中国本土の台湾事務トップ、春節前に台湾同胞と交流 両岸の経済一体化を強調
2025年初めの春節(旧正月)を前に、中国(中国本土)で台湾問題を担当する最高位の当局者が、深圳と厦門で台湾のビジネス関係者らと相次いで面会し、両岸の経済・社会の一体的発展を進める方針を改めて打ち出しました。両岸関係の緊張が指摘される中で、現場レベルの交流とビジネスの動きに焦点が集まっています。
春節前の訪問で「祝福」と「一体的発展」をアピール
中国共産党中央委員会台湾工作弁公室と国務院台湾事務弁公室のトップを務める宋涛(ソン・タオ)氏は、春節を前にした平日の火曜日から木曜日にかけて、深圳と厦門を訪問しました。いずれも両岸ビジネスの最前線として知られる都市です。
宋氏は、中国に進出している台湾企業や、両岸交流イベントの会場を訪れ、台湾のビジネス関係者や同胞ら約400人と意見交換を行いました。現場で企業の経営状況や今後の展望を聞き取りながら、政策への要望や提案にも耳を傾けたとされています。
そのうえで宋氏は、中国側として、両岸の経済・文化交流と協力を後押しするために、関連政策や仕組みを今後も細かく改善していく方針を強調しました。キーワードとなっているのは「両岸の一体的発展(integrated development)」です。
「平和」「調和」「より良い生活」という共有の価値観
宋氏は、台湾海峡両岸の人々が共有している価値として、「平和」「調和」「より良い生活を追求する思い」を挙げ、こうした価値観こそが両岸関係の発展を支える基盤だと位置づけました。
同時に、台湾の同胞に対しては、ひとつの中国を認める「一つの中国」原則と「1992年コンセンサス」を堅持し、「台湾独立」を目指す動きや外部勢力の干渉に断固として反対しつつ、交流と協力の拡大、両岸の平和的発展と融合的な進歩の推進に共に取り組んでほしいと呼びかけました。
福建は「両岸融合発展のモデル地区」 人の往来も拡大
宋氏の発言を裏付けるように、台湾ビジネス側からも中国での事業継続に前向きな声が聞かれました。大陸台湾投資企業協会の常務副会長である呉家瑛(ウー・ジアイン)氏は、厦門で開かれた春節交流イベントで「春節の温かい雰囲気に加え、中国の台湾企業・同胞への支援が、福建の台湾企業や台湾の人々に、投資と両岸の一体的発展を継続して支える自信を与えている」と話しています。
福建省は、両岸の融合発展を進める「モデル地区」に指定されており、昨年(2024年)だけで台湾の人々による往来は92万回に達しました。また、福建沿海部と金門・馬祖を結ぶ直行ルートでは8,986便が運航され、延べ137万人が利用したとされています。福建海事局の統計によれば、いずれも前年からの伸び率は、便数で71.2%増、旅客数で78.8%増と、大きく増加しました。
2024年の目標を達成 新たなビジネス機会も
宋氏はさらに、2024年に中国が経済・社会発展の主要な目標を達成し、両岸の経済協力で新たな優位性を形作ったと述べました。その結果、台湾の同胞や企業にとって、中国での関わりを一段と深める新しい機会が生まれていると強調しました。
商務省と税関総署のデータによると、昨年、中国で新たに設立された台湾資本の企業は7,941社に上り、両岸の貿易額は2,920億ドルに達して前年より9.4%増加しました。数字の上でも、両岸の経済関係がなお拡大を続けていることがうかがえます。
広東は台湾ビジネスの「玄関口」 製造からAI・サービスへ
宋氏が訪れた深圳が位置する広東省は、改革開放の最前線であり、台湾に地理的にも近い地域です。台湾の同胞や企業が中国に進出する際の「最初の窓口」の一つとなってきました。
東莞台湾ビジネス協会の会長を務めるジェフ・チェン氏によると、かつて広東に進出する台湾企業の多くは製造業が中心でしたが、現在はサービス産業や半導体、人工知能(AI)といった分野にも強みを生かして参入できるようになっているといいます。
統計によれば、1978年の改革開放開始以来、広東省が誘致した台湾企業は累計で約3万5,000社、投資額は940億ドル近くに達しました。広東は、中国における台湾企業成功の代表例と位置付けられています。
深圳台湾同郷会の会長で製造業の経営者でもある許福賢(シュー・フーシエン)氏は、深圳に移り住んで35年になります。1990年代の改革開放の波に乗って大きな恩恵を受けたと振り返りながら、現在は自動化や技術革新への投資を増やし、時代の変化に対応していると語りました。
日本の読者にとっての意味 「政治」と「日常」をつなぐ両岸関係
今回の動きから見えてくるのは、両岸関係が政治や安全保障だけでなく、ビジネスや人の往来といった日常のレベルでも密接につながっているという現実です。福建や広東の事例は、中国と台湾の経済が引き続き絡み合いながら変化していることを示しています。
半導体やAIなど、日本の企業や社会にとっても重要度が高い分野で、台湾企業が中国でどのような役割を果たしていくのかは、今後も注目すべきポイントです。春節前の交流強化は、その一端を映し出すニュースだと言えるでしょう。
Reference(s):
Mainland official visits Taiwan compatriots ahead of Spring Festival
cgtn.com








