中国ニュース 成都でスマートロボット実証 教育・観光・交通でテスト
中国ニュース:成都でスマートロボットの実証実験が本格化
中国南西部のテックハブ、四川省の成都市で、教育、観光、公共安全、交通管理などの現場にスマートロボットを実際に投入し、その性能を検証する大規模プログラムが始まっています。本記事では、その狙いと具体的な活用シーンを日本語で整理します。
現場に出るスマートロボットたち
成都市では、成都ロボット産業協会が主催する形で、国内10社のロボットや関連機器を市内各地の「リアルな現場」に配置し、実証を行っています。目的は、現場で鍛えられた実用的なスマートロボットを育て、産業全体の発展を加速させることです。
同協会の李俊杰(Li Junjie)秘書長は、「成都は実際の利用シーンを開き、人に寄り添うスマートロボットを育て、業界のイノベーション拠点をつくる」と述べ、世界中の企業に対して、成都でロボットをテストしサービスを磨き込むよう呼びかけています。
小学校で活躍:あいさつと見守りをロボットが担当
成都のパオトンシュー小学校(Chengdu Paotongshu Primary School)では、2種類のロボットが導入されています。
- 「Xiao Zha(シャオジャ)」:成都Humanoid Robot Innovation Centerが開発した、車輪と二足歩行を組み合わせたロボットで、登校時に子どもたちへ朝のあいさつをしたり、安全に関する注意喚起を行ったりします。
- 四足歩行ロボット:TD Techが開発したロボットで、自律走行による廊下の巡回を行い、校内の安全確保を支援します。
単なる「話題づくり」ではなく、日常の学校運営の一部として組み込まれている点が特徴です。
観光地ではARメガネとホログラムがガイド役に
観光やカルチャーの現場でも、スマートロボットと関連技術が活用されています。成都市中心部の人気スポット、Jinli Pedestrian Street(ジンリ歩行街)では、INMO TechnologyのARメガネが導入され、海外からの訪問客向けにリアルタイム翻訳を提供しています。
すぐ近くの名所Wuhou Shrine(ウーホウ・シュライン)では、ホログラム技術を使ったガイドがルート提案などのインタラクティブな案内を行い、AI搭載ディスプレーが多言語での情報提供をしています。従来の案内板やパンフレットを置き換えるのではなく、よりパーソナライズされた観光体験づくりを目指しています。
交通・治安分野:人型ロボが交通整理、ロボット犬が巡回
都市管理の分野では、人型ロボット「Ultra Magnus」がビジネス街の交差点で自動の「交通担当」として配置され、手足を動かしながら歩行者や車両の流れを誘導しています。このロボットは、成都APLUX Intelligence Technologyが開発した二足歩行型で、金属的な外観を持ちます。
市中心部のTianfu Square(ティエンフー広場)では、複数の四足歩行ロボット、いわゆる「ロボット犬」が巡回し、警備や安全確認に当たっています。24時間稼働が可能なロボットを活用することで、人間の負担軽減と安全性の向上を両立させる狙いがあります。
「シナリオ」から始める成都のスマートロボット戦略
今回の実証プログラムは、単発のイベントではなく、成都市全体の産業戦略の一環として位置づけられています。キーワードは「シナリオ(利用場面)」です。
2025年の今年3月、成都市は医療・ヘルスケア分野で22種類のロボット活用シナリオをまとめたニーズリストを公表しました。続いて同年6月5日には、警察業務向けにパトロールや交通管理などでロボットを活用するための「タスクリスト」を提示しています。
Beijing Institute of Technologyで公共行政学を研究し、同分野のチェア・プロフェッサー(主幹教授)を務めるYin Ximing氏は、成都の取り組みについて「イノベーションの鍵は具体的なシナリオにある」という都市の認識を示していると指摘します。先に「こういう現場で使いたい」という課題を明確にし、その後に技術や製品を合わせていく発想です。
AI・ロボット産業で中国南西部のハブへ
こうした取り組みの背景には、AIとスマートロボット産業を成長の柱に据え、国家レベルのハブ都市としての地位を強化したいという成都市の狙いがあります。
成都のAI産業は、2024年には中核産業だけで1000億元(約139.3億ドル)規模を超えました。成都市は、スマートロボットを含むこの分野の成長率を年30%程度に保ち、2025年には1300億元規模にまで拡大させるという今年の目標を掲げています。
教育、観光、公共安全、交通管理といった日常生活に近い領域での実証は、市民にとってテクノロジーを身近に感じさせると同時に、企業にとっては製品を磨き込む貴重な「リアルデータの場」となります。今後、どのようなサービスが標準化され、他都市や海外へと展開していくのか、2025年以降の動きにも注目が集まりそうです。
日本の読者にとっての問い
今回の成都の事例は、「まず現場のシナリオを開き、その中で技術を育てる」というアプローチが印象的です。日本でも、介護、地方交通、観光など人手不足が課題になっている分野は少なくありません。
- どの現場ならロボットやAIの実証を受け入れやすいのか
- 自治体や企業は、どうすれば「実証の場」を開けるのか
- 市民の安心感やプライバシーをどう守るのか
成都のスマートロボット実証は、こうした問いを考えるうえでの一つの参考事例と言えるでしょう。
Reference(s):
Smart robots undergo real-world testing in SW China tech hub
cgtn.com








