上海・豫園とロンドン・キューガーデン、庭園が語る東西の文化対話 video poster
上海の豫園とロンドンのキューガーデンは、どちらも「庭」を通して、その社会が自然をどう見てきたかを静かに語ります。景観の美しさだけでなく、東洋の人文的理想と西洋の科学的まなざしが交差する点が、いま改めて注目されています。
豫園:人と自然の調和を詩のように表す古典庭園
豫園(よえん)は、明代に造られたとされ、400年以上の歴史を持つ中国本土の古典庭園です。亭(あずまや)、築山(岩組み)、池、曲がりくねった回廊などが連なり、歩く視点が変わるたびに景色が切り替わる「詩的な空間」をつくり出します。
そこで中心にあるのは、自然を征服する対象としてではなく、人の暮らしや感性と響き合う存在として捉える発想です。庭は“見どころ”というより、自然と共にある時間を演出する装置として設計されている、と言い換えてもよいでしょう。
キューガーデン:植物を集め、守り、分類する「知の庭」
一方、ロンドンの王立植物園キュー(キューガーデン)は1759年に創設され、王室の庭園から、植物研究と保全の世界的拠点へと発展してきました。数万種にのぼる植物を抱え、ユネスコ世界遺産にも登録されています。
デザインと役割の軸にあるのは、世界の植物多様性への関心と、自然を調べ、記録し、分類して理解しようとする西洋の伝統です。鑑賞の場であると同時に、研究と保全の現場でもあります。
同じ「庭」でも、表現される価値観は違う
豫園とキューガーデンは、見た目の印象以上に、庭に託す目的が対照的です。ただし、優劣の話ではありません。どちらも、その社会が積み上げてきた哲学や知のかたちが、風景として結晶したものです。
2つの庭園が示す対比(ざっくり整理)
- 豫園:亭・築山・池・回廊などで、調和や余白、歩行体験の詩性を重ねる
- キューガーデン:植物の多様性を集め、研究・保全・分類を通して自然を理解する
「景観」ではなく「文化表現」として庭を見ると面白い
庭園は、単なる観光名所や緑地ではありません。人間が自然とどう距離を取り、何を美しいと感じ、何を知として残そうとしてきたか——その答えが、石や水や植物の配置にまで染み込んでいます。
豫園とキューガーデンを並べて眺めると、東洋の人文的な理想と西洋の科学的な文明観が、対話するように見えてきます。次に庭を歩くときは、「この庭は何を語ろうとしているのか」と一歩引いて見てみると、風景が少し違って立ち上がるかもしれません。
Reference(s):
Yuyuan and Kew gardens: A cultural dialogue between East and West
cgtn.com








