国際ニュース:中国がCOP29で「発展パターンの転換」を提唱 気候変動対策を加速へ
アゼルバイジャンの首都バクーで開かれている国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)の首脳級会合で、中国の丁薛祥(ディン・シュエシャン)副総理が、気候変動に対応するためには「発展パターンの根本的な転換」が必要だと強調し、各国に集団的な行動を呼びかけました。国際ニュースとして、今後の気候ガバナンスとエネルギー転換の方向性をうかがわせる発言です。
COP29首脳級会合での中国のメッセージ
丁副総理は、習近平国家主席の特別代表としてCOP29の「世界気候行動サミット」に出席し、世界の気候ガバナンス(地球規模のルールづくりと協力の枠組み)について演説しました。中国共産党中央政治局常務委員でもある丁氏は、気候危機が深刻化する中で、各国が期待に応える形で行動を加速させるべきだと訴えました。
今回のCOP29は、国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)採択から30周年という節目でもあります。丁氏は、この節目の会議で実質的な成果を出すためにも、国際社会が連携して取り組む必要があると強調しました。
「共通だが差異ある責任」原則の再確認
演説の中で丁氏は、気候交渉の基本となる「共通だが差異ある責任」の原則を改めて前面に出しました。この原則は、「地球温暖化の原因となる温室効果ガスの削減はすべての国が取り組むべき共通の責任だが、その歴史的な排出量や能力の違いを踏まえ、負担の仕方には差を設ける」という考え方です。
- 先進国には、より高い削減目標を掲げ、公約を着実に履行し、カーボンニュートラル(実質排出ゼロ)に向けた行動を加速すること
- 途上国には、自国の能力に応じて最善の努力を続けること
丁氏は、このバランスが保たれてこそ、公平で実効性のある国際協調が成り立つと訴えました。
「発展パターンの転換」と公正なエネルギー転換
丁氏が特に強調したのが、「気候変動対策は、単なる排出削減にとどまらず、発展パターンそのものの根本的な転換を伴う」という点です。経済成長とエネルギー利用のあり方を見直し、よりグリーンで持続可能な形へと移行していくことが求められるとしました。
その一環として、世界的なエネルギー転換を「公平で、秩序立てて、そして公正に」進めることが重要だと指摘しました。ここで丁氏は、次のポイントを挙げています。
- 新エネルギー産業のサプライチェーン(供給網)と産業チェーンの安定を確保すること
- グリーン製品や環境技術のイノベーション(技術革新)を促進すること
- それらの技術や製品へのアクセスを各国が得られるようにすること
サプライチェーンの安定はなぜ重要か
再生可能エネルギーや電気自動車などの「新エネルギー産業」は、多くの国や企業が関わる長いサプライチェーンの上に成り立っています。丁氏は、このチェーンが分断されたり不安定になったりすると、世界的なエネルギー転換が遅れ、結果として気候変動への対応も弱まってしまうと警鐘を鳴らしました。
グリーン技術を「使えるもの」にする視点
また、グリーン技術や製品が存在しても、それが高価すぎたり、一部の国にしか届かなかったりすれば、世界全体の排出削減にはつながりにくいという課題があります。丁氏は、技術のイノベーションと同時に、「誰もが利用できるようにすること」が重要だと指摘し、アクセス向上の必要性を強調しました。
資金と技術移転:途上国支援のカギ
丁氏は、途上国が気候変動に適応し、より持続可能な発展に向かうには、資金と技術の両面での支援が欠かせないと述べました。特に、先進国に対しては、次のような役割を果たすよう求めました。
- 気候変動対策に必要な資金支援を拡大すること
- 途上国への技術移転を強化し、温室効果ガス削減や適応策の実行力を高めること
また、COP29の成果として、次の段階の地球規模の気候行動を支える「より野心的な資金目標」が打ち立てられることに期待を示しました。これは、今後数年の国際交渉の焦点ともなりうる論点です。
中国の立場:「人類運命共同体」とクリーンな未来
演説の最後に丁氏は、「人類運命共同体」のビジョンに導かれつつ、各国と協力して地球を守り、清潔で持続可能な未来を築く用意があると表明しました。このビジョンは、中国が外交や国際協力の場で繰り返し掲げているキーワードで、気候変動など地球規模課題への取り組みにも位置づけられています。
中国がCOP29の場で、発展パターンの転換や公正なエネルギー転換、途上国支援を強く打ち出したことは、今後の交渉で合意を形作るうえで重要なメッセージとなりそうです。
読者が押さえておきたいポイント
今回の発言から見えてくるポイントを、国際ニュースに関心の高い読者向けに整理すると、次のようになります。
- 気候変動対策は、排出削減だけでなく「発展モデルの転換」が大きなテーマになっている
- 先進国と途上国の「責任と負担」をどう分かち合うかが、依然として交渉の中心にある
- エネルギー転換には、技術だけでなく、サプライチェーンの安定と資金・技術支援が不可欠
- 中国は「人類運命共同体」というビジョンのもと、協調的な枠組みを重視する姿勢を示している
2025年のいま、気候変動をめぐる国際議論は、エネルギーや産業、金融など、私たちの日常につながる領域と不可分になりつつあります。COP29での議論は、ニュースとして追うだけでなく、「どのような発展のあり方が望ましいのか」を考えるきっかけにもなりそうです。
Reference(s):
China calls to transform development pattern to address climate change
cgtn.com








