トランプ氏、ロシア産原油巡りインド関税引き上げを再警告
トランプ米大統領が、インドによるロシア産原油の購入を理由に、インド製品への関税を「大幅に引き上げる」と再び警告し、インド政府が「不当で理不尽だ」と強く反発しています。ロシア・ウクライナ紛争と対ロシア制裁が、米印関係とエネルギー市場に新たな緊張をもたらしています。
何が起きたのか
週明けの月曜日、トランプ米大統領はソーシャルメディアへの投稿で、インドのロシア産原油の扱いを厳しく批判しました。
トランプ氏は投稿で、インドは「大量のロシア産原油を購入しているだけでなく、その多くを国際市場で転売し、大きな利益を上げている」と指摘しました。そのうえで「インドが米国に支払う関税を大幅に引き上げる」と強調し、対インド関税の追加引き上げ方針を示しました。
さらにトランプ氏は、ロシアがウクライナ危機の終結に向けた具体的な措置を取らない限り、今週金曜日からロシアに対する新たな制裁に加え、ロシアのエネルギー輸出を購入する国々にも制裁を科すと表明しています。
インド側の反発と主張
これに対し、インド外務省の報道官は、トランプ氏の発言を「不当で理不尽だ」と批判し、強い不快感を示しました。
報道官は、インドは「自国の国家利益と経済安全保障を守るために必要なあらゆる措置を講じる」と述べ、対ロシア原油取引を含む経済政策について、外圧ではなく自国の判断で決める姿勢を明確にしました。
背景:ロシア産原油と制裁のはざまで
インドは、2022年初頭にロシア・ウクライナ紛争が始まって以降、欧米を中心とする西側から「ロシアから距離を置くように」と繰り返し求められてきました。しかし、インドはロシアとの長年の関係と国内の経済的な必要性を理由に、こうした圧力に抵抗してきました。
週末には、インド政府関係者がメディアに対し、トランプ氏の制裁や関税の警告があっても、ロシアからの原油購入を続ける方針だと語ったと報じられています。
報道によると、インドは今年1月から6月にかけて、ロシア産原油を日量約175万バレル輸入し、ロシア産原油の海上輸入で最大の買い手になっています。
インド側は、ロシアからの原油輸入が増えた理由について、従来の供給が欧州向けに振り向けられたため、他の調達先を探さざるを得なかったと説明しています。外務省報道官は、これは「世界的な市場環境に迫られた必然」だと強調しました。
また同報道官は、西側、特に欧州連合(EU)によるロシアとの二国間貿易にも言及し、「インドを批判している国々自身がロシアと取引を続けていることは示唆的だ」と述べ、インドだけが矢面に立たされることへの不満をにじませました。
米印関係と通商協議への影響
トランプ政権は、すでに7月にインドからの輸入品に対し25%の関税を発表しており、今回の表明はそれに続く「第二弾」ともいえる動きです。
米政府高官らはこれまで、対ロシア政策や安全保障、インドの経済政策など、複数の地政学的な課題が、米印間の本格的な通商合意の障害になっていると指摘してきました。今回のロシア産原油をめぐる対立は、その溝をさらに深めかねません。
安全保障面では協力を強めてきた米印両国ですが、エネルギーや貿易の領域では利害の衝突が顕在化しており、それが今回の「関税カード」として表面化したとも見ることができます。
今後の焦点:制裁発動とエネルギー市場
トランプ氏は、ロシアがウクライナ危機の緩和に動かなければ、今週金曜日からロシアと、そのエネルギー輸出を購入する国々を対象に新たな制裁を発動するとしています。しかし、ロシアのプーチン大統領がこれに応じて姿勢を変える兆しは、現時点で示していません。
一方で、インドはロシア産原油の購入継続を明言しており、米国の圧力と自国のエネルギー安全保障との間で、難しいかじ取りを迫られています。ロシア産原油を割安で確保できるかどうかは、物価や成長率などインド経済全体にも直結するためです。
今後、注目すべきポイントは次の通りです。
- 米国が実際にインド製品への関税をどの程度、いつから引き上げるのか
- インドがロシア産原油の輸入方針を見直すか、それとも現状維持を貫くのか
- 対ロシア制裁の拡大が、世界の原油価格や新興国のエネルギー政策にどのような影響を与えるのか
ロシア・ウクライナ紛争をめぐる制裁は、単なる外交・安全保障の問題にとどまらず、エネルギー価格やインフレ、各国の成長戦略とも深く結びついています。インドと米国のせめぎ合いは、今後の国際秩序やエネルギー市場の行方を占う一つの試金石となりそうです。
Reference(s):
Trump again threatens to hike tariffs on Indian goods over Russian oil
cgtn.com








