世界最大級の揚水発電所 中国北部の「国家級パワーバンク」を探る video poster
世界最大の揚水水力発電所が、中国北部・河北省にあることをご存じでしょうか。豊寧満族自治県の「豊寧揚水発電所」は、いま中国の送電網を支える「国家級パワーバンク」として注目されています。
北中国・河北省に建つ世界最大の揚水発電所
豊寧揚水発電所は、中国北部の河北省豊寧満族自治県に位置し、現在、世界最大の揚水水力発電所とされています。第12号機となる可逆式水車発電機ユニットが運転を開始したことで、設備容量は合計3.6ギガワット(360万キロワット)に達しました。
この巨大な発電施設を運営しているのは、State Grid Corporation of Chinaです。同社が運用する送電網にとって、豊寧揚水発電所は電力の「パワーバンク」、つまり必要なときにすぐ取り出せる大容量の電気の貯蔵庫として位置づけられています。
「パワーバンク」としての揚水発電のしくみ
そもそも揚水発電とは、どのような仕組みなのでしょうか。イメージしやすく言えば、「水の位置エネルギーを利用した巨大な充電池」です。
- 電力に余裕がある時間帯には、下の貯水池から上の貯水池へ水をくみ上げます。
- 電力需要が高まり電気が足りなくなる時間帯には、上の貯水池から水を放流し、水車を回して発電します。
- これにより、時間帯による電力需要の差をならし、送電網を安定させる役割を果たします。
電力を直接ためておくのではなく、「高い場所に水をためる」という形でエネルギーを貯蔵するのがポイントです。豊寧揚水発電所のような大規模施設になると、その貯蔵量は非常に大きなものになります。
エネルギー転換の時代に、なぜ重要なのか
世界各地で再生可能エネルギーの導入が進むなか、エネルギー貯蔵はますます重要になっています。太陽光や風力の発電量は天候や時間帯によって変動するため、そのままでは電力供給が不安定になりがちです。
ここで力を発揮するのが、揚水発電のような大規模な「パワーバンク」です。発電量が多いときに余った電力を水の形で貯めておき、必要なときにすぐ引き出せるため、電力系統全体の安定性を高めることができます。
豊寧揚水発電所は、その規模と設備容量から、このようなエネルギー転換の動きを支える存在のひとつとして位置づけられています。
現場を歩く:国際交流の視点から見た豊寧
Hebei International Communication CenterのホストであるCao Mengxinさんと、North China University of Science and Technologyで教えるKoczor Attilaさんは、この豊寧揚水発電所を実際に訪れ、「国家級パワーバンク」の現場を取材しました。
巨大な発電設備のスケール感や、発電機ユニットの構造は、写真や数字だけでは伝わりにくい部分です。現場を訪れた二人は、発電所内部の設備や運転の様子を見学しながら、その技術的な特徴と役割を体感しました。
エネルギー分野に関心を持つ教員やメディアの関係者が現場を歩き、自分の目で確かめて発信することで、電力インフラをめぐる国際的な対話のきっかけにもなります。豊寧揚水発電所が「We Talk」というシリーズで取り上げられた背景には、こうした国際コミュニケーションの狙いもあるといえるでしょう。
エネルギーの未来をどう描くか
日本を含む多くの国と地域で、安定した電力供給と環境負荷の低減をどう両立させるかが、今後の大きな課題になっています。中国北部で「国家級パワーバンク」として活用される豊寧揚水発電所の事例は、エネルギー貯蔵や電力システムの設計を考えるうえで、ひとつの参考になりそうです。
ニュースや動画で海外のインフラを知ることは、単に「スゴい施設」を眺めるだけではなく、自分たちの暮らしとエネルギーのあり方を見直すきっかけにもなります。通勤時間やスキマ時間に、こうした国際ニュースをチェックしながら、「自分だったらどんな電力システムが望ましいと思うか」を考えてみるのもよいかもしれません。
世界最大級の揚水発電所として稼働する豊寧揚水発電所。中国北部に造られたこの「国家級パワーバンク」は、これからのエネルギーの姿を考えるうえで、引き続き注目しておきたい存在です。
Reference(s):
We Talk: Explore national-level 'power bank' built in N China
cgtn.com








