ハルビン2025アジア冬季競技大会 開会式準備の舞台裏 video poster
2025年2月7日の開会式に向けて、中国東北部・黒竜江省ハルビンでは第9回アジア冬季競技大会(ハルビン2025)の準備が着々と進められていました。アジア冬季競技大会としては史上最多規模が見込まれたこの国際ニュースの舞台裏を、日本語ニュースとして振り返ります。
ハルビン2025には、カンボジアやサウジアラビアを含む34の国と地域から1,275人の選手が登録し、「大会史上もっとも多くの参加者になる見込み」とされていました。冬のスポーツがアジア各地へと広がりつつある流れを象徴する大会でもあります。
ハルビン2025:数字で見るアジア冬季競技大会
まずは、ハルビン2025の基本的な枠組みを押さえておきます。
- 大会名:第9回アジア冬季競技大会(ハルビン2025)
- 開催地:中国東北部・黒竜江省ハルビン
- 開会式予定日:2025年2月7日
- 参加予定選手数:1,275人
- 参加国・地域数:34
- 初参加:カンボジア、サウジアラビア
1,000人を超える選手が一つの都市に集まり、複数の競技会場で戦う国際イベントは、それだけで都市のインフラや運営能力が問われます。ハルビンにとっても、アジアの冬のスポーツ拠点としての存在感を示す機会となりました。
北京からハルビンへ:沙曉嵐チームが再び大役
開会式と閉会式の両方で、総合演出を担ったのが沙曉嵐(シャ・シャオラン、Sha Xiaolan)さんです。沙さんとクリエイティブチームは、2022年の北京で行われた冬季オリンピックとパラリンピックの開閉会式も手がけ、「3年前の成功を、アジア冬季競技大会でももう一度」と意気込みを語っていました。
大会開幕を目前に控えた時期に、中国メディアグループ(CMG)の取材に応じた沙さんは、準備状況について次のように説明しています。
「全体の進行はとても順調です。開会式の約2カ月前にあたる12月には、メイン会場で各セグメント(演目ごとのパート)のリハーサルを始め、この段階はすでに無事に終えました」
そのうえで、「これからは、個々のセグメントをつなぎ合わせて一つの流れにまとめる作業に進みます」と話し、細部と全体のバランスを整える最終段階に入ったことを明かしました。
テーマは「冬の夢、アジアの愛」:シンプルで壮大、そして安全に
沙さんがめざしたのは、「シンプルでありながら壮大で、安全な開会式」です。派手な演出だけを追い求めるのではなく、Dream of Winter, Love among Asia(冬の夢、アジアの愛)という大会のテーマを、観客が自然に感じ取れる構成にすることが重視されました。
シンプルさを掲げる背景には、メッセージをわかりやすく届けたいという意図があります。多くの国と地域から観客や選手が集まる国際イベントでは、言語や文化の違いを超えて共有できる「共通のイメージ」が鍵になります。
- 冬の静けさや透明感を表現する照明や色使い
- アジア各地のつながりを感じさせる映像やパフォーマンス
- 観客の安全と快適さを最優先した動線と進行
こうした要素を組み合わせることで、「冬の夢」と「アジアの愛」を視覚的にも感情的にも伝える構想が描かれていました。
ハルビンの街そのものがステージに
クリエイティブチームに強い印象を与えたのは、ハルビンの街並みや冬の景観でした。沙さんは、次のような都市のランドマークが特に記憶に残ったといいます。
- ヨーロッパ風の街並みで知られる中央大街(Central Avenue)
- 巨大な氷像や雪像が立ち並ぶ氷雪大世界(Ice and Snow World)
- 音楽イベントでにぎわうミュージックスクエア(Music Square)
これらの要素は、単なる背景ではなく、「開会式の美的なインスピレーションであり土台」として、演出全体に織り込まれる設計になっていました。都市の魅力をそのままステージに持ち込み、ハルビンならではの「冬の魔法」を共有する狙いです。
近年の国際スポーツイベントでは、開催都市の個性をどう表現するかが重要なテーマになっています。ハルビン2025でも、街の歴史や文化、冬の観光資源をどのようにビジュアル化するかが、開会式の大きな軸の一つとなりました。
史上最多の参加見込み:アジアの冬スポーツはどこまで広がるか
ハルビン2025には、カンボジアやサウジアラビアといった、これまで冬のスポーツのイメージが強くなかった国も初めて参加すると伝えられていました。大会前の時点で、参加国・地域は34、選手数は1,275人と、「アジア冬季競技大会史上最多の参加が見込まれる」とされています。
背景には、アジア各地で進むスケートリンクやスキー場などの整備、そして冬季スポーツを新たな観光・産業の柱にしようとする動きがあります。温暖な国や地域でも、室内リンクや高地の施設を活用することで、冬の競技に挑戦する土壌が整いつつあります。
こうした広がりは、日本を含むアジア全体にとっても無関係ではありません。アジア内で競技レベルと層が厚くなれば、選手にとっては国際大会の機会が増え、観客にとっては新しいライバル関係や物語が生まれます。
なぜ今、ハルビンの開会式準備を振り返るのか
2025年のハルビン大会の開会式づくりを振り返ることは、単に一つのイベントを回顧する作業ではありません。そこには、次のような問いが含まれています。
- アジアの冬のスポーツ文化は、これからどのように変化していくのか
- 国や地域を超えて「共有できる物語」を、演出はどこまでつくり出せるのか
- 巨大イベントの安全性と創造性を、どう両立させていくのか
「冬の夢、アジアの愛」というテーマのもと、ハルビンの街とアジアの多様な国と地域がどのように一つのステージに集まったのか。その設計思想を追いかけることは、これからアジアで開催されるさまざまな国際イベントを考えるうえでも、ヒントを与えてくれます。
スマートフォンでニュースを追う私たちにとっても、開会式の映像をただ「きれい」と消費するだけでなく、「何を伝えようとしているのか」「どんな背景があるのか」と一歩踏み込んで眺めてみることが、次の会話や発見につながっていきます。
Reference(s):
Harbin prepares for spectacular Asian Winter Games opening ceremony
cgtn.com








