プラスチック廃棄物がチェスの駒に:キベラの若者たちが紡ぐ新たな可能性
ケニアの首都ナイロビにある、アフリカ最大級のインフォーマル・セトルメント、キベラ。ここで今、捨てられるはずだったプラスチックごみが、学びと創造性、そして希望の道具へと静かに変わりつつあります。その中心にあるのは、環境保全とコミュニティのエンパワーメントを両立させようとするある組織の活動です。
廃棄物管理から生まれる収入と環境意識
2020年に活動を開始した「Kijiji Solutions」は、地元の若者グループと連携し、キベラに山積みされるごみの問題に取り組んできました。創設者のリチャード・ハウコム氏はこう語ります。「私たちはナイロビのインフォーマル・セトルメントをはじめとする地域の若者廃棄物管理グループを支援しています。目的は、彼らが環境の守り手となる一方で、家庭や小規模事業にとって持続可能な生計を築けるよう手助けすることです」
活動が本格化したのは新型コロナウイルス感染症のパンデミックのさなか。組織はリモートで関わりながらも、現地の若者リーダーを細かく指導しました。その後、ハウコム氏自身もコミュニティに長期滞在し、日々の実情を理解しながら活動の効果を高めていったのです。
プラスチックをチェスの駒に変えるプロセス
収集されたプラスチック廃棄物は、単に処理されるだけでなく、新たな価値を持った製品へと生まれ変わります。その一例がチェスの駒です。
- 収集: 若者グループが地域内のプラスチックごみを分別・回収します。
- 加工: 回収されたプラスチックは洗浄、粉砕され、成形可能な素材に。
- 成形: 専用の機械を使って、チェスの駒の形に成形されます。
- 仕上げ: 駒は磨かれ、必要に応じて色が付けられ、完成品に。
このプロセスは、ごみという問題を、収入源であり、かつ教育や余暇の道具を作り出す機会へと転換しています。
環境課題と生計向上の両輪
ハウコム氏は、廃棄物管理が特に重要だと考える理由を次のように説明します。「廃棄物管理は、人々がどのような環境で生活しているかを映し出す鏡です。しかしそれ以上に、若者グループがすでに、環境危機に対応しながら収入を得る手段として、この問題を中心に組織化していたことが大きい」
つまり、この活動は単なるリサイクル事業ではなく、地域が直面する環境問題への実践的な解決策であり、同時に若者の経済的自立を後押しする社会的企業のモデルでもあるのです。2026年現在、その取り組みは着実に広がりを見せています。
チェスの駒は、単なるゲーム道具を超えた意味を持ちます。それは、制約の中から創造性を引き出し、捨てられたものに新たな命を吹き込むことの象徴です。キベラの若者たちがプラスチックごみと向き合い、駒を一つひとつ作り上げるその過程には、持続可能な未来への静かな確信が込められているのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com




