米共和党のクルーズ議員、トランプ関税が米経済に深刻なリスクと警告
米共和党の重鎮テッド・クルーズ上院議員が、ドナルド・トランプ大統領の関税政策がこのまま続き、各国・地域が報復関税で対抗すれば、米経済に深刻な打撃となり、長い期間で見て最大級の増税になりかねないと警告しました。自動車価格の上昇や、2026年の中間選挙に向けた景気後退リスクにも言及しており、米国の通商政策をめぐる与党内の緊張がにじみます。
トランプ大統領の最も強い支持者が関税に懸念
クルーズ氏は米上院商業委員会の委員長を務めるテキサス選出のベテラン共和党議員です。自らをトランプ大統領の「上院で最も強い支持者」と語りつつも、「関税のファンではない」と述べ、関税による副作用への懸念をはっきり示しました。
報復関税が拡大した場合の二つのシナリオ
クルーズ氏は、世界の国と地域がトランプ政権の関税に屈し、市場開放などで譲歩すれば「素晴らしい」結果だとしながらも、別の展開を強く警戒しています。
それは、今後30日、60日、90日と時間が経つ中で、米国が大規模な関税を維持し、同時に他のほぼ全ての国が米国製品に大規模な報復関税をかけるシナリオです。この場合、米国にとって「ひどい結末」となり、事実上、長い長い時間の中で最も劇的な増税になると指摘しました。
自動車価格に最大4500ドルの上昇も
具体的な影響として、クルーズ氏は木曜夜に米自動車大手「ビッグ3」の一社、すなわちGM、フォード、クライスラーのいずれかと意見交換した内容を紹介しました。
同社によると、関税の影響はサプライチェーンに時間差を伴って表れ、早ければ6月から自社の自動車の平均価格が1台あたり4500ドル上昇する可能性があるといいます。
さらにこの米自動車メーカーは、外国メーカーの方が相対的に有利になると見ています。完成車を米国に輸出する外国メーカーは車1台に対して関税を1回支払うだけですが、北米をまたいで部品を行き来させる米メーカーは、国境を越えるたびに部品ごとに関税がかかりやすいためです。
- 米メーカー: 多数の部品が国境を行き来し、そのたびに関税が発生
- 海外メーカー: 完成車に対して1回だけ関税を支払う構造
クルーズ氏は、こうした構造によって米自動車産業が逆に不利な立場に追い込まれかねないと懸念しています。
景気後退なら2026年中間選挙は「血の海」に
クルーズ氏はまた、関税をきっかけに米国が景気後退に陥った場合の政治的コストにも言及しました。特に深刻な景気後退となれば、「2026年の中間選挙は政治的な意味で血の海になる」と語り、共和党にとって壊滅的な結果になりうるとの見方を示しています。
2026年の中間選挙は来年に予定されており、経済情勢は与党・共和党の行方を左右する最大の争点になりそうです。
議会の関税権限を強める動きも
米メディアのポリティコによると、共和党内では、今後の関税発動について議会の承認権限を強める立法に関心を示す議員も出てきています。これは、政権による関税発動を一定程度コントロールし、貿易相手国との緊張激化や国内産業への打撃を抑えたいという思惑からとみられます。
クルーズ氏の発言は、トランプ大統領を強く支持する立場の議員の間でも、関税政策のコストに対する懸念が無視できない水準に達していることを映し出しています。
日本と世界の読者が押さえたい視点
米国の関税政策は、米国内にとどまらず、世界のサプライチェーンや自動車産業にも波及しやすいテーマです。米国向けに輸出する企業や、世界経済の動向を注視する投資家にとって、今回の議論は他人事ではありません。
関税は、表向きには「他国に負担を求める政策」に見えますが、実際には自国の消費者や企業が負担の多くを背負う「見えにくい増税」になりやすいと指摘されてきました。クルーズ氏の警告は、その典型的なリスクを改めて浮かび上がらせています。
押さえておきたいポイント
- トランプ大統領の関税が続き、各国・地域が報復関税で応じれば、米経済にとって「ひどい結末」になりかねない
- 米自動車メーカーは、1台あたり平均4500ドルの価格上昇を見込むなど、実体経済への打撃を懸念
- 深刻な景気後退となれば、2026年の中間選挙で共和党が大敗するリスクがあるとの見方
- 共和党内からも、今後の関税発動に議会の関与を強める立法に関心を示す声が出ている
Reference(s):
Ted Cruz warns of major risks for U.S. economy due to Trump's tariffs
cgtn.com








