中国で広がる甲状腺の病気への関心 SNS発の共感と支え合い
中国で甲状腺の病気と診断される人が増える中、若い世代を中心に、甲状腺の健康への関心と当事者の声がSNS上で急速に広がっています。背景には、24歳の教師ジョアン・チェンさんのように、自身の体験を率直に共有する人たちの存在があります。
24歳教師の投稿が、中国の若者の共感を呼ぶ
中国のSNS「小紅書(Xiaohongshu)」に、ジョアン・チェンさんが甲状腺の病気との闘いを投稿したのは2022年です。数年たった今も、その投稿には新しいコメントが寄せられ続けています。
チェンさんは、甲状腺ホルモンが関わる病気である「甲状腺機能亢進症」との闘病経験を、ビフォー・アフターの写真とともに紹介しました。写真には、代表的な症状とされる目の突出や首の腫れといった変化がはっきりと写されています。さらに、治療のための薬の影響で体重が10キログラム増えたことも明かしました。
「外見が変わっただけでなく、感情的に引きこもるようになり、自信を失ってしまった」とチェンさんは語ります。その率直な言葉は、多くの利用者の心に刺さりました。
コメント欄には、自らの甲状腺の悩みや似た症状を打ち明ける声が相次ぎ、投稿は次第に、当事者同士が支え合い、情報を交換する場へと変化していきました。
甲状腺の病気は「見えにくい」から「語られる」存在へ
これまであまり話題に上ることの少なかった内分泌(ホルモン)の病気である甲状腺疾患が、今、中国のSNS上で注目トピックになりつつあります。特に、小紅書のようなプラットフォームでは、若い利用者の間で関心が高まっています。
チェンさんの投稿に集まったコメントからは、次のような動きが見えてきます。
- 自分や家族の首の腫れや目の変化を撮影し、「これは甲状腺の病気だろうか」と相談する
- 薬の服用による体重の増減や体調の揺れについて体験を共有する
- 不安や孤独感を打ち明け、似た立場の人同士で励まし合う
こうしたやり取りを通じて、甲状腺の病気は「専門用語でよく分からないもの」から、「身近な人が悩んでいるかもしれないもの」として、若い世代の関心の対象になっています。
見た目の変化が心にもたらすもの
チェンさんが強調するのは、病気が外見だけでなく、心にも影響を与えるという点です。目立つ症状や急な体重変化は、他人の視線を意識させ、自信を奪いがちです。
投稿のコメント欄には、「鏡を見るのが怖くなった」「人前に出るのを避けるようになった」といった声も並びます。SNS上で体験談が共有されることで、同じような不安を抱える人が「自分だけではない」と感じられる場が生まれているとも言えます。
SNSが生む支え合いと、これからの課題
中国で甲状腺の病気への関心が高まる背景には、診断される人が増えていることに加え、こうした個人の発信が連鎖的に広がっていることがあります。SNSは、不安を抱える人が症状や気持ちを言語化し、互いに支え合う場として機能し始めています。
一方で、SNS上の情報だけで自己判断してしまうリスクもあります。実際の診断や治療には医師など専門家の関与が欠かせません。当事者の声をきっかけに病気への理解を深めつつ、信頼できる医療情報とどうつなげていくかが、今後の課題と言えます。
日本の読者への問いかけ
今回の中国の動きは、日本で暮らす私たちにとっても他人事ではありません。体調の変化や見た目の変化を一人で抱え込みがちな若い世代にとって、SNSは重要な「語りの場」になりつつあるからです。
自分や身近な人が体調の違和感を抱えたとき、どのように声を上げられるか。オンラインでどのように支え合えるか。中国の若者たちが甲状腺の病気をめぐって築きつつある輪は、私たちの社会の「聞く姿勢」をあらためて考えさせます。
Reference(s):
Thyroid health awareness surges in China amid rising diagnoses
cgtn.com








