新疆トルファンの古代壁画を守る匠 Xu Dongliangさんの30年 video poster
新疆トルファンの古代壁画を守る職人の物語
中国北西部の新疆ウイグル自治区トルファンで、古代壁画の保存と修復に30年以上取り組んできた職人がいます。その名はXu Dongliangさん。国際ニュースとしては目立たない小さな現場ですが、文化遺産を未来につなぐ静かな努力が続いています。
子どものころから始まった絵への憧れ
Xuさんの原点は、子どものころに芽生えた絵への強い関心でした。大学では美術を専攻し、色彩や線、構図といった基礎を徹底的に学びます。その延長線上で出会ったのが、新疆のトルファンに残る古代壁画でした。
現地で目にした壁画は、教科書や画集では伝わらない迫力と、何世代にもわたる人々の祈りや暮らしの痕跡を伝えていました。それ以来、Xuさんは壁画修復の道を歩むことを決意し、今日まで一貫してその仕事に向き合っています。
砂漠の都市トルファンで向き合う古代壁画
トルファンは乾燥した気候で知られる地域で、古代の遺跡に残る壁画にとっても過酷な環境です。温度差や風砂、時間の経過による劣化など、壁画を脅かす要因は少なくありません。
Xuさんは、そうしたリスクと向き合いながら、一筆一筆ていねいに壁画の細部を修復してきました。顔の輪郭、目や口元の表情、衣装のひだや模様…。かすかに残る線や色の痕跡を読み取り、もとの姿を尊重しながら補強していきます。
- 顔の輪郭や表情のニュアンスを再現する
- 衣服の線や模様を読み取り、失われた部分を補う
- 絵の具の剥離を防ぐための安定処理を施す
こうした地道な作業の積み重ねが、壁画そのものの命を延ばすだけでなく、当時の人々の文化や価値観を現代に伝える役割を果たしています。
厳しくも温かい師匠として若手を育てる
Xuさんが大切にしているのは、自分一人でやりきることではなく、次の世代につなぐことです。現在は若い修復士たちを指導しながら、日々の現場で技術と考え方を伝えています。
指導は厳格で、作業の精度や姿勢に対して高い基準を求めます。わずかな筆のぶれや色の違いが、壁画全体の印象や歴史的価値に影響するからです。その一方で、文化遺産を守るという使命感や喜びも、丁寧に語りかけながら共有していきます。
若い世代にとって、Xuさんの背中は技術と責任感の両方を学ぶ場になっています。こうした人材育成があるからこそ、壁画保護の取り組みは、30年先、50年先へと続いていくことができます。
文化遺産を未来につなぐということ
新疆トルファンの古代壁画は、地域の歴史だけでなく、広い交流や多様な文化の交差を物語る貴重な記録でもあります。その保存と修復は、過去を美しく見せるためだけでなく、未来の世代が自らのルーツや世界のつながりを考えるための手がかりにもなります。
日々の作業に向き合うXu Dongliangさんと、その姿から学ぶ若い修復士たちの存在は、華やかな見出しにはなりにくいかもしれません。しかし、こうした静かな努力こそが、国境や世代を超えて共有される文化の土台を支えています。
国際ニュースを日本語で追いかける私たちにとっても、遠く離れた新疆での壁画保護の物語は、何を残し、どう受け継いでいくのかという問いをあらためて投げかけています。
Reference(s):
cgtn.com








