中国・山東の失敗系フードブロガー デザート動画が心を癒やす国際ニュース video poster
中国東部・山東省のデザート店主でアマチュアのフードブロガー、Du Jiankunさんが、失敗だらけのスイーツ作り動画でZ世代の心を癒やしています。甘いデザートと等身大の「失敗」が重なるそのショート動画は、「電子デザート」としてストレスや不安をそっとほぐしてくれる存在になりつつあります。
失敗をあえて見せるフードブロガー
Du Jiankunさんは、山東省でデザート店を営みながら、空いた時間にスマートフォンで料理動画を撮影するアマチュアのフードブロガーです。得意なのは華やかな成功例ではなく、むしろ「うまくいかなかった」デザート作りの過程。その動画をSNSで発信し続けたことで、フォロワーからは「失敗ブロガー(fail vlogger)」という愛称を贈られるようになりました。
動画には、バスクチーズケーキやティラミス、ジャーケーキ、ポップコーンなど、人気のデザートに挑戦する様子が映し出されます。思ったように膨らまなかったり、焼き色がつきすぎたりと、試作はしばしば失敗に終わりますが、Duさんはそのたびに原因を探り、また挑戦し続けます。失敗を隠さず公開し、次の一歩につなげる姿勢が、多くの視聴者の共感を呼んでいます。
「電子デザート」がZ世代のストレスをほぐす
Duさんの動画は、見る人の心をふっと軽くすることから、フォロワーの間で「電子デザート」と呼ばれています。スマートフォンで短い動画を眺めるだけで、実際に甘いものを食べたときのような安心感や満足感を得られる、というイメージです。特に、勉強や仕事、人間関係のプレッシャーを抱えやすいZ世代から大きな支持を集めています。
なぜ、失敗を重ねるスイーツ動画が、ここまで多くの若い視聴者の心をつかむのでしょうか。その背景には、次のような要素があると考えられます。
- 失敗しても笑い飛ばし、また挑戦する姿が、「完璧でなくていい」と教えてくれる
- デザート作りのゆったりした手つきや色合い、音が、見るだけでリラックス効果を生む
- 等身大の店主が登場することで、「画面の向こうの誰か」が身近な存在に感じられる
- フォロワーとのコメントのやり取りが、小さなコミュニティとしての安心感をつくる
テストや残業に追われる日々のなかで、数十秒から数分の「電子デザート」を味わうことは、現実から少しだけ距離をとるミニ休憩のような役割を果たしています。心の余白を確保するための、新しいデジタルなセルフケアの形といえるかもしれません。
ショート動画時代に生まれた新しいヒーリングコンテンツ
近年、世界各地でショート動画プラットフォームが浸透し、料理やスイーツをテーマにしたコンテンツも溢れています。そのなかで、Duさんのように「うまくいかなかった部分」まであえて見せるスタイルは、中国発の国際ニュースとしても象徴的です。成功だけを切り取るのではなく、試行錯誤のプロセスそのものに価値を見いだす視点が、多くの人の心に響いています。
画面越しの小さなキッチンで起きているのは、単なるレシピ紹介ではありません。失敗しても、少しずつ上達していく過程を共有することで、「一緒に成長している」という感覚が生まれます。視聴者にとっては、料理動画でありながら、自分自身の試行錯誤を肯定してくれる心のコンテンツでもあるのです。
日本の視聴者にとってのヒント
日本でも、多くの人がニュースやエンタメをスマートフォンで消費するようになり、SNSを通じた「共感」や「安心感」のあり方が変化しています。Duさんの「失敗系」フードブロガーとしての活動は、そんな時代のなかで、次のようなヒントを与えてくれます。
- 完璧な結果だけでなく、プロセスや失敗を共有することで、より深い共感が生まれる
- 食べ物や日常の小さな楽しみが、心のセルフケアになる
- 一人の発信者の物語が、国や地域を越えて人々の気持ちをつなぐ
Du Jiankunさんの動画は、豪華な演出や派手さよりも、素朴なキッチンと正直な失敗、そしてあきらめない姿勢にこそ魅力があります。忙しい毎日のなかで、私たちもスマートフォン越しにそんな「電子デザート」を味わいながら、自分や周りの人の不完全さを少しだけ優しく受け止めてみる時間を持ってもよいのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








