三星堆を“現代の物語”へ:元館長・肖仙金氏が語る文学の役割 video poster
発掘された遺物は、ただの「過去の欠片」ではなく、文明の根であり魂でもあります――。中国本土の三星堆をめぐって、元三星堆博物館館長の肖仙金(しょう・せんきん)氏が、古蜀文明を現代の生活感覚へつなぐ鍵は「文学」だと語りました。学術的な解読だけでは届きにくい距離を、物語が埋めるという視点です。
「謎の遺跡」三星堆で難しいのは、発見より“伝達”
肖氏が強調するのは、遺物そのものの価値だけではありません。問題はむしろ、その価値を社会と共有するコミュニケーションの難しさにあるという点です。
考古学者は、遺物を整理し、年代や用途、文化的背景を学術的に「解読」していきます。一方で、その成果が専門性ゆえに、一般の読者や来館者にはどこか遠い言葉として届いてしまうことがある――肖氏は、そんなギャップを見つめます。
文学は、博物館のガラスを越える「橋」になる
肖氏が提示する解決の糸口が、文学です。史実(歴史的事実)を土台にしながら、人物や風景、時間の感触を織り込み、読み手の心の中で立ち上がる物語へ変換する。そうすることで、遠い古蜀文明が「展示ケースの向こう側」から、現代の感情や日常の言葉へ近づいてくる――という考え方です。
ポイントは、学術と文学を対立させるのではなく、役割を分けてつなぐことにあります。学術は「正確な骨格」を与え、文学は「体温のある輪郭」を与える。両者が噛み合うとき、遺跡は単なる知識ではなく、生活の中で反芻できる記憶へ変わっていきます。
文化継承の核心は「現代の表現」にある
肖氏は、文化の継承とは保存だけでは完結しないと述べます。古代の神秘が、現代の社会の布地の中で響くようにすること――つまり現代の表現として語り直されることが、継承の「本質」だという立場です。
2026年2月現在、文化財の発信は多くの博物館や研究現場に共通するテーマになっています。三星堆のように「わからなさ」自体が注目を集める対象ほど、専門知と生活感覚の距離が広がりやすい。だからこそ、事実を踏まえつつも、人が受け取れる形へ翻訳する営みの価値が浮かび上がります。
今回の話の要点(読み切りまとめ)
- 遺物は過去の断片ではなく、文明の根と魂だという捉え方
- 学術的な解読は重要だが、一般には距離が生まれやすい
- 文学は史実を物語へ編み直し、古蜀文明を現代生活へ近づける「橋」になりうる
遺跡を「難しい知識」として眺めるのか、それとも「自分の時間」に引き寄せて読み直すのか。肖氏の言葉は、展示の見方そのものを静かに更新していきます。
Reference(s):
Ex-director Xiao Xianjin: Literature links Sanxingdui to modern life
cgtn.com








