中国、ロシアとウクライナに和平交渉の勢い維持を要請 国連安保理で発言
中国の国連代表部の幹部が安全保障理事会で、ロシアとウクライナに対し和平交渉の勢いを維持するよう呼びかけるとともに、戦場への武器供与の拡大に強い懸念を示しました。本記事では、その発言内容と国際ニュースとしての意味を整理します。
戦場で増える「より致命的な武器」への懸念
国連安全保障理事会の会合で、中国の国連副代表の耿爽(こう・そう)氏は、ロシアとウクライナの間で直接交渉が進む一方で、戦場にはより致死性が高く破壊力の大きい武器が増えていると指摘しました。
こうした状況について耿氏は、対立をエスカレートさせ、戦闘を長期化させるだけだと警告し、次のような問題点を挙げました。
- 戦場で使用される武器の数と破壊力が増していること
- それが当事者間の対立をさらに激化させるおそれがあること
- 停戦や戦闘終結を求める国際社会の期待に反すること
耿氏は、停戦の実現と戦争の終結にとって有害だと述べ、軍事的な応酬ではなく、緊張緩和と政治的な解決に向けた努力を優先すべきだと訴えました。そのうえで、すべての関係国に対し、和平交渉にふさわしい雰囲気をつくるための条件整備と支援を行うよう呼びかけました。
米国の主張を「事実に基づかない政治的操作」と批判
会合の中で耿氏は、ロシア・ウクライナ情勢をめぐって中国を非難した米国代表の発言にも言及しました。耿氏は、米国代表が再び誤った情報を流し、中国を中傷したと述べたうえで、それは全く受け入れられないと強く反発しました。
そのうえで、米国による中国への攻撃は事実に基づくものではなく、紛争解決のためでもなく、自らの政治的な議題にもとづくものであり、純粋な政治的操作だと主張しました。
中国の対応について、耿氏は次の点を強調しました。
- 中国は紛争当事者のいずれにも致死性のある武器を提供していないこと
- 軍事転用も可能な軍民両用品目についても厳格に管理していること
- 根拠のない非難や政治的な操作には断固として反対する立場であること
さらに耿氏は、紛争の発生と継続について米国には重大な責任があると指摘し、責任のなすりつけ合いではなく、早期の終結に向けた外交的努力に集中すべきだと求めました。
ロシアとウクライナの直接交渉と「勢い維持」の重要性
耿氏はまた、ロシアとウクライナが最近トルコのイスタンブールで直接交渉を行い、捕虜交換に合意したことに言及しました。発言時点では、両国が第二ラウンドとなる直接協議の開催に向けて動いていると説明し、中国としてこうした前向きな展開を歓迎すると述べました。
中国は、和平に向けたあらゆる努力を支持するとしたうえで、当事者に対し次の点を呼びかけています。
- 政治的意思を示し、和平交渉の勢いを維持すること
- 対話と協議を通じて危機の根本原因に向き合うこと
- 最終的な政治的解決の実現を目指すこと
耿氏は、紛争当事者は国際人道法を真剣に順守し、いかなる状況でも民間人や民間インフラへの攻撃を控えるべきだとも強調しました。2025年5月には、ウクライナ南部のオデーサ地方でロシアのドローン攻撃により住宅が破壊される被害が生じており、民間人の生活への打撃の深刻さが改めて浮き彫りになっています。
中国が示す一貫した「対話重視」の姿勢
ウクライナ問題に対する中国の立場について、耿氏は「一貫して明確だ」と強調しました。危機の発生以来、中国は対話と交渉、そして政治的解決を繰り返し呼びかけてきたと述べています。
中国は、ロシアともウクライナとも連絡を保ち、和平交渉を後押しするための働きかけを続けてきたと説明しました。また、グローバル・サウス(南半球や新興国を中心とする国々)やより広い国際社会とともに、「真の平和」を追求するうえで建設的な役割を果たす用意があるとしています。
私たちが読むべきポイント
今回の発言は、ロシアとウクライナの戦闘だけでなく、国際社会がどのような道筋で和平を目指すべきかという、より大きな問いも映し出しています。日本語で国際ニュースを追う私たちにとって、考えておきたいポイントを整理します。
- 武器供与と外交努力のバランス
一部の国々は、紛争当事者を支えるためには軍事支援の拡大が不可欠だと考えています。他方、今回の中国のように、武器が増えれば戦闘が長期化し、和平が遠のくと警鐘を鳴らす声もあります。軍事と外交をどう組み合わせるのかは、今後も大きな論点であり続けます。 - 国連安保理という「言説の場」
耿氏が米国の姿勢を厳しく批判したように、国連安保理は紛争解決の場であると同時に、主要国同士が互いの「責任」や「正当性」を主張し合う舞台でもあります。どの国がどのような言葉で自らの立場と役割を語っているのかに注目することで、国際政治の力学がより立体的に見えてきます。 - グローバル・サウスの視点
紛争が長引けば、エネルギーや食料価格、世界経済への影響は大きくなります。そのため、多くの国や地域が、早期の政治的解決と対話の継続を重視してきました。中国が自らを「建設的な役割」を果たす存在として位置づけていることは、こうした流れの中で理解することができます。
軍事力か外交かという単純な二択ではなく、人命を守りつつ持続可能な和平に近づくために、どのようなアプローチが望ましいのか。中国の今回の発言は、その問いを改めて私たちに投げかけています。
Reference(s):
China calls on Russia, Ukraine to maintain momentum of peace talks
cgtn.com








