中国の公共関係とAIが拓く社会ガバナンスの未来
中国の公共関係(パブリック・リレーションズ)と人工知能(AI)、デジタル経済が、社会ガバナンスをどう強化できるのか。2024年に北京で開かれた「2024中国発展公共関係大会」では、そのヒントとなる議論が交わされました。
2024年北京で議論された「公共関係と社会ガバナンス」
2024年に北京市で開催された「2024中国発展公共関係大会」には、公共関係の専門家とAI分野の専門家が集まり、公共関係が社会ガバナンスをどのように高められるかについて意見交換を行いました。
会議を主催したのは、中国公共関係協会(CPRA)です。会場では、公共関係を単なる広報ではなく、社会全体の対話や合意形成を支える仕組みとしてどう位置づけるかが大きなテーマとなりました。
あわせて、2024年の優れた公共関係事例やデモンストレーションプロジェクトも発表され、実務レベルでの具体的な取り組みが共有されました。
公共関係は「現代化」のエンジンに
中国公共関係協会の郭偉明(Guo Weiming)会長は、公共関係は経営とコミュニケーションの両面を持つ分野として、社会の現代化において欠かせない役割を果たすと強調しました。
郭氏によれば、公共関係の強みを最大限に生かし、社会ガバナンスの現代化プロセスに統合していくことは、次のような目標にとって重要だとされています。
- 新発展理念の全面的な実行
- 質の高い発展を着実に前進させること
- より高いレベルの対外開放を推進すること
また、変化の激しい環境の中で、公共関係業界は新たな機会と課題を的確につかみ、社会的な合意を築き、前向きな外部環境をつくる役割を果たすことが求められると指摘しました。
AIは社会ガバナンスの「共創ツール」
知能音声技術を手がける科大訊飛(iFLYTEK)の共同創業者で上級副総裁の江涛(Jiang Tao)氏は、AIの発展が公共関係と社会ガバナンスにもたらす機会と課題について語りました。
江氏は、自社が強みを持つAI分野の経験を踏まえながら、新世代のAI技術を活用することで、社会ガバナンスの次のような側面を高められると指摘しました。
- 行政やサービス提供の効率化
- 組織や地域をまたぐ協働の促進
- 政策決定や運営プロセスの透明性向上
こうした取り組みを通じて、人々の「暮らしの満足感」や「安心感」を継続的に高めていくことが重要だとしています。AIは単なる技術ではなく、住民とのコミュニケーションを支える基盤として位置づけられつつあります。
5Gとデジタル経済が生む新たな生産力
中国国際経済交流センター副理事長の王一鳴(Wang Yiming)氏は、AIや「5G+工業インターネット」のような新しいモデルが急速に発展することで、新たな産業と生産力が生まれていると指摘しました。
具体的には、次のような変化が進んでいるといいます。
- 高度に自動化された「インテリジェント製造」の拡大
- 製品提供だけでなくサービスも重視する「サービス型製造」の広がり
- デジタル技術を軸にした新しい産業群の形成
これらは、新しいタイプの「質の高い生産力」を生む原動力になりつつあります。王氏は、今後を見据えて、デジタル経済関連産業の育成や、将来の産業に向けた戦略的な計画、そしてデジタル知能技術を伝統産業や情報インフラに統合していくことの重要性を強調しました。
日本の読者にとっての示唆
今回の議論は、中国の公共関係や社会ガバナンスの話にとどまらず、デジタル社会を生きる私たちに共通するテーマも含んでいます。
- 情報があふれる時代に、社会の合意や信頼をどうつくるか
- AIを行政や地域運営に取り入れる際、透明性や説明責任をどう確保するか
- デジタル経済の成長と、人々の生活の質向上をどう結びつけるか
これらは、日本を含む多くの国や地域が直面している問いでもあります。中国での議論を手がかりに、自分たちの身近な行政サービスやコミュニティ運営を振り返ることもできそうです。
2025年に改めて考えたいこと
2025年の今、生成AIや5G、デジタル経済をめぐる議論は、世界各地でさらに加速しています。そのなかで、2024年に北京で交わされた「公共関係と社会ガバナンス」をめぐる議論は、引き続き参考になる視点を与えてくれます。
公共関係の視点で社会との対話と信頼を築きつつ、AIやデジタル技術を賢く生かしていくこと。ハイテクと人間らしさをどう両立させるのかが、これからの社会ガバナンスの大きな課題だと言えそうです。
Reference(s):
cgtn.com