中国、140トン級再使用ロケット用液体酸素メタンエンジン試験に成功
中国が、再使用ロケット用の140トン級液体酸素メタンエンジンの全機試験に成功しました。中国の商業宇宙や再使用ロケット開発が一歩進んだ形で、今後の国際ニュースとしても注目されます。
今回のポイント
- 推力140トン級の液体酸素メタンエンジンの全機試験が完了
- 中国の現在のオープンサイクル式液体酸素メタンエンジンで最大推力クラス
- 再使用ロケットや宇宙と地球を結ぶ輸送システム、重装備ロケットの中核技術
- 開発から全機試験までのプロセスをおよそ7カ月で完了
140トン級液体酸素メタンエンジンとは
このエンジンは、China Aerospace Science and Technology Corporation 傘下の Academy of Aerospace Propulsion Technology が開発した液体酸素メタンエンジンです。中国の現在のオープンサイクル式液体酸素メタンエンジンの中で、最大の推力を持つとされています。
推力はおよそ140トン級で、開発から全機試験の完了まで、わずか7カ月という短期間で進められました。短い期間で試験まで到達したことは、中国の宇宙推進技術における開発体制の効率化を示すものと言えます。
オープンサイクル式とは、タービンを回すために燃やしたガスを主燃焼室には戻さず、そのまま排気する方式のことです。構造が比較的単純で、信頼性を高めやすいとされるタイプで、再使用ロケットでの運用にも適した形式とされています。
再使用ロケットと宇宙・地球間輸送へのインパクト
今回の140トン級液体酸素メタンエンジンは、再使用ロケットの重要な動力源として設計されています。将来的には、宇宙と地球を結ぶ輸送システム、再使用型打ち上げ機、そして重装備ロケットの開発で中核的な役割を担うことが期待されています。
一般に、ロケットの再使用技術が進むことで、打ち上げコストの低減や打ち上げ頻度の増加が見込まれます。今回の試験成功は、中国がこうした世界的な流れの中で存在感を強めていることを示す出来事と捉えることができます。
90トン級エンジンから商業宇宙シフトまでの流れ
今回の140トン級エンジンの背景には、ここ数年の技術開発の蓄積があります。国有のロケットエンジン開発企業は、2023年から商業宇宙分野に重点を置き始めました。
約1年前の2024年12月には、商業宇宙機向けの再使用型90トン級液体酸素ケロシンエンジンの試験にも成功しています。商業宇宙分野への本格的なシフトを象徴する節目の一つと位置付けられました。
さらに、2024年の政府活動報告では、商業宇宙分野が経済成長をけん引する新たなエンジンと位置付けられました。政策面の後押しと技術開発の加速が重なり合うことで、中国の宇宙産業全体を押し上げる構図が浮かび上がります。
次のターゲットは200トン級液体酸素メタンエンジン
開発を担う研究機関は、今後さらに重いクラスのエンジン開発に力を入れていく方針も示しています。具体的には、再使用を前提とした推力200トン級の液体酸素メタンエンジンの実現を目標に掲げています。
100トン級から200トン級へと推力を高めることができれば、より大型の再使用ロケットや大容量貨物の打ち上げなど、対応できるミッションの幅が広がります。宇宙輸送インフラの基盤技術として、今後の進展が注目されます。
私たちが押さえておきたい視点
- 中国が140トン級の再使用ロケット用液体酸素メタンエンジンの全機試験に成功し、再使用ロケット開発で新たな一歩を示したこと
- 2023年以降、商業宇宙分野へのシフトの中で、90トン級、140トン級と段階的にエンジン技術を積み上げていること
- 商業宇宙が経済成長の新たな原動力と位置付けられ、政策と技術開発が連動していること
- 今後、200トン級エンジンの開発が進めば、宇宙輸送のコスト構造やビジネスモデルが変化する可能性があること
宇宙開発は、科学技術だけでなく、経済や産業競争、国際協力にもつながるテーマです。中国の動きは、アジアと世界の宇宙ビジネスの勢力図にどのような影響を与えるのか。日本や他の国・地域の宇宙戦略とあわせて、これからも丁寧に追っていきたいニュースと言えるでしょう。
Reference(s):
China completes testing of heavy, reusable liquid rocket engine
cgtn.com








