韓国ユン大統領の内乱容疑 特別検察官法案が国会に再提出
弾劾中の韓国ユン・ソンニョル大統領の内乱容疑を巡り、韓国の野党が特別検察官(特別検察)を任命する法案を国会に再提出しました。大統領の戒厳令宣言をどう検証するかをめぐり、与野党対立が一段と激しくなっています。
野党6党が特別検察官法案を再提出
韓国の主要野党である共に民主党など6つの野党が、ユン大統領の内乱容疑を捜査するための特別検察官を任命する法案を、国会(定数300)にあらためて提出しました。法案は木曜日に国会に出されたもので、弾劾中の現職大統領を対象とする異例の内容です。
この法案はすでに一度提出されていましたが、与党・保守系の国民の力の議員108人の多くが反対票を投じたことで、前日に行われた再採決で否決・廃案となっていました。野党側は内容を修正したうえで再提出し、与党側に歩み寄りを示した格好です。
可決のハードルは「3分の2」
韓国国会で特別検察官の任命法案を再可決するには、在籍300議員のうち、少なくとも3分の2にあたる200人以上の賛成が必要とされています。与党が強く反対するなかで、この高いハードルをどう乗り越えるかが焦点です。
第二案の中身:人選と捜査期間を絞り込み
再提出された第二の法案では、特別検察官の候補者2人を大法院(最高裁判所)の長官が推薦し、そのなかから1人を任命する仕組みが盛り込まれました。司法トップが候補を選ぶことで、政治的な偏りを抑えたい狙いがあるとみられます。
また、派遣される検事と捜査官の人数や、捜査期間も前回案より減らされました。具体的には、検事と捜査官などの総数を155人に抑え、捜査期間も150日間としています。大規模な常設組織ではなく、期間と人員を限定した特別チームで臨む形です。
背景にある弾劾と戒厳令宣言
ユン大統領をめぐっては、内乱容疑に関連してすでに弾劾訴追案が国会で可決されています。弾劾訴追案は2024年12月14日に通過し、その後、憲法裁判所に付託されました。
韓国の制度では、憲法裁判所が最長180日間かけて弾劾事案を審理することができ、その間、大統領の職務権限は停止されます。ユン氏も弾劾訴追案の可決に伴い、この手続きに従うことになりました。
内乱容疑の直接のきっかけとなったのは、ユン氏が12月3日夜に戒厳令を宣言したことです。戒厳令は数時間後、国会によって取り消されましたが、捜査当局はこの宣言をめぐり、ユン氏を『内乱を企てた疑いのある首謀者』として捜査対象に位置づけています。
韓国政治と民主主義への意味
現職大統領に対する弾劾と内乱容疑の捜査、さらに特別検察官の任命をめぐる攻防は、韓国の民主主義と権力分立のあり方を問う局面でもあります。軍を動員しうる戒厳令の宣言がどのような経緯と法的根拠に基づいて行われたのかを、独立した立場で検証できるかどうかが問われています。
一方で、与党側は特別検察官による捜査が政治的な攻撃になると警戒しており、野党側の動きに強く反発しています。世論の分断が深まるなか、韓国社会は、違法行為があれば誰であっても責任を問うべきだという原則と、政治闘争の道具として捜査が使われるべきではないという懸念のあいだで揺れています。
今後、法案の行方と憲法裁判所の審理の結果は、韓国の政治秩序だけでなく、東アジアの安全保障や経済にも影響を及ぼす可能性があります。日本を含む周辺の国と地域にとっても、近隣の民主主義国で起きているこの動きを、冷静に見つめ続ける必要がありそうです。
Reference(s):
Bill of special counsel investigation into Yoon Suk-yeol submitted
cgtn.com








