バイデン氏、トランプ次期大統領の高関税案を『重大な誤り』と批判
退任目前のバイデン氏がトランプ流関税を批判
退任を控えた米国のバイデン大統領が、トランプ次期大統領の通商政策を正面から批判しました。火曜日にワシントンのシンクタンク「ブルッキングズ研究所」で行った演説で、トランプ氏が掲げる輸入品への一律の高関税案について「重大な誤りだ」と強い懸念を示しました。
バイデン氏によると、トランプ氏は「すべての輸入品」に対して高い関税を課し、そのコストを外国が負担すると想定しているといいます。これに対しバイデン氏は、「このコストを払うのは誰なのか」と問いかけ、実際には米国の消費者が負担することになると警告しました。
さらにバイデン氏は、過去4年間の経験から、このような関税戦略が誤りであることは「すでに証明されている」と述べ、自らの政権の経済運営を通じてそのことを示してきたと強調しました。
コロナ後の経済運営と「富裕層減税」への懸念
演説では、バイデン政権が発足した当初、トランプ政権から引き継いだ経済状況や、新型コロナウイルス流行後の景気回復の取り組みについても振り返りました。
そのうえでバイデン氏は、トランプ氏が掲げる新たな経済計画は「非常に裕福な層への、さらにもう一段の減税」につながると批判しました。こうした政策は、いわゆるトリクルダウン(富が上から下へ自然に滴り落ちる)型の経済運営に逆戻りするものであり、財源が十分に確保されない場合は、別の形で国民が負担を強いられると懸念を表明しました。
イエレン財務長官も物価への悪影響を警告
トランプ氏の高関税構想に懸念を示したのは、バイデン氏だけではありません。同じ火曜日、米財務長官のイエレン氏も、ウォールストリート・ジャーナルが主催する経営者向けの会合「CEOカウンシル」で発言し、トランプ氏が提案する幅広い輸入関税について警鐘を鳴らしました。
イエレン氏は、インフレ率の低下に向けて進んできたこれまでの改善が、高関税によって妨げられる可能性があると指摘しました。輸入品のコストが上がれば、企業や消費者の負担が増え、物価の上昇圧力につながる恐れがあるとし、関税政策が「インフレ抑制の流れに逆風となり得る」との見方を示しています。
トランプ氏「関税はアメリカ人にはコストゼロ」
一方のトランプ次期大統領は、関税に対して全く異なる見方を示しています。日曜日に放送された米NBCニュースのインタビューで、同氏は米国の主要な貿易相手国からの輸入品に関税を課すという選挙公約を実行する考えを改めて表明しました。
トランプ氏はこの中で、関税は「アメリカ人には何のコストももたらさない」と主張しました。関税の負担を外国側に転嫁できると強調する姿勢で、バイデン氏やイエレン氏が示す懸念とは真っ向から対立する構図になっています。
争点は「関税のコストを誰が負担するのか」
今回の議論の核心は、「関税のコストを最終的に誰が負担するのか」という点にあります。関税とは、輸入される商品にかけられる税金のことで、政府にとっては税収源となる一方、企業や消費者にとっては価格に直結する要素です。
- 輸入品に関税がかかると、その商品を仕入れる企業のコストが上がる
- 企業は上昇したコストを販売価格に転嫁しやすく、消費者価格が上昇しやすくなる
- 一部の企業は国内生産への切り替えや仕入れ先の変更を検討するが、その過程で追加コストや混乱が生じる可能性もある
バイデン氏とイエレン氏は、こうしたメカニズムを踏まえ、「実際の負担者は米国の消費者や企業だ」と警告しているといえます。一方でトランプ氏は、関税によって外国がコストを負担し、米国にとって有利な取引条件を引き出せると強調しており、両者の間で経済観の違いが鮮明になっています。
日本と世界経済への波及をどう見るか
米国は世界最大級の消費市場であり、その通商政策は国際経済全体に大きな影響を与えます。もしトランプ次期政権が広範囲の輸入品に高い一律関税を導入すれば、世界のサプライチェーン(供給網)や貿易の流れにも揺さぶりがかかる可能性があります。
日本企業の中には、米国向けに完成品や部品を輸出したり、米国内で生産拠点を運営したりしているケースが少なくありません。関税が引き上げられれば、輸出製品の価格競争力が低下したり、米国向けビジネスの採算見直しを迫られたりするリスクがあります。
また、関税によって米国内の物価が上昇し、消費が冷え込めば、世界全体の需要にも影響が及びます。日本を含む各国にとって、米国の通商・税制政策は、自国の景気や雇用、為替動向を左右し得る重要な外部要因となっています。
2025年12月時点の焦点とこれから
2025年12月8日現在、トランプ次期大統領の高関税構想をめぐって、米国内では賛否が鋭く分かれています。バイデン政権が進めてきた経済運営をどう評価するのか、そして次期政権が実際の政策としてどの程度強い関税措置を打ち出すのかが、今後の大きな焦点です。
日本やアジアの読者にとっても、この動きは決して遠い国のニュースではありません。輸出企業の収益、投資計画、為替レート、さらには日々の物価にまで影響し得るテーマです。SNSなどで断片的なメッセージが飛び交う中、「誰がコストを負担するのか」「どの層にメリットとデメリットがあるのか」という視点を持って、今後の米国通商政策の行方を追うことが求められています。
Reference(s):
cgtn.com








