米国が鉄鋼・アルミに25%関税 ベトナムから「負担は消費者」の声 video poster
今年2月10日、米国のドナルド・トランプ大統領が、鉄鋼とアルミニウムの全輸入品に一律25%の関税を課す大統領令に署名しました。すべての優遇措置や数量制限などの例外をなくすという強い内容で、国際ニュースとして各国で大きな波紋を広げています。
この米国関税の引き上げについて、ベトナムの鉄鋼・アルミ産業で働く人たちはどう感じているのでしょうか。報道機関のCGTNが現地の労働者に話を聞いたところ、「最終的な負担は消費者が背負うことになる」との見方が聞かれました。
米国が鉄鋼・アルミに一律25%関税
今回の大統領令では、鉄鋼とアルミの輸入に対して25%の関税を一律で上乗せすることが決められました。これまで一部の国や企業に認められてきた免除や特別枠、数量制限といった例外措置もすべて撤廃されます。
関税とは、外国から輸入される品物にかかる税金のことです。税率が上がれば、輸入する側の企業のコストも上がり、その分が最終的な販売価格に反映されやすくなります。今回の決定は、米国に鉄鋼やアルミを輸出している世界中の企業や労働者に影響を与える可能性があります。
ベトナムの現場から見える懸念
CGTNの取材に応じたベトナムの鉄鋼・アルミ関連の労働者の中には、この関税引き上げによって自分たちが不利な立場に置かれるのではないかと懸念する声がありました。とくに、国と国が互いに関税をかけ合う「相互関税」のような状況になれば、輸出の先行きが読みにくくなるという指摘です。
米国向け輸出に依存している企業では、受注が減ったり、価格競争力が落ちたりするのではないかという不安が広がっています。現場で働く人にとっては、雇用や賃金と直結する問題でもあり、国際ニュースで語られる「通商政策」の変化が、日々の生活と地続きであることが改めて浮かび上がります。
「最終的に払うのは消費者」
ベトナムの労働者から出たのは、関税の引き上げで損をするのは輸出企業だけではなく、最終的には消費者だという見方です。関税で輸入コストが上がれば、企業はその負担を価格に転嫁せざるを得ない場合が多くなります。
鉄鋼やアルミは、自動車、家電、建材、飲料の缶など、日常生活のあらゆる製品に使われています。原材料の段階でコストが増えれば、その影響は川上から川下へと伝わり、一般の消費者が購入する製品価格にもじわじわと反映されていく可能性があります。
相互関税が生産現場にもたらすもの
一部のベトナムの労働者は、米国の関税引き上げが他の国や地域の対抗措置を招き、相互に関税をかけ合う展開になれば、さらに厳しい状況になると見ています。輸出市場が不安定になれば、工場の稼働計画が立てにくくなり、残業や雇用調整など、働き方にも影響が出かねません。
こうした懸念の背景には、国際的な通商ルールが揺らぐことで、現場の予測可能性が低下するという問題があります。政策の議論は首都の会議室で行われますが、その余波を最初に感じるのは、世界各地の生産ラインで働く人たちです。
アジアと日本にとっての意味
今回の米国関税の引き上げは、ベトナムだけでなく、アジア全体のサプライチェーンにも影響を与えうる動きです。鉄鋼やアルミの部材をベトナムから調達している企業にとっては、価格や調達先の見直しを迫られる可能性があります。
日本の読者にとっても、これは遠い国の話ではありません。アジア各国に広がる生産ネットワークの中で、どこか一つの国の通商政策が変われば、最終製品の価格や、企業の投資計画、雇用のあり方に波紋が広がることがあります。
今回のベトナムの労働者の声は、通商政策の数字の裏側に、日々の生活と将来への不安を抱える人々の姿があることを教えてくれます。国際ニュースを見るとき、「誰がどのようなかたちで負担を負うことになるのか」という視点を持つことで、ニュースとの距離が少し近づくかもしれません。
Reference(s):
We Talk: Vietnamese say consumers will bear U.S. tariff hikes
cgtn.com








