G20は「世界平和の力」に 王毅外相がヨハネスブルクで呼びかけ
G20外相会合で「世界平和と安定の力に」
中国の王毅外相は、南アフリカの経済中枢ヨハネスブルクで開かれたG20外相会合で、G20諸国が世界の平和と安定のための「力」として行動すべきだと呼びかけました。今年は国連創設と世界反ファシズム戦争勝利から80年の節目でもあり、国際秩序をめぐる議論が一段と重みを増す中での発言です。
王毅外相は、リオデジャネイロ・サミットで確認されたコンセンサスに立ち返りながら、中国は各国と協力し、より安全な世界の構築に向けて取り組む用意があると強調しました。
3つの役割を提示:守護者・創造者・擁護者
演説の柱となったのは、G20が担うべき3つの役割です。
- 世界平和の「守護者」
- 普遍的な安全の「創造者」
- 多国間主義の「擁護者」
世界平和の「守護者」として
王毅外相はまず、各国は互いの主権と領土の一体性を尊重し、それぞれが選択する発展の道と社会制度を尊重すべきだと述べました。そのうえで、国家間の対立や国際・地域の紛争は、対話と交渉によって平和的に解決し、陣営対立や内政干渉に頼るべきではないと指摘しました。
さらに、中国やグローバル・サウスの国々が70年前に打ち出した「平和五原則」が、現在の状況の中でも依然として大きな生命力を持っていると強調しました。この原則を土台に、紛争の政治的解決を図るべきだというメッセージです。
「普遍的な安全」の創造者として
次に王毅外相は、人類は運命共同体であり、安全保障も分断できない一体のものだと述べました。特定の国の安全が、他国の安全を犠牲にして築かれるべきではなく、すべての国の正当な安全保障上の懸念を真剣に受け止める必要があると訴えました。
安全保障をゼロサムの発想ではなく、相互に尊重し合う「共通の安全」として捉えるべきだという立場をにじませた形です。
多国間主義の「擁護者」として
王毅外相は、今年が国連創設と世界反ファシズム戦争勝利から80年にあたることに触れ、国際情勢が複雑さを増し、地球規模の課題が目立つほど、国連の権威を守り、その役割を十分に発揮させることが重要だと語りました。
一国主義や排他的な枠組みではなく、国連を中心とする多国間の枠組みこそが、紛争解決や世界的な課題への対応において基盤であるという考え方を示した形です。
ウクライナ危機とガザ情勢への言及
具体的な地域情勢として、王毅外相はウクライナ危機について「和平への窓が開きつつある」との見方を示しました。中国はこれまでも早期の平和的解決を支持してきたと述べ、今後も政治的解決に向けて建設的な役割を果たしていくと表明しました。
ガザで続く緊張については、停戦合意の「継続的で実効的な履行」が欠かせないと強調しました。そのうえで、紛争を根本的に解決しうる唯一の現実的な道は、イスラエルとパレスチナが平和的に共存する二国家解決だと指摘しました。
ウクライナとガザという二つの危機を並べて論じたことは、G20が経済問題だけでなく、平和と安全保障の課題にも向き合うべきだという中国側の問題意識を示しているとも言えます。
「アフリカの瞬間」としてのG20
今回のG20外相会合の開催地ヨハネスブルクは、南アフリカ最大の都市であり、同国の経済の中心地です。王毅外相は、今年のG20首脳会合がアフリカ連合(AU)の正式メンバー入り後として初めてアフリカ大陸で開かれることから、今年を「G20のアフリカの瞬間」と位置づけました。
そのうえで、「アフリカの声に耳を傾け、その関心を汲み取り、その行動を支え、アフリカ大陸の平和と発展のために努力すべきだ」と述べました。中国は、アフリカの人々がアフリカの問題を主体的に解決することを一貫して支持し、外部からの内政干渉に反対する立場を改めて示しました。
広がるG20の議題と今後の焦点
世界経済の協議の場として発足したG20は、いまや安全保障や平和構築、人道危機といったテーマも避けて通れない段階にあります。王毅外相の演説は、その流れの中で、G20を「世界平和と安定のための力」として位置づけようとする試みと見ることができます。
主権尊重や内政不干渉、多国間主義の重視、アフリカを含むグローバル・サウスへの配慮といったキーワードは、今後のG20議論の一つの座標軸になりうるものです。一方で、多様な立場や利害を抱える各国が、どこまで共通の行動に踏み出せるのかは、引き続き注目点となります。
ヨハネスブルクでの外相会合で示された方向性が、今後のG20首脳会合や他の国際会議でどのように具体化していくのか。世界の安全保障環境が揺らぐ中、その行方を静かに追っていく必要がありそうです。
Reference(s):
cgtn.com








