WHO「ガザは人為的な大規模飢餓」増える餓死と支援不足の実態 video poster
世界保健機関(WHO)は、封鎖と支援制限が続くパレスチナ・ガザ地区で「人為的な大規模飢餓」が進行していると強い表現で警告しました。現地では餓死と栄養失調による死者が増え続けており、国際社会の対応があらためて問われています。
WHO「これは人為的な大規模飢餓」
WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェスス事務局長は、オンラインでの記者会見で、ガザの現状について「大規模な飢餓と呼ぶほかない。それは人為的なものであることが非常に明らかだ」と述べ、ガザへの封鎖が主な原因だと指摘しました。
テドロス事務局長によると、国連と人道支援団体は今年3月から5月まで、およそ80日間にわたり、ガザに一切の食料を届けることができなかったといいます。その後、支援は一部再開したものの、現在も必要量には大きく届いていないとしています。
封鎖と支援制限で細る生活線
複数の支援団体によれば、ガザの食料供給は、イスラエルによる封鎖が今年3月に全面的に強化されて以降、事実上「底をついた」状態だとされています。封鎖はパレスチナの武装組織ハマスとの戦闘の一環として実施されました。
5月に入り封鎖は一部緩和されたものの、国際機関は「ガザに暮らす約220万人の人びとに対し、届いている支援はごく限られた量にとどまっている」と指摘します。大量の食料や飲料水、医療物資がガザ外で足止めされている状況も伝えられています。
増え続ける餓死、111人が飢えで死亡
ガザの保健当局は、飢餓によって新たに10人が死亡したと発表しました。これにより、戦闘の開始以降、飢えが直接の原因とされる死者は合計111人に達したとしています。その多くは、ここ数週間のうちに亡くなった人たちだとされています。
WHOは、今年これまでに栄養失調が直接の原因となった子どもの死者が少なくとも21人確認されていると報告しました。ただし現場では、医療機関の機能不全やデータ収集の困難さから、実際の犠牲者数はさらに多い可能性が高いとみています。
栄養失調の治療センターはすでに満床で、緊急対応に必要な医薬品や栄養補給食も不足しているとされます。
子どもと妊婦に広がる深刻な栄養失調
WHOが行った健康診断の結果によると、ガザの人口の約1割が中程度から重度の栄養失調の状態にあるとされています。特に妊婦への影響は深刻で、妊婦の最大2割が栄養失調に苦しんでいると報告されました。
WHOで占領下パレスチナ地域を担当するリック・ピーペルコーン氏は、「7月だけで5,100人の子どもが栄養失調プログラムに新規に登録され、そのうち800人は極度にやせ細った重度の状態だった」と説明しています。
成長期の子どもや妊婦が栄養を十分に取れない状況が続けば、命の危険だけでなく、長期的な健康への影響も懸念されます。
イスラエル側と国際機関、それぞれの主張
イスラエルは、ガザへの支援物資の持ち込み制限について「支援が武装組織に流用されるのを防ぐために不可欠だ」と主張しています。また、必要な食料の供給を妨げてはいないとし、ガザの厳しい状況についてはハマス側に責任があると繰り返し述べてきました。
一方で、WHOや支援団体は、現場に届いている食料や医療物資が明らかに不足しているとして、「人為的な大規模飢餓」という強い言葉で危機を訴えています。100を超える人道支援団体も共同で、ガザの飢餓が急速に深刻化していると警鐘を鳴らしました。
「人為的な飢餓」という言葉が投げかける問い
武力衝突の影響で、市民の生活基盤や食料供給が壊れるケースは少なくありません。しかし、今回WHOが「人為的な大規模飢餓」とまで表現したことは、単なる自然災害や一時的な物資不足とは違う、構造的な問題があることを強く示唆しています。
ガザのケースでは、封鎖や検問による支援物資の遅延・制限が、餓死や栄養失調をどこまで悪化させているのか。そして、軍事的な安全保障と、人道的な支援の確保をどう両立させるべきなのか。国際社会にとっても、難しい問いが突きつけられています。
ニュースに触れる私たち一人ひとりにとっても、「飢えで人が命を落とす状況を許さない」という価値観を前提に、どのような情報に注目し、どのような議論を求めていくのかが問われていると言えるでしょう。
Reference(s):
WHO says Gaza facing man-made 'mass starvation' as hunger deaths surge
cgtn.com








