中国と米国の大学生ペンパル、市民外交が生んだ友情の5年 video poster
新型コロナで国際旅行が止まり始めた2020年、中国と米国の大学生をつなぐペンパル・プログラムが立ち上がりました。開始から5年がたった今、太平洋を越える数十組の友情が育まれています。
コロナ禍で生まれたペンパル・プログラム
中国と米国の大学生によるペンパル・プログラムは、市民外交を掲げる非政府組織「Sister Cities of Long Beach」が立ち上げました。エディズ・ティヤンサン記者の報道によると、この取り組みは、新型コロナウイルスの感染拡大で国際旅行がほぼ止まり、対面での交流が難しくなった時期にスタートしました。
本来であれば、留学や短期訪問、スタディツアーなどで行われていた中国と米国の若者同士の交流。その代わりに、手紙やメッセージのやりとりを通じて文化交流を続けようという発想から、このペンパル・プログラムは生まれたとされています。
太平洋を越えて生まれた数十の友情
この5年間で、プログラムを通じて太平洋をまたぐ数十の友情が育まれてきました。中国の大学生と米国の大学生がペンパルとしてつながり、時間をかけて互いを知っていく関係です。
オンライン会議や短いメッセージのやりとりが主流になった時代に、継続的なペンパル関係は、相手の考え方や背景をじっくり理解していく「長い対話」の場になりやすい側面があります。国境を越えたこうした対話は、ニュースやSNSだけでは見えにくい「ふだんの生活」や「同世代の感覚」に触れる機会にもなります。
市民外交としての意味
このペンパル・プログラムは、市民同士の交流を通じて国際理解を深める「市民外交」の一例です。国家や政府のレベルでは、外交や安全保障、経済をめぐる議論が複雑になることがありますが、学生同士の対話は、日常や価値観、将来への不安や期待など、より身近なテーマから始まります。
市民外交には、次のような意味があると考えられます。
- 相手の国や社会を「一つのイメージ」で見るのではなく、具体的な「一人の友人」として感じられるようになる
- 同じ世代の視点から、国際ニュースの背景をより立体的に理解できる
- 将来、ビジネスや研究、文化交流に関わる際の土台となる人間関係ができる
こうした積み重ねは目立ちにくい一方で、長期的には国と国の関係を支える「見えないインフラ」のような役割を果たす可能性があります。
デジタル時代になぜ「ペンパル」なのか
メッセージアプリやSNSで、数秒で世界中とつながれる時代に、あえてペンパルという形式が注目されるのはなぜなのでしょうか。
- 時間をかけて考える習慣が生まれる:すぐに返信する必要がない分、相手のことや自分のことを落ち着いて言葉にしやすくなります。
- 話題が「消費されにくい」:タイムラインのように次々と情報が流れていくのではなく、一通一通のやりとりが残っていきます。
- 言語学習にもつながる:大学生同士の交流であるため、言語の勉強や表現の工夫にも自然と意識が向きます。
デジタルネイティブ世代にとって、ペンパルは「アナログな懐古趣味」ではなく、むしろ情報があふれる時代における新しい学びの手段になり得ます。
日本の読者にとっての示唆
中国と米国の大学生によるこのペンパル・プログラムは、日本の読者にとってもいくつかの示唆を与えてくれます。
- パンデミックのような危機の中からも、新しい国際交流の形が生まれ得ること
- 若い世代が、市民レベルでの国際関係づくりを担っていけること
- オンライン全盛の今だからこそ、「丁寧なコミュニケーション」が価値を持つこと
もし日本の大学や都市でも、同じようなペンパル・プログラムが広がれば、アジアや世界との市民外交を支える新しいネットワークが生まれるかもしれません。
これからの5年をどうつくるか
2020年に始まったこのペンパル・プログラムは、2025年の今、スタートから5年を迎えました。この間に生まれた数十の友情は、数字以上の意味を持っています。互いの国や社会を理解しようとする一通一通のメッセージが、太平洋をはさんだ信頼の土台になっているからです。
国際情勢が変化し続ける中で、市民レベルの静かな交流をどう守り、どう広げていくのか。中国と米国の大学生ペンパル・プログラムは、その問いを私たちに投げかけています。
Reference(s):
cgtn.com








