国連80周年の国際ニュース:ナイジェリアの若者が中国から訴える気候危機 video poster
2025年、創設80周年を迎えた国連をきっかけに、気候危機への国際的な行動を改めて問い直す動きが広がっています。そうした中、中国で学ぶナイジェリア出身の若者が「この地球は私たちの唯一の家」と訴え、世界に向けて気候行動の必要性を呼びかけました。
国連80周年と若者発のキャンペーン「One Home: Shared Future」
国連80周年に合わせて、国際ニュース専門チャンネルであるCGTNは、世界各地のコンテンツクリエイターと協力し、「One Home: Shared Future(ワン・ホーム:シェアード・フューチャー)」というキャンペーンを展開しています。
テーマは、地球という「ひとつの家」を共有する人類の未来です。このキャンペーンでは、若い世代の声に焦点を当て、気候変動をはじめとする地球規模の課題に対する希望や不安、そして提案を発信しています。国際ニュースがトップダウンで語られがちななか、当事者である若者の言葉を前面に押し出そうとする試みです。
中国で建築を学ぶナイジェリアの若者の視点
そのひとりが、ナイジェリア出身で、中国・重慶の大学で建築学の修士課程に在籍しているオグバウグ・ケレチ・ウチャマさんです。彼女は、ナイジェリアから中国へと生活の場を移し、学び、暮らす経験を通じて、世界と気候危機をより立体的に見るようになったと語ります。
異なる地域、異なる気候、異なる都市環境を行き来することで、気候変動が特定の国や地域だけの問題ではなく、相互につながった地球規模の現象であることを強く意識するようになったといいます。中国での留学生活は、そうした視野の広がりをもたらしたとされています。
リビアの嵐、トルコとギリシャの山火事が突きつける現実
ウチャマさんが気候危機の深刻さを示す例として挙げるのが、リビアで発生した嵐「ダニエル」です。この嵐は壊滅的な被害をもたらし、1万1,000人以上の命が奪われました。ひとつの気象現象が、短期間のうちにこれほど多くの人の生活と命を奪う現実は、気候危機の重さを端的に示しています。
さらに彼女は、トルコ(Türkiye)やギリシャで続く山火事にも言及します。観光地として知られる地中海沿岸で、毎年のように山火事がニュースになる状況は、気温の上昇や乾燥化といった変化を象徴する出来事として受け止められています。
リビアの嵐と地中海沿岸の山火事──離れた地域で起きているこれらの出来事を並べてみると、気候危機は「遠くの国のニュース」ではなく、互いに関連し合う連鎖的な現象であることが見えてきます。
「この惑星は私たちの唯一の家」──地球に向けたメッセージ
ウチャマさんのメッセージの核にあるのは、「この惑星は私たちの唯一の家だ」という認識です。彼女は、地球について次のように強調しています。
この地球は、私たち人類にとって唯一の住まいであり、「守る価値があり、創造性を注ぐ価値があり、気遣う価値がある」存在だといいます。ここには、気候危機を「負担」や「犠牲」の観点だけで語るのではなく、守るべき大切な家に手を入れ、より良くしていくという前向きな視点が含まれています。
彼女のメッセージを要約すると、次の三つのキーワードに集約できます。
- 守ること:これ以上、被害を拡大させないための行動を取ること。
- 創造性:技術やデザイン、暮らし方の工夫を通じて、新しい解決策を生み出すこと。
- 思いやり:もっとも影響を受けやすい人々や地域に目を向け、ともに支え合うこと。
建築を学び、異なる地域で暮らす若者だからこそ、「家」や「暮らし」を軸に地球環境を捉え直す視点が自然と生まれているとも言えるでしょう。
若者の声が国際ニュースになる意味
今回のキャンペーン「One Home: Shared Future」は、国連80周年という節目を、単なる記念の年で終わらせない工夫でもあります。世界の若者が自分の経験と言葉で語ることで、気候危機という抽象的なテーマが、具体的な顔と物語を持ちはじめます。
とくに、ナイジェリアのようなアフリカの国々や、リビア、トルコ、ギリシャといった地域の事例が取り上げられることには意味があります。気候危機の影響は、必ずしも世界のニュースの中心にいる地域だけに限られません。さまざまな地域の現実が国際ニュースとして共有されることで、「誰の問題なのか」という問いが「私たち全員の問題」へと変わっていくからです。
日本の読者にとっての「One Home」
日本でも、猛暑や大雨など、天候の極端化は日常の会話にのぼるテーマになりつつあります。遠く離れたナイジェリアの若者や、リビアの嵐、トルコやギリシャの山火事の話は、一見すると自分たちとは関係のない国際ニュースに見えるかもしれません。
しかし、「この地球は私たちの唯一の家」という視点に立てば、日本も同じ屋根の下に暮らす家族の一員です。どこか別の地域で起きている災害や環境の変化は、同じ家の別の部屋で起きているトラブルのようなものだと捉えることができます。
通勤電車の中でニュースをスクロールしながら、あるいはSNSで短い動画を眺めながら、「自分の暮らしはこの『家』にどんな影響を与えているだろう」「自分の仕事や専門分野なら、どんな形で貢献できるだろう」と考えてみることは、小さくても確かな一歩になります。
日常から始める「共有された未来」への参加
国連80周年の今年、ナイジェリアの若者が中国から発したメッセージは、大きな政策や技術だけではなく、私たち一人ひとりの日常の選択が未来を形づくるというシンプルな事実を思い出させてくれます。
気候危機というと、専門家や政府、巨大企業の議論に思えがちです。しかし、「One Home: Shared Future」という言葉に込められているのは、次のような問いかけではないでしょうか。
- あなたにとっての「守るべき故郷」や「大切な風景」はどこか。
- その風景を守るために、今日から変えられる小さな行動は何か。
- その行動や気づきを、家族や友人、オンラインコミュニティとどう共有できるか。
国際ニュースを日本語で追いかけることも、世界とつながるひとつの行動です。ナイジェリアから中国へ、そして世界へと広がる若者の声に耳を傾けながら、自分自身の「One Home」と「Shared Future」を静かに問い直してみる時間を持ってみてはいかがでしょうか。
Reference(s):
UN@80: Nigerian youth calls for global action on climate crisis
cgtn.com








