CGTNドキュメンタリーで見る北京の音・色・景色 都市の記憶をたどる video poster
中国の首都・北京を「音」「色」「景色」という切り口から描いたCGTNのドキュメンタリー『The Sights, Sounds and Shades of Beijing』が、2025年のいま注目を集めています。800年以上の歴史を持つ大都市の素顔を、アーティストやクリエイターの視点から静かに掘り下げる作品です。
CGTNドキュメンタリーが映す「北京のいま」
このドキュメンタリーは、北京の魅力と遺産が、数々の象徴的な「音」、鮮やかな「色」、そして心を動かす「景色」に宿っていることに光を当てます。観光ガイドに載る名所だけでなく、日常の空気や人々の営みまで含めて、中国の首都を立体的に描き出そうとしています。
800年都市を「耳」でたどる:サウンドアーティストの挑戦
作品の軸の一つとなるのが、サウンドアーティストのコリン・チナリー(Colin Chinnery)氏です。チナリー氏は長年にわたり、北京の街にあふれる独特の音を集め続けてきました。路地を行き交う人々の話し声や、朝の市場のざわめき、遠くから聞こえる交通の音など、都市の「音風景」は時間とともに変化していきます。
急速に姿を変える大都市では、かつて当たり前だった音が、ある日を境に消えてしまうこともあります。チナリー氏の試みは、そうした音を録音し、未来の世代に残す「耳のアーカイブ」とも言えます。私たちが住む東京や大阪でも、同じことが起きつつあるのかもしれません。
- どんな音を残せば、その都市らしさが伝わるのか
- 録音という行為自体が、街との関わり方をどう変えるのか
- 失われつつある音を記録することは、歴史を残すこととどうつながるのか
作品はこうした問いを静かに投げかけながら、音を通じて北京という都市の記憶をたどっていきます。
伝統工芸が探す「北京の青」:シェン・ウェングアン氏
もう一人の重要な登場人物が、景泰藍(けいたいらん)と呼ばれるクロワゾネ技法の名匠、シェン・ウェングアン(Shen Wenguang)氏です。景泰藍とは、金属の素地に細い金属線で模様を仕切り、その中に色ガラスの粉を入れて焼き上げる、華やかな金属工芸です。
シェン氏が追い求めているのは、「北京の精神を本当に表現できる青」です。澄んだ冬の空、歴史ある建物の屋根瓦、街を彩る看板や装飾──北京を思い浮かべたときに、多くの人が心の中に描く「青」は、決して一色ではありません。
作品は、伝統工芸の技と感性を通じて、「都市の色とは何か」というシンプルで奥深いテーマに迫ります。
- 歴史と現代をつなぐ「色」としての青
- 世代や記憶によって変わる「北京のイメージカラー」
- 職人のまなざしから見た、都市と文化の関係
本とSNSで描く「変わりゆく首都」:ソン・ジュアンジュアン氏
三人目として紹介されるのが、生まれも育ちも北京というソン・ジュアンジュアン(Song Zhuangzhuang)氏です。ソン氏は、書籍の執筆とソーシャルメディアを通じて、変わり続ける中国の首都の姿を発信してきました。
本という「ゆっくり読まれるメディア」と、SNSという「リアルタイムのメディア」を組み合わせることで、ソン氏は北京の日常を多層的に描き出します。古い街並みが再開発され、新しい建物や生活スタイルが生まれていく中で、何を残し、何を変えていくのか。その悩みや迷いも含めて記録しようとしている点が印象的です。
SNSに投稿された一枚の写真や短い動画が、人々の記憶や感情を呼び起こし、議論を生むこともあります。作品は、デジタル時代の「都市の語り方」の一例としても、興味深いケーススタディになっています。
日本の都市にも重なるテーマ
『The Sights, Sounds and Shades of Beijing』が描くのは、北京という一つの都市の物語でありながら、日本の都市にも通じる普遍的なテーマです。
- 音:駅の発車メロディーや商店街の呼び込みなど、私たちの周りにも「その街らしい音」はあります。
- 色:看板の色、街路樹の緑、夕暮れの空のトーンなど、都市は独自の「カラーパレット」を持っています。
- 物語:本やSNS、動画など、誰もが都市の姿を記録し、共有できる時代です。
北京の事例を見ることで、私たち自身の街の音や色、そして物語を、あらためて意識してみたくなる人も多いのではないでしょうか。
都市を感じる新しい入口として
国際ニュースというと、政治や経済の動きに目が行きがちですが、都市の日常や文化を追うドキュメンタリーは、社会を別の角度から理解するための大切な手がかりになります。
この作品が示しているのは、「都市を知ることは、その音や色、人々の営みを丁寧に見ることでもある」という視点です。スマートフォンで動画やSNSを眺める時間の合間に、ふと自分の周りの音を聞いてみる、街の色を意識して歩いてみる──そんな小さな実践につなげてみるのも、一つの楽しみ方と言えそうです。
Reference(s):
CGTN Documentary releases “The Sights, Sounds and Shades of Beijing”
cgtn.com








