春節前に被災地訪問 習近平氏が遼寧省で見た復興の今
2025年初め、春節(旧正月、中国の新年)を目前に控えた時期に、遼寧省の洪水被災地を国家指導者が訪れました。習近平国家主席が被災住民と直接言葉を交わし、「災後復興」と暮らしの再建を改めて強調したこの動きは、中国の政治と災害対応を読み解く国際ニュースとしても注目されています。
春節まで1週間あまり 新居で迎える初めての年
訪問先となったのは、中国東北部・遼寧省葫芦島市綏中県の朱家溝村です。ここでは2024年8月、記録的な豪雨によって深刻な洪水が発生し、道路の寸断や農地の冠水、住宅の損壊など、生活基盤が大きな打撃を受けました。
県内では10郷鎮の110村で最大18万5,000人に影響が出たとされ、とりわけ低地に位置する朱家溝村は被害が集中しました。70ヘクタールを超える農地が水没し、50戸以上の住宅が損壊。そのうち41戸は修繕では安全を確保できないと判断されました。
この41世帯、計186人の住民は、高台の新しい用地に集団移転することになりました。2024年9月初めから住宅建設が始まり、東北の厳しい冬が本格化する前に「屋根のある暮らし」を取り戻すことが目標とされました。10月24日までに全員が新居への入居を完了し、2025年の春節は新しい家で迎えられる見通しがついていました。
「心配していた」 被災地を訪れた習主席
春節まで「あと1週間あまり」となったある水曜日、厳しい寒さの中で習近平国家主席が朱家溝村を訪れました。習主席は中国共産党中央委員会総書記も務めており、現地では災害後の復旧・復興の進捗や、新居の住み心地、日々の生活水準について住民に直接問いかけました。
習主席は村民に対し、「葫芦島は昨年、大きな洪水被害を受けました。私は皆さんのことを気にかけており、春節の前に会いに来ました」と語りました。ここで言う「昨年」は、2024年に起きた洪水被害を指しています。習主席は現地の状況を確認したうえで「今日見た様子に安心しました」と話しました。
さらに、習主席は「昨年は各地でさまざまな自然災害が起きたが」と、2024年を振り返りつつ、被災地の復旧・復興はきっと良い成果を上げることができると強調しました。「われわれは常に人民を第一に置いてきた。最も困難な時にこそ、人々は党と政府を頼りにできる。困難を乗り越え、家を再建できるよう支える」とも述べました。
各地で続く「災後復興」視察の足跡
春節前に被災地を訪れるのは、今回が初めてではありません。ここ数年の足跡を振り返ると、「災後復興」が一貫したテーマとして浮かび上がります。
習主席は2024年2月、天津市の滴流堡村を訪れ、洪水被害を受けた住民を見舞いました。その際には「国が繁栄するためには、まず人々の生活の安全が確保されなければならない」と述べ、水利・治水インフラの整備を一層進める決意を示しました。
2022年1月には、秋の洪水で被害を受けた山西省の馮南垣村を雪の中で訪問し、「すべての中国の人々に幸福な生活を送ってもらうという中国共産党の決意は、百年以上変わらず、これからも揺らぐことはない」と語りました。
さらにさかのぼると、2008年に大地震が発生した四川省汶川県の震源地・映秀鎮も、習主席が2018年2月に訪れた場所です。ここでも「私の仕事は人民に奉仕することだ」と述べ、被災地の再生と暮らしの再建に寄り添う姿勢を示しました。
13年続く「春節前の現場訪問」というスタイル
今回の遼寧省訪問は、習主席が春節前に現場を訪れるという慣行の一部でもあります。このスタイルは13年連続で続いているとされ、毎年のように農村部や福祉施設など「草の根」に足を運んできました。
2017年1月には河北省張家口市の德勝村で、農家の収入と支出を一緒に計算しながら家計を細かく確認する場面がありました。2016年2月には江西省の神山村で、住民とともに伝統的な餅菓子「糍粑(ツーバ)」作りに参加し、杵で餅をつく作業を「なかなか良い運動だ」と笑いを交えて語ったことも伝えられています。
2014年1月には内モンゴル自治区北部の児童福祉施設を訪れ、聴覚に障がいのある子どもたちと手話で交流しました。こうしたエピソードは、国家指導者が現場で人々と時間を過ごし、対話を重ねることを重視してきた姿勢を物語っています。
最新の新年メッセージでも、習主席は「われわれの前にある仕事の中で、最も重要なのは人民の幸福な生活を確保することだ」と繰り返し強調しました。今回の朱家溝村訪問は、その言葉を具体的な行動で裏付ける一場面と言えます。
被災地から見える「人を中心にした」復興の課題
度重なる自然災害に直面するなかで、中国では被災者の生活再建やインフラの強化が重要な政策課題となっています。遼寧省朱家溝村の事例は、危険な低地から安全な高台への集団移転や、新築住宅の整備を通じて、暮らしの安全と安心をどう確保するかという取り組みの一端を示しています。
同時に、指導部自らが現場に足を運び、被災住民の声を聞くことは、「人を中心にした」政策を国内外に示すメッセージにもなります。気候変動の影響で極端な気象現象が増えるとされる中、大国が災害とどう向き合い、復興を進めていくのかは、国際社会全体に共通する問いでもあります。
2025年の春節を前に新居で新年を迎えた朱家溝村の人々の姿は、生活再建に向けた一歩が確かに進んでいることを物語っています。今後、こうした復興と防災の取り組みが、どのように各地へ広がっていくのかが注目されます。
Reference(s):
Xi Jinping visits flood-affected residents ahead of Spring Festival
cgtn.com








