米ピュー調査:米国人の中国への否定的な見方が5年ぶりに低下
米ピュー・リサーチ・センターが木曜日に公表した最新の世論調査で、アメリカ人の中国への見方が5年ぶりに「やや改善」したことが分かりました。依然として多数は否定的ですが、その度合いは弱まりつつあります。
調査のポイント:否定的な見方がやや後退
今回の国際ニュースの焦点は、アメリカの対中国観の変化です。ピュー・リサーチ・センターの調査による主な結果は次の通りです。
- 中国を「好ましくない」と見る人の割合は、2024年の81%から2025年は77%に低下しました。
- 中国を「非常に好ましくない」と答えた人は、昨年から10ポイント減少しました。
- 中国を「パートナー」や「競争相手」ではなく「敵」とみなす人は、昨年の42%から、およそ3分の1にまで下がりました。
数字だけを見れば、依然として多くのアメリカ人が中国に否定的な印象を持っていることに変わりはありません。しかし、その「強さ」が弱まりつつあることが今回の特徴です。
調査の概要:関税引き上げのさなかに実施
この世論調査は、ピュー・リサーチ・センターが今年3月24〜30日にかけて、18歳以上のアメリカの成人3,605人を対象に実施しました。2025年のアメリカ社会における対中国観を示す最新のデータです。
注目されるのは、調査のタイミングです。実施時期は、米中間の経済緊張が高まる中にありました。アメリカのドナルド・トランプ大統領は今年2月、中国からの輸入品に対して追加で10%の関税を課し、その後3月初めにはこの追加関税を20%へ引き上げています。いずれの措置も、今回の調査が行われる前に実施されました。
つまり、関税引き上げによる経済摩擦が強まるさなかでも、中国を「非常に否定的」に見る層や「敵」とみなす層は縮小していたことになります。
それでも7割超が否定的 何が変わったのか
全体としては、約8割近い人が中国をあまり好ましく思っていない状況にあり、厳しい見方が続いていることに変わりはありません。一方で、「非常に否定的」と答える層が10ポイントも減ったこと、「中国は敵だ」と考える人が3分の1まで下がったことは、トーンの変化を示しているとも読めます。
今回の調査は、なぜ見方が変化したのかという理由を直接は問うていません。ただ、次のような可能性が考えられます。
- 長期化する米中関係をめぐる報道に慣れ、過度な危機感が薄れつつある可能性
- 中国を「敵」ではなく、「重要な競争相手」や「無視できないプレーヤー」とみる視点が広がりつつある可能性
- 経済、安全保障、気候変動など分野ごとに評価を分けて考える人が増えている可能性
どれか一つではなく、複数の要因が重なりながら、世論の温度が少しずつ変化しているとみることもできます。
「敵」から「競争相手」へ? 言葉のニュアンスが示すもの
今回のピュー調査で象徴的なのは、「中国をどう位置づけるか」という問いに対する変化です。昨年は42%の人が中国をアメリカの「敵」とみなしていましたが、今年は約3分の1まで低下しました。
これは、中国に対する懸念や警戒がなくなったという意味ではありません。しかし、「敵」とまで位置づける人が減ったことは、
- 対立よりも、管理可能な競争関係としてとらえようとする見方
- 安全保障上の課題と同時に、経済や地球規模の課題での協力の必要性を意識する姿勢
が一定程度広がっているサインとも受け取れます。
日本から見た意味:米中関係の「温度変化」をどう読むか
日本にとって、アメリカの対中国観は単なる海外ニュースではなく、外交・安全保障・経済戦略に直結する重要な情報です。米中の関係性は、国際秩序やアジアの安定に大きな影響を与えています。
今回の調査結果は、
- 米中間の経済・安全保障上の緊張は続きつつも、アメリカ国内の世論は「全面対立」一色ではないこと
- 世論の微妙な変化が、今後の外交や経済政策の選択肢に影響しうること
を示しています。
日本にいる私たちにとっても、「アメリカは中国をどう見ているのか」を一枚岩としてとらえるのではなく、今回のようなデータを通じて、その内側にある多様な視点や変化の兆しをていねいに追っていくことが大切になってきます。ニュースをきっかけに、米中関係の「温度変化」を自分なりにどう評価するか、周囲と共有しながら考えてみる余地がありそうです。
Reference(s):
Pew survey suggests fewer Americans hold negative view of China
cgtn.com








