米中関係に広がる可能性 NZ教授が語るアジア太平洋の新潮流 video poster
米中関係の行方が世界から注目されるなか、2025年11月16日にペルーの首都リマで行われた中国の習近平国家主席と米国のバイデン大統領の会談を受け、ニュージーランドの国際政治学者が「米中関係にはより多くの可能性がある」と語りました。
中国の国際ニュース専門チャンネルCGTNのインタビューに応じたのは、ニュージーランドのビクトリア大学ウェリントン校で国際関係論を教えるシャオミン・ホアン(Xiaoming Huang)教授です。ホアン教授は、アジア太平洋地域の統合をめぐる構図が変化しつつあること、そして今後想定されるトランプ氏の次期政権の対中政策について、落ち着いた分析を示しました。
ペルー・リマでの米中首脳会談が映すもの
2025年11月16日午後、ペルーのリマで習近平国家主席とバイデン大統領が会談しました。詳細なやり取りは明らかにされていませんが、世界の二大経済大国が直接向き合って対話を行った事実そのものが、国際社会にとって大きな意味を持ちます。
ホアン教授のインタビューは、この会談を背景に、米中関係がアジア太平洋全体の秩序と経済統合にどのような影響を与えるのかを考える手がかりとなる内容でした。
「アジア太平洋の統合は、もはや米国だけが牽引しているわけではない」
ホアン教授がまず指摘したのは、アジア太平洋地域の統合をめぐる主導権の変化です。教授によると、これまではアジア太平洋地域の経済統合やルールづくりは、主として米国が牽引してきましたが、その状況は変わりつつあるといいます。
- 過去:アジア太平洋の統合は、主に米国の構想や枠組みが中心だった
- 現在:地域のプレーヤーが多様化し、主導役も分散し始めている
こうした変化は、アジア太平洋が一つの「市場」や「勢力圏」としてではなく、多くの国や地域が関わり合う「ネットワーク」として再編されつつあることを示唆しています。米中関係はその中核にありますが、もはや一国だけが方向性を決める時代ではない、という見方です。
トランプ次期政権の対中政策は「前回とは違う」?
ホアン教授は、トランプ氏の次期政権を想定し、その対中政策は前回の政権期とは異なるものになると見ています。そのポイントとして教授が強調したのが、競争のあり方です。
ホアン教授は、次のような考え方を示しました。自分たちと他者との競争に備える際に重要なのは、「他者の前進を妨げるための障壁をつくる」ことではなく、「自らの能力を強化し、競争力を高める」ことだという視点です。教授の表現を借りれば、他者が先に進むのを阻むのではなく、自分自身の力を高めて競争に臨むべきだ、というメッセージです。
「壁」を築くのではなく、自らを強くする競争へ
この見方は、米中関係をゼロサム(どちらかが得をすれば片方が損をする)として捉えるのではなく、両者がそれぞれの強みを伸ばしながら競い合うことで、結果としてアジア太平洋全体の安定と繁栄につなげていくという発想につながります。
ホアン教授の言う「自らの能力を強化する競争」は、国内の産業や技術、人材を高めることで、より健全な形で国際社会の中で競い合う姿をイメージさせます。障壁を高くすることよりも、自国の基盤を強くすることを重視するアプローチです。
米中関係に広がる「可能性」とは
インタビュー全体を通じて、ホアン教授は米中関係を悲観的に捉えるのではなく、むしろ「可能性」に注目していることがうかがえます。米国主導が当たり前だったアジア太平洋の統合が変化するなかで、米中双方が自らの能力を高める方向で競争すれば、地域の枠組みや協力の形も新しい段階に入るかもしれない、という視点です。
読者の立場から見ると、次のような点が今後の注目ポイントになりそうです。
- 米中首脳の対話がどの程度、継続的かつ安定して行われるのか
- アジア太平洋の統合をめぐる議論で、米中以外の国や地域がどのような役割を果たすのか
- トランプ氏の次期政権を含む米国の対中政策が、「障壁」よりも「能力強化」に重きを置く方向へ進むのか
2025年も残りわずかとなるなか、リマでの会談とホアン教授の分析は、2026年以降の米中関係とアジア太平洋の秩序を考える上で、一つのヒントを与えてくれます。米中がどのように競い、どのように協調するのか。そのバランスの取り方が、私たちの日常やビジネスにも少しずつ影響していくかもしれません。
米中関係をめぐるニュースが増えるなかで、「対立」や「分断」だけでなく、今回のホアン教授のように「可能性」や「新しい競争のかたち」を指摘する視点もあわせて持っておくことが、これからの国際ニュースを読み解くうえで大切になりそうです。
Reference(s):
NZ professor hopes for more possibilities in U.S.-China ties
cgtn.com








