イエメンのフーシ派が米空母を再攻撃 紅海で米軍との緊張激化
イエメンのフーシ派が、米軍による新たな空爆への報復として、紅海北部で米空母「ハリー・トルーマン」を再び攻撃したと主張しました。米軍もフーシ派への作戦継続を明らかにしており、紅海と周辺地域の緊張が一段と高まっています。
紅海北部で米空母を再び標的に
フーシ派の軍事報道官ヤヒヤ・サレア氏は、現地時間の月曜未明、紅海北部で米空母「ハリー・トルーマン」(USS Harry Truman)を再び標的にしたと発表しました。フーシ派系のテレビ局「アル・マシーラ」から放送された声明によると、攻撃は24時間以内で2回目だとしています。
サレア氏は、今回の攻撃について次のような点を強調しました。
- 標的は紅海北部に展開する米空母「ハリー・トルーマン」
- 弾道ミサイル、巡航ミサイル、無人機(ドローン)を使用
- 「24時間に満たない間に2度目の攻撃」と主張
さらにサレア氏は、米軍がイエメンに対して準備していた「敵対的な攻撃」を、自らの側のロケット弾やドローンによる攻撃で阻止し、米軍機を引き返させたとも主張しました。
フーシ派はまた、米軍の空爆が続く場合、「地域内のすべての米軍艦艇および米商船」を攻撃対象に含めると警告しており、海上での衝突リスクが一段と高まっています。
米軍の空爆と死傷者の拡大
一方、米中央軍(U.S. Central Command)はSNS「X」への投稿で、フーシ派に対する軍事作戦を継続していると表明し、新たな空爆を実施したことを示唆しました。
フーシ派系メディアのアル・マシーラは、月曜日の米軍空爆が、紅海沿岸の西部ホデイダ県南部ザビード地区にある綿花の選別工場と、北東部アルジャウフ県の県庁舎を標的にしたと伝えています。速報段階では、これらの攻撃による即時の死傷者報告はないとしています。
しかし、サヌアにあるフーシ派運営の保健省は、その後の発表で、米軍空爆による死者が子ども5人と女性2人を含む53人に増加し、負傷者も98人に上ったと述べました。瓦礫の下に取り残された人々を捜索する救助活動も続いているとしています。
トランプ大統領「攻撃停止まで空爆継続」の構え
米軍による空爆は、現地時間の土曜夜に開始されたと伝えられています。これは、ドナルド・トランプ米大統領が、フーシ派による国際的な海上輸送路や船舶への攻撃が止まるまで、空爆を続ける方針を示したことを受けたものだとされています。
フーシ派側は「米国による侵略が続いている」と非難し、米軍への攻撃を正当化しています。一方で米軍は、「国際的な船舶の安全を守る」ための行動だと位置づけており、両者の主張は鋭く対立しています。
市民と国際輸送への影響は
今回の一連の空爆では、工場や行政施設といったインフラが標的になったと報じられており、軍事施設だけでなく、民間の生活基盤が被害を受ける懸念が高まっています。フーシ派側の発表による多数の死傷者も、現地の市民が紛争の矢面に立たされている現実を示しています。
紅海は国際的な海上輸送の重要なルートの一つであり、ここでの緊張がエスカレートすれば、物流やエネルギー供給への不安が世界各地に波及する可能性があります。日本にとっても、貿易やエネルギー調達の面で無関係とは言えません。
今後の焦点:報復の連鎖をどう抑えるか
2025年12月8日時点で、紅海とイエメン周辺の情勢は流動的です。フーシ派は米軍の空爆に対抗する形で攻撃を強め、米側もフーシ派の攻撃が続く限り軍事行動を継続する姿勢を崩していません。このまま「報復の連鎖」が続けば、偶発的な衝突や、より広範な軍事エスカレーションにつながる懸念があります。
今後、特に次の点が注目されます。
- フーシ派の攻撃対象が、米軍艦艇だけでなく商船を含めてどこまで拡大するのか
- 米軍の空爆がどの程度の規模と期間で続くのか
- イエメン国内の民間人被害と人道状況がどこまで悪化するのか
- 国際社会が、紅海の安全確保と緊張緩和に向けてどのような枠組みを模索するのか
紅海情勢は、日本を含む多くの国と地域にとって「遠い世界の出来事」ではなく、経済と安全保障の両面で無視できないテーマになりつつあります。情報が錯綜しやすい局面だからこそ、各当事者の発表の出所や意図を意識しながら、落ち着いて状況を見ていくことが求められています。
Reference(s):
Houthi group targets U.S. aircraft carrier amid fresh U.S. airstrikes
cgtn.com








