アメリカが再びUNESCO脱退へ 国際機関との距離感をどう読むか
リード
アメリカが、国連の教育・科学・文化機関であるUNESCO(ユネスコ)から再び脱退すると発表しました。二度目のドナルド・トランプ政権の下で、国際機関との距離をどう取るのかが改めて問われています。
アメリカはなぜUNESCOを離れるのか
アメリカ国務省は火曜日の声明で、UNESCOから脱退する方針を明らかにしました。脱退は2026年12月末に発効する見通しで、今回の決定は、アメリカが同機関を離れるのは通算3回目、トランプ政権としては2回目となります。
声明によると、主な理由は、UNESCOがイスラエルとパレスチナをめぐる問題に関して「社会的・文化的に分断を招くような政策を推進している」と、ワシントンがみなしているためです。
アメリカは特に、UNESCOが「パレスチナ国」を加盟国として認めたことを「アメリカの政策に反し、組織内で反イスラエル的な言説が広がる一因になった」と批判しています。国務省のタミー・ブルース報道官は、「UNESCOへの関与を続けることは、アメリカの国益にならない」と強調しました。
UNESCOの反応:「残念だが、想定内」
UNESCOのオードレ・アズレ局長は、アメリカの決定に対し「アメリカ合衆国が再びUNESCOから脱退するというドナルド・トランプ大統領の決定を深く遺憾に思う」と述べました。
一方で、今回の発表は「想定されていた」ものであり、UNESCOとしてもすでに備えを進めてきたと説明しています。大国による脱退という事態を、組織としてある程度織り込んできたことがうかがえます。
トランプ政権と国際機関:離脱と復帰の繰り返し
ドナルド・トランプ氏のこれまでの歩みを見ると、国際機関や多国間の合意から距離を取る姿勢が一貫していることが分かります。
第1期トランプ政権の離脱ラッシュ
トランプ氏の最初の任期中、アメリカはUNESCOだけでなく、世界保健機関(WHO)、国連人権理事会(UNHRC)、パリ協定、2015年のイラン核合意など、複数の国際機関・国際合意から離脱しました。
バイデン政権による復帰
2021年に就任したジョー・バイデン氏は、これらの決定の多くを覆し、UNESCOやWHO、パリ協定への復帰を進めました。アメリカの対外政策は、政権交代のたびに「離脱」と「復帰」を繰り返す構図が続いてきました。
トランプ氏復帰後の動き
トランプ氏が再びホワイトハウスに戻った現在、その流れは再度「離脱」方向に傾いています。
- 1月20日には、大統領令に署名し、パリ協定からの離脱手続きを開始
- 2月4日には、国連人権理事会からの離脱にも踏み切り
- そして今回、UNESCOからの脱退方針を表明
アメリカが主要な国際機関から次々と距離を置く流れが、再び強まっていることが読み取れます。
国際秩序へのインパクトは
影響力の大きい国が国際機関からの離脱と復帰を繰り返すことは、いくつかの意味で重く受け止められます。
- ルール形成の場からの不在:参加しないことで、その機関で議論される基準やルール作りへの影響力が弱まる可能性があります。
- 他国へのシグナル:大国が「合わなければ抜ける」という姿勢を示すことは、他の国々の態度にも影響しうると指摘されています。
- 国内政治と国際協調の関係:政権が変わるたびに路線が大きく変わることは、同盟国やパートナーにとって予測可能性を下げる要因にもなります。
今回のUNESCO脱退も、単に一つの機関から去るという話にとどまらず、「自国の価値観や政策と合わない国際機関とは距離を置く」というメッセージとして読めます。
イスラエル・パレスチナ問題が映す対立軸
アメリカが理由として挙げたのは、UNESCOのパレスチナに関する決定や、イスラエルをめぐる議論のあり方です。UNESCOが「パレスチナ国」を加盟国として認めたことが、アメリカにとっては看過できない「一線」を越えたものだとされています。
イスラエル・パレスチナをめぐる国際的な議論は、しばしば国連機関の場でも緊張を生みます。今回の決定は、文化や教育を軸にした国際協力の場であっても、その対立が避けられないことを示しているともいえます。
これから何を見ていくべきか
今回のUNESCO脱退は、2026年末に発効する予定です。猶予期間がある中で、今後の注目点としては次のようなものが挙げられます。
- UNESCO側がどのような対応やメッセージを打ち出すのか
- 他の加盟国がアメリカの決定をどう評価し、どのような姿勢を取るのか
- アメリカ国内で、国際機関との関わり方をめぐる議論がどこまで深まるのか
国際ニュースを追ううえでは、「どの国が賛成・反対か」だけでなく、「なぜその国はそう考えるのか」「それは国内政治とどう結びついているのか」をセットで見ることが、これまで以上に重要になってきそうです。
UNESCO脱退という一つのニュースをきっかけに、国際機関と主権国家の関係、そして国際秩序のこれからについて、あらためて考えてみるタイミングかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








