中国とタイの50年:仏歯からEVまで「金の糸」で結ぶ友好物語 video poster
2024年12月4日、中国・北京の霊光寺に保管されていた仏陀の歯(仏歯)がタイのバンコクへと運ばれました。国交樹立50周年とタイ国王の72歳の誕生日を記念するこの出来事を起点に、中国とタイの関係は、エネルギー、産業、食文化、メディアへと「金の糸」のように広がっています。本記事では、この1年あまりの動きを手がかりに、両国のつながりを国際ニュースとして読み解きます。
仏歯がつなぐ50年の絆
2024年12月4日、北京の霊光寺に安置されていた仏歯が、約4,500キロの旅を経てタイのバンコクを目指しました。
この象徴的な移送は、次の二つの節目を記念するものです。
- 中国とタイの国交樹立50周年
- タイ国王の72歳の誕生日
仏教を通じたつながりは、両国の人々にとって精神的な共通基盤でもあります。政治や経済の関係と比べると目立ちにくい文化・宗教交流ですが、こうした行事があることで、「離れていても心は近い」という感覚が共有されやすくなります。
世界最大の水上太陽光発電プロジェクト
タイの別の地域では、再生可能エネルギーの分野で両国協力が進んでいます。中国の技術者が設置を支援した14万4,000枚の太陽光パネルが、水面に浮かぶ世界最大の水上太陽光発電プロジェクトを形づくっています。
このプロジェクトは、タイが進めるグリーンエネルギーへの移行の一部です。水面にパネルを浮かべることで、土地の有効利用や発電効率の向上が期待されます。エネルギー転換を支える取り組みとして、中国とタイの協力関係がここにも表れています。
ラヨーン工業区から4分ごとに生まれるEV
パタヤ近郊のラヨーン工業区では、BYDブランドの電気自動車(EV)が次々と生産されています。生産ラインからは、およそ4分に1台のペースで新しいEVが送り出されています。
これらの車は環境にやさしいだけでなく、タイのドライバーがより快適に運転できるよう工夫されています。シートや操作系など、日々ハンドルを握る人の感覚に寄り添った設計が取り入れられており、「技術」と「使う人」の距離を縮める試みと言えます。
このような現地生産とユーザー志向の設計は、中国とタイの産業協力が単なる輸出入を超え、サプライチェーンや人材交流を伴うより深い関係に進んでいることを示しています。
昆明のタイ料理店がつくる「日常の友好」
一方、中国の昆明では、タイ料理店の経営者が26年間にわたり、酸味と辛味のきいたタイ料理を地元の人々に提供してきました。
長年にわたる営業を経て、今この店では「友好ロングテーブル晩餐」と名付けた催しが計画されています。長いテーブルを囲んで料理を分け合うスタイルは、国や言葉の違いを超えて、同じ時間と味を共有する象徴的な場になります。
外交や経済協力といった大きなニュースの陰で、こうした日常の交流が静かに続いていることも、中国とタイの関係を支える重要な要素だと言えます。
ドキュメンタリー「Golden Threads」が描く50年
こうした多様な現場を一つの物語としてまとめたのが、ドキュメンタリー「Golden Threads: 50 Years of China-Thailand Friendship」です。中国とタイの国交樹立50周年を記念して制作されたこの作品は、2025年6月30日にCGTNで初放送されました。
ドキュメンタリーでは、
- 合弁事業の現場を訪ねる
- 市民や労働者など「ふつうの人」の物語を掘り下げる
といったアプローチを通じて、両国の「いま」と「これから」を描き出します。仏歯の奉迎から最新のエネルギー事業、EV工場、昆明のタイ料理店まで、さまざまな場面をつなぐキーワードが、タイトルにもある「Golden Threads(黄金の糸)」です。
「金の糸」が示すこれからの国際関係
中国とタイの関係をめぐる今回の一連の動きからは、次のようなポイントが見えてきます。
- 信仰や文化交流が、国家間の信頼を支える長期的な土台になっている
- グリーンエネルギーやEVなど、新しい産業分野での協力が進んでいる
- レストランや工場など、市民の生活の場で友好が具体的な形をとって表れている
- メディア作品を通じて、そのつながりを国内外に共有しようとする試みがある
国際ニュースというと、政治や安全保障の話題が中心になりがちです。しかし、中国とタイの「金の糸」で結ばれた50年の物語は、宗教・環境・産業・食・物語といった、多層的なつながりから成り立っています。
こうした視点でニュースを追いかけると、アジアの国々との関係を、自分の生活や価値観に引き寄せて考えるヒントが見えてくるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








