土から生まれた建築。中国本土・云南省で見つけた「版築」の美学と持続可能性 video poster
自然素材を用いた持続可能な建築への関心が高まる今、伝統的な技法と現代的な感性が融合した住まいのあり方が、新たな視点を与えてくれます。
中国本土の云南省にある沙溪(しゃけい)の始龍村(しりゅうそん)。ここに、まるで大地から自然に生えてきたかのような、不思議な魅力を持つ建物があります。それは、古くから伝わる「版築(はんちく)」という技法を用いて建てられた建築です。
風景に溶け込む「版築」の技法
版築とは、土を層状に敷き詰め、それを強く突き固めて壁や構造物を作る伝統的な工法です。ガイドのリンデンさんと共にこの建築を訪ねると、その壁面には土の層が美しい縞模様となって現れており、周囲の山々や大地と完璧に調和していることがわかります。
この建築の大きな特徴は、以下の点にあります:
- 手仕事の温もり:現代的な機械に頼らず、熟練の技術による手作業で構築されていること。
- 素材の純粋さ:その土地の土を主材料とすることで、環境負荷を最小限に抑えていること。
- 光と質感の調和:時間によって変化する光が、土壁の豊かなテクスチャーを際立たせ、有機的な美しさを演出していること。
伝統的な「白族」の技と現代デザインの融合
この建物は、単に古い手法を再現しただけではありません。この地域に根付く白族(はくぞく)の伝統的な職人技をベースにしつつ、現代的な建築デザインを巧みに取り入れています。
伝統的な知恵である「地域の素材を活かすこと」と、現代的な「機能性と審美性の追求」が組み合わさることで、心地よく、かつ洗練された空間が生まれています。それは、過去を懐かしむだけでなく、未来の暮らしに適用可能な「生きた建築」といえるでしょう。
持続可能な農村生活へのヒント
効率性や均一性が優先されがちな現代の建築において、あえて手間のかかる版築という手法を選ぶことは、私たちに「持続可能性」の本質を問いかけます。自然から借りた素材を使い、役目を終えれば再び土に還る。こうした循環型のあり方は、都市生活者が忘れかけている自然との共生関係を思い出させてくれます。
山あいの静かな村で出会ったこの建築は、心地よい暮らしとは何か、そして自然と共に生きるとはどういうことか。そんな問いに対する、静かで力強い答えを提示しているようです。
Reference(s):
cgtn.com



