トランプ米大統領、シリア暫定指導者と初会談 イラン核協議にも言及
アメリカのドナルド・トランプ大統領がサウジアラビアのリヤドでシリア暫定指導者アフメド・アル=シャラー氏と会談し、長年途絶えていた米シリア関係の正常化とイラン核協議をめぐるスタンスを示しました。本稿では、この国際ニュースのポイントと中東情勢への影響を整理します。
リヤドでの歴史的会談とオンライン参加
現地時間水曜日、トランプ米大統領はサウジアラビアの首都リヤドで、シリア暫定指導者アフメド・アル=シャラー氏と会談しました。米大統領とシリアの指導者による会談は、数十年ぶりとされています。
会談は、湾岸諸国の首脳とトランプ氏によるサミットの傍らで行われ、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領とサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子兼首相もオンラインで参加したと、トルコ国営アナドル通信が伝えています。
トランプ氏はサミットでの演説で、「米国とシリアの関係正常化は、きょうのアル=シャラー氏との会談から始まった」と述べ、この会談を新たな出発点と位置づけました。
- 米大統領とシリア指導部の会談は数十年ぶり
- 会談は湾岸諸国とのサミットの傍らで実施
- トルコとサウジの指導者もオンラインで同席
シリア制裁の解除表明とアブラハム合意
トランプ氏は会談前日の投資フォーラムで、シリアへの制裁を解除する方針を表明していました。これは米国の対シリア政策における大きな転換とみられます。
同氏はフォーラムで、「シリアに偉大さへのチャンスを与えるため、制裁の停止を命じる」と述べ、ダマスカスとの関係正常化に向けた最初の一歩を踏み出したと強調しました。
サミットの演説では、トランプ氏はシリアに対し、イスラエルとの関係正常化を目指す米国仲介の枠組み「アブラハム合意」への参加も呼びかけました。これは、2024年12月のバシャール・アル=アサド前大統領の退陣後も、イスラエル軍による空爆や地上作戦がシリア領内で繰り返されている中での提案です。
シリア暫定政権が制裁解除とアブラハム合意の双方をどう受け止め、どの程度応じるのかが、今後の米シリア関係と中東和平プロセスに影響を与える可能性があります。
イラン核問題をめぐる間接協議と激しい応酬
トランプ氏は、湾岸諸国とのサミットの場で、イランとの間接協議についても言及しました。この協議は、イランの核開発問題と、米国による制裁解除の可能性をめぐるものです。
同氏は「イランと取引をしたい」としつつも、「そのためには、テロへの支援をやめ、血まみれの代理戦争を終わらせ、核兵器追求を恒久的かつ検証可能な形で放棄しなければならない」と強い条件を示しました。
さらにトランプ氏は、イランを「地域で最も破壊的な勢力」と形容し、自らが科したイラン制裁をすべての国々が順守するよう呼びかけました。シリアへの制裁解除に動く一方で、イランへの圧力を強める姿勢が鮮明になった形です。
これに対し、イランのアッバス・アラクチ外相は、トランプ氏の発言は「真の脅威の源をすり替える、まったくの欺瞞だ」と厳しく批判し、強い不快感を示しました。米国とイランの間接協議は続いているものの、双方の言葉は依然として厳しいままです。
就任後初の本格外遊と湾岸諸国との取引
トランプ氏は現在、就任後初となる本格的な外国訪問の2日目を迎えており、今回の歴訪にはサウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦(UAE)への訪問が含まれています。
サウジアラビア滞在は火曜日に始まり、その中でトランプ氏はサウジ側から総額6000億ドル規模の投資コミットメントを取り付けたとされています。外交と経済を一体で進めるディール型のアプローチが、中東政策にも色濃く反映されているといえます。
シリア制裁解除、イランへの追加制裁、そして巨額投資の引き出しという一連の動きは、トランプ政権が中東で新たな勢力図を描こうとしていることを示唆しています。
日本の読者にとっての論点
今回の米シリア関係正常化の動きとイラン核協議をめぐる応酬は、日本を含むアジアの読者にとっても無関係ではありません。中東情勢の安定は、エネルギー市場や世界経済の先行きに直結するためです。
- シリア情勢の安定が進めば、避難を強いられた人々の帰還や復興の進め方が課題となる可能性
- 一方で、イランへの圧力が高まり軍事的緊張が強まれば、原油価格や海上輸送への影響が懸念されること
- 湾岸諸国と米国の巨額投資合意が、グローバルな資金の流れやテクノロジー協力にどのような波及効果をもたらすか
米国、シリア、イラン、そして湾岸諸国それぞれの思惑が交錯する中で、今回の会談と発言は、中東の力学に新たな緊張と可能性の両方をもたらしています。今後の協議の行方と、具体的な政策実行を見極めていく必要がありそうです。
Reference(s):
Trump meets Syrian interim leader, comments on talks with Iran
cgtn.com








