2025年4月にかけて習氏が行った重要な発言・講話からの抜粋に基づいて構成されており、ここ数年の経済・産業政策に関する議論を整理した内容となっています。
「新質生産力」とは何か
論文によると、新質生産力は次のような特徴を持つとされています。
- イノベーション(革新)を主な原動力とする
- ハイテク(高い技術水準)を備えている
- 高効率である
- 高品質である
- 新たな発展理念と整合的な、より高度な生産力の形態を示す
従来の「量」の拡大に重点を置いた成長ではなく、「質」や「効率」、技術力を軸にした成長像を指し示す概念と言えます。論文は、新質生産力の育成を通じて、経済全体の高度化と持続可能な発展を目指す方向性を強調しています。
科学技術イノベーションと産業イノベーションが両輪に
論文は、新質生産力の発展にとって、科学技術イノベーションと産業イノベーションという二つのルートが「基本的な道」であると位置づけています。
さらに、両者を有機的に結びつけるためには、次のような取り組みが必要だと指摘します。
- イノベーションのためのプラットフォームを構築すること
- 制度やメカニズムを改善し、研究開発から産業化までのプロセスを円滑にすること
- 企業がイノベーションの「主役」として機能できるよう、その役割を強化すること
つまり、研究機関だけでなく企業を中心に、技術開発と産業応用を一体的に進める産業エコシステムづくりが重視されています。
制度的な壁を取り除くことの重要性
論文はまた、「高品質な発展を妨げる制度的な障壁を断固として取り除く」必要性を強く訴えています。新質生産力にふさわしい制度設計やルールが整っていなければ、イノベーションの成果が十分に発揮されないという問題意識です。
あわせて、生産力と生産関係のバランスを整えること、すなわち、新しい生産力の発展に見合った企業制度や市場環境、資源配分の仕組みを整備することが求められるとしています。
第15次五カ年計画(2026〜2030年)に向けた戦略
習氏の論文は、2026〜2030年の第15次五カ年計画期間に向けた戦略的な方向性にも言及しています。この期間には、各地域が新質生産力の発展をより重視すべきだと強調します。
その際に鍵となるのが、「各地の条件に応じた推進」です。論文は、地方が一律に同じ産業を追いかけるのではなく、次のような要素を踏まえて選択的に新産業や新たなビジネスモデル、成長エンジンを育成するよう促しています。
- 資源条件(自然資源や人材などの強み)
- これまで蓄積してきた産業基盤
- 大学や研究機関などの科学研究の環境
- その他、その地域が持つ固有の優位性
これにより、各地域が自らの強みを生かしながら、新エネルギー、先端製造業、デジタル産業など、多様な新分野における成長エンジンの構築を図ることが想定されています。
国際社会が注視する理由
新質生産力の強化は、中国経済の構造転換だけでなく、世界経済やサプライチェーンにも影響を与えうるテーマです。イノベーションや産業高度化への投資が加速すれば、次のような点で国際社会も注目することになりそうです。
- ハイテク分野やグリーン産業での競争と協力の形がどう変わるか
- 国際的な研究開発ネットワークや人材交流への波及
- 各国・各地域が自国の産業政策をどう調整していくか
習近平氏の論文は、中国の長期的な経済・産業戦略を読み解くうえで、これから頻繁に引用されるキードキュメントの一つになっていく可能性があります。日本を含む周辺諸国や企業にとっても、「新質生産力」という概念がどのように具体化されていくのかを継続的に追うことが重要になりそうです。
Reference(s):
Xi's article on new quality productive forces to be published
cgtn.com








