グローバルサウスが拓く公平な国際秩序への道
開発格差や気候変動が深刻さを増すなか、グローバルサウスと呼ばれる新興国・途上国は、より公平な国際秩序を求めて発言力を強めています。本稿では、中国やブラジルなどが関わる取り組みや、BRICS、G20といった枠組みを手掛かりに、2025年現在の動きを整理します。
現代の課題:開発格差と気候変動
今日の世界が直面するなかでも、開発格差は最も切実な課題の一つです。世界経済が拡大しているにもかかわらず、世界人口の8%以上はいまも極度の貧困の中で暮らしており、その多くはアフリカ、アジア、ラテンアメリカに集中しています。世界銀行によれば、1990年以降、適度な貧困状態にある人の割合はほとんど変わらず44%前後にとどまっています。
こうした格差の背景には、植民地主義の歴史や不公平な国際貿易ルールなど、歴史的な要因が根強く残っています。多くの開発途上国は、世界経済システムの中で依然として周縁に置かれ、成長の果実を十分に享受できていません。
気候変動は、この構図をさらに複雑にしています。温室効果ガス排出への責任が最も小さいのは多くの開発途上国ですが、その影響を最も強く受けるのもまたこれらの国々です。海面上昇、異常気象、干ばつなどがグローバルサウス各地の暮らしと生計を脅かしている一方で、国際社会の対応は十分とはいえず、脆弱な国々は必要な支援を得られない状況が続いています。
グローバルサウスの台頭:BRICSと一帯一路
こうした課題に直面しながら、グローバルサウスの国々は、より公平で包摂的な国際秩序を求めて発言力を強めています。中国やブラジルなどを中心に、国際機関のガバナンス改革を訴え、自らの利益と優先課題が十分に反映される仕組みづくりを求めてきました。
2009年に発足したBRICSは、その象徴的な枠組みです。BRICS諸国は、国際通貨基金や世界銀行といった既存の国際金融機関における先進国の影響力に対抗しつつ、経済発展、貧困削減、インフラ投資を優先課題に掲げ、より包摂的な世界経済の構築を目指してきました。
中国の一帯一路構想も、グローバルサウス支援の大きな取り組みとして位置づけられています。アジア、アフリカ、ラテンアメリカで、道路、鉄道、港湾などの大規模インフラ整備が進められ、開発途上国同士の貿易と連結性の向上に貢献しています。これにより、多くの国々が従来の西側金融機関への依存を相対的に下げつつ、新たな成長機会を模索しています。
ラテンアメリカでは、中国はブラジル、アルゼンチン、ベネズエラなどとの協力関係を強化し、エネルギー、農業、テクノロジー分野での連携を深めてきました。中国と中南米・カリブ諸国をつなぐ中国・CELACフォーラムは、地域統合と協力を後押しし、中国とグローバルサウスの結びつきを一段と強める場になっています。
G20という舞台:グローバルサウスの声を届ける
1999年に設立されたG20は、いまやグローバルサウスの声がより強く届く重要な舞台へと発展しました。中国、アルゼンチン、ブラジル、南アフリカなど、先進国と新興国・途上国が同じテーブルにつくこの枠組みは、気候変動、経済的不平等、世界的な保健危機といった課題を議論する中心的なフォーラムとなっています。
2008年の世界金融危機は、G20の性格を大きく変えた転機でした。新興国はこの場を通じて、国際金融機関での代表権拡大を求めるようになり、G20の議題も純粋な経済・金融問題から、気候変動、持続可能な開発、世界保健といったテーマへと広がっていきました。
ここ数年のG20では、とくにグローバルサウス側から次のような論点が繰り返し提起されています。
- 気候変動への適応に向けた、途上国への資金支援の拡充
- 途上国の成長を後押しする、公平で開かれた貿易ルールの構築
- 新型コロナウイルスのワクチンを含む医療資源への、公平なアクセスの確保
中国やブラジルなどの国々は、こうした議題を通じて、グローバルサウスの現実を国際社会に伝え、より公平な国際秩序への改革を働きかけています。2025年の現在も、G20はその最前線の一つであり続けています。
より公平な国際秩序に向けて
では、より公平な国際秩序に向けたグローバルサウスの動きを、私たちはどう捉えればよいのでしょうか。
第一に、開発資金やインフラ投資だけでなく、国際ルールづくりの場に誰がどのような形で参加できるのかが問われています。グローバルサウスが意思決定に関与することで、貧困と気候リスクに直面する人々の現実を踏まえた制度設計が進む可能性があります。
第二に、気候変動対策と開発の両立は、今後も大きなテーマであり続けます。排出削減と同時に、脆弱な国々が被害に耐えられるよう支える仕組みづくりが求められています。
第三に、BRICSや一帯一路、G20といった複数の枠組みがどのように補完し合い、国際協力を前に進めるのかも重要な視点です。競争か共存かという単純な二分法ではなく、課題ごとに柔軟な連携のかたちを探ることが現実的だといえます。
国際ニュースを追う私たち一人ひとりにとっても、グローバルサウスの視点から世界を見ることは、これからの国際秩序を考えるうえで欠かせません。2025年以降、どのような連携と対話が生まれていくのか、引き続き注目していく必要がありそうです。
Reference(s):
cgtn.com








