中国第14次五カ年計画とグリーン転換:脱炭素と成長のいま
中国の第14次五カ年計画の4年目までに、脱炭素を柱としたグリーン転換が目に見える成果を上げています。大気や水、森林の質の改善から再生可能エネルギーやグリーンファイナンスの拡大まで、その動きは2025年の世界経済や気候対策にも影響を与えつつあります。
第14次五カ年計画と双炭目標
中国は「炭素排出のピークアウト」と「カーボンニュートラル」のいわゆる双炭目標を掲げ、第14次五カ年計画の期間をグリーン転換の加速期と位置づけています。計画期間の最初の4年間で、グリーンエネルギー、持続可能なインフラ、低炭素なライフスタイルといった分野への投資が広がり、大きなビジネス機会も生まれています。
大気・水・森林で見える環境改善
まず大気環境です。2024年までに、省級以上の都市で「良好」とされる空気質の日数の割合は87.2%に達しました。計画上の目標87.5%にはわずかに届いていないものの、着実な改善が続いており、今後も継続的な取り組みが求められています。
水環境では、より目に見える成果が出ています。2024年時点で、中国全体の地表水のうち90.4%が環境基準であるIII類以上を満たし、目標とされていた85%を上回りました。流域ごとの水質改善や汚染源対策が一定の成果を上げた形です。
森林分野でも進展がありました。2024年の森林被覆率は25%に達し、こちらも計画目標を前倒しで達成しました。森林の拡大は、生態系の回復や生物多様性の保全に加え、二酸化炭素を吸収するカーボンシンクとしての役割も期待されています。
風力・太陽光がけん引するクリーンエネルギー
クリーンエネルギーの拡大は、中国のグリーン転換を象徴する分野です。新疆ウイグル自治区をはじめとする地域では、風力や太陽光などの再生可能エネルギー開発が急速に進んでいます。
国家エネルギー当局のデータによると、11月末時点で中国全体の風力発電設備容量は4億9,000万キロワットに達し、前年同月比で19.2%増加しました。太陽光発電設備容量は約8億2,000万キロワットと、46.7%の大幅な伸びを記録しています。
2013年以降で見ると、風力発電の設備容量は6倍に増え、太陽光は180倍以上に拡大しました。わずか10年あまりで、電源構成の重心が大きく変わっていることが分かります。
雲南省と滇池に見るグリーン転換の現場
中国南西部の雲南省もグリーン転換の先進地域の一つです。同省では、設置済みの発電設備のうち9割超が水力、太陽光、風力などのクリーンエネルギーとなっています。
省都・昆明にある滇池では、かつて深刻な汚染が問題視されていましたが、長年の対策により生態環境が回復しつつあります。2007年以降、湖周辺の植物種は303種、鳥類は175種に増え、湖に生息する魚類も26種となりました。生物多様性の回復は、単なる水質改善にとどまらず、地域の観光や住民の生活の質にも影響を与えています。
グリーンファイナンスと水素エネルギーの台頭
資金面では、グリーンファイナンスの役割が高まっています。2023年には、中国の農業発展銀行が再生可能エネルギーや持続可能な農業などのグリーンプロジェクト向け融資を拡大し、農村部での環境保全や省エネ投資を後押ししました。
次世代エネルギーとして注目される水素分野でも、2024年に新たな支援策が打ち出されました。水素の製造、輸送、利用に関する産業チェーンの整備を後押しすることで、低炭素経済への移行を進める狙いがあります。
2025年の焦点:省エネ、EV、ゼロカーボン都市
第14次五カ年計画の最終盤にあたる2025年は、中国のグリーン転換にとっても重要な一年とされます。今後も、エネルギー効率の向上と炭素排出削減が政策の中心に据えられています。
エネルギー効率の高い設備や省エネ技術の導入を促すために、より厳格な規制とインセンティブの組み合わせが重視されています。企業にとってはコスト負担と同時に、省エネ投資による競争力強化の機会にもなり得ます。
中国は引き続き、2030年までの炭素排出ピークアウトと2060年までのカーボンニュートラルという双炭目標を最優先課題の一つとしています。
2025年には、電気自動車の普及拡大も見込まれています。充電インフラの整備や購入支援などの政策によって市場シェアを一段と伸ばすことが期待されています。
同時に、省エネと再生可能エネルギーを組み合わせたエコフレンドリーな産業団地づくりや、都市開発におけるカーボンフットプリントの削減も重要な柱です。建設やインフラ分野でのグリーン技術の導入が、今後の都市像を左右していきます。
こうした取り組みを通じて、中国は省エネと脱炭素を長期的な優先課題に据えつつ、経済成長との両立を図ろうとしています。
南南協力で共有される環境ノウハウ
中国のグリーン転換は、国内にとどまらず国際協力のかたちにも影響を与えています。近年、中国は120を超える開発途上国から3,000人以上の行政官や技術者を受け入れ、生態環境保護や気候変動への対応に関する研修を行ってきました。
この取り組みは、南南協力の一つのモデルケースとして位置づけられており、環境政策や技術の共有を通じて、グローバルな気候変動対策を後押しする狙いがあります。
日本の読者にとっての意味
中国のグリーン転換は、日本のビジネスや日常生活とも無関係ではありません。再生可能エネルギーや電気自動車、グリーンファイナンスといった分野は、サプライチェーンを通じて日本企業や投資家にも影響します。
また、都市の脱炭素化や産業団地のゼロカーボン化は、日本の自治体や企業にとっても共通の課題です。中国で進む実証や制度設計の動きは、アジアの中で互いに学び合うヒントにもなり得ます。
第14次五カ年計画が2025年に最終段階を迎えるなか、中国のグリーン転換がどこまで深まり、どのように国際社会と結び付いていくのか。今後も、その動きを丁寧に追っていく必要がありそうです。
Reference(s):
Conservation and green transition in China's 14th Five-Year Plan
cgtn.com








