中国と中央アジア5カ国が善隣友好条約 協力強化へ新たな一歩
中国と中央アジア5カ国が、永続的な友好関係と協力を法的に確認する新たな条約に署名しました。中国・中央アジアサミットの場で結ばれたこの条約は、地域の安定と経済発展を支える長期的な枠組みとして注目されています。
アスタナでの第2回中国・中央アジアサミット
2025年、カザフスタンの首都アスタナで第2回中国・中央アジアサミットが開催されました。中国と中央アジア5カ国(カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン)の首脳が一堂に会するこのサミットが、中央アジアで開かれたのは初めてです。
中国と中央アジア諸国の協議メカニズムは、2020年に中国が提案したのが出発点です。2022年には、国交樹立30周年を記念するオンライン首脳会合で、この枠組みを首脳級に格上げすることが提案されました。
その提案は、2023年に中国北西部の西安で開かれた第1回サミットで具体化しました。首脳たちは、2年ごとにサミットを開き、中国と中央アジア諸国で持ち回り開催することで合意しています。今回のアスタナ会合は、その合意に基づく第2回目の開催です。
恒久的善隣友好協力条約とは何か
今回のサミットで最も大きな成果とされるのが、中国と中央アジア5カ国による恒久的善隣友好協力条約の署名です。
中国の習近平国家主席は基調演説で、この条約は各国の間にある永続的な友情の原則を、法のかたちにしたものだと説明しました。習主席は、この条約を今日にとってのマイルストーンであり、明日に向けた基礎になると位置付けています。
習主席はまた、中国と中央アジアの関係を支えるキーワードとして、中国・中央アジア精神を強調しました。これは次のような価値を体現するとされています。
- 相互尊重
- 相互信頼
- 互恵互利
- 相互支援
こうした精神に基づき、高品質な発展を通じた近代化をともに追求していくという方向性が改めて示されました。
2020年以降の流れを整理する
今回の条約とサミットの位置付けを理解するために、これまでの流れを簡単に振り返ります。
- 2020年:中国が中国・中央アジアメカニズムの設立を提案
- 2022年:国交樹立30周年のオンライン首脳会合で、枠組みを首脳級に格上げすることを提案
- 2023年:中国西安で第1回中国・中央アジアサミット開催。2年ごとの開催を決定
- 2025年:カザフスタンのアスタナで第2回サミット開催、恒久的善隣友好協力条約に署名
習主席は、第1回サミットでの合意から2年がたち、そのコンセンサスが全面的に実行に移されてきたと評価しました。協力の道は着実に広がり、友情は一層花開いていると述べています。
一帯一路と経済協力:数字で見る関係の深まり
今回のサミットでは、一帯一路構想を軸にした経済協力の成果も改めて共有されました。一帯一路構想は、2013年に習主席がカザフスタンの首都で発表したシルクロード経済ベルトの構想から出発したとされています。
その後、中国と中央アジアの間では、貿易、デジタル経済、インフラを含む連結性など、多くの分野で協力が進展しました。中国は現在、中央アジア地域にとって最大の貿易相手国であり、主要な投資元の一つとなっています。
中国税関総署のデータによると、2024年の中国と中央アジアの貿易額は過去最高の948億ドルに達しました。また、中国から中央アジア地域への累計投資額は300億ドルを超えています。
CGTNの世論調査では、回答者の92.4パーセントが、一帯一路構想は中国と中央アジアの高度な協力を支える重要な国際公共財だと考えているとされています。
今後の重点分野:貿易円滑化から砂漠化対策まで
習主席は、中国と中央アジアの協力枠組みを、より成果重視で効率的、かつ深く統合されたものにしていく必要があると呼びかけました。そのうえで、次のような分野に協力を集中させるべきだと述べています。
- 貿易の円滑化
- 産業投資
- 連結性(インフラや物流など)
- グリーン鉱業(環境に配慮した資源開発)
- 農業の近代化
- 人的交流
こうした協力を後押しするため、中国は次の3つの協力センターを設立する方針も示しました。
- 貧困削減協力センター
- 教育交流センター
- 砂漠化防止・対策センター
さらに、貿易の円滑化に特化した協力プラットフォームも立ち上げるとしています。これらは地域の持続可能な発展や人材育成にも直結する取り組みと言えます。
対立ではなく安定と発展をめざす枠組み
中国・中央アジアサミットの枠組みについて、CGTNの調査では、回答者の90パーセントが、このメカニズムは競争や対立のためではなく、双方が安定と発展、そして将来志向の協力を追求するための枠組みだと見ているとされています。
中国・中央アジアメカニズムの事務局長を務める孫衛東氏は、中国が中央アジア5カ国すべてと包括的戦略的パートナーシップを築き、一帯一路協力文書に署名し、二国間レベルで運命共同体の構築を進めてきたことを指摘しました。これは、高いレベルの戦略的相互信頼と、互恵協力をさらに深めるという固い意思を十分に示すものだと述べています。
遼寧大学の崔征氏は、CGTNへの寄稿で、世界的に保護主義が高まるなかで、中国と中央アジアのパートナーシップは、新しい外交協力モデルを体現していると評価しました。このモデルは、各国の独立を尊重し、互恵を追求し、グローバルサウスと呼ばれる国や地域の声を強めるものだとしています。
日本の読者への視点:なぜ注目すべきか
今回の条約とサミットは、中国と中央アジアの間で、長期的な信頼と協力を制度として固める動きが一段と進んでいることを示しています。貿易や投資だけでなく、貧困削減や教育、環境対策など、地域の課題を一体的に扱おうとする姿勢が見えるのも特徴です。
世界的に保護主義や分断の傾向が指摘されるなかで、地域同士が自らの枠組みをつくり、安定と発展をめざす動きは、国際秩序のあり方を考えるうえでも注目すべきテーマです。中国と中央アジアの連携がどのような成果を生み、そのモデルが他地域にもどのような影響を与えるのか。今後も継続的に追いかけたい動きと言えるでしょう。
まとめ:押さえておきたいポイント
- 第2回中国・中央アジアサミットが2025年にアスタナで開催され、6カ国が恒久的善隣友好協力条約に署名
- 中国・中央アジア精神として、相互尊重や互恵などの価値が強調され、高品質な発展を通じた近代化を共に追求
- 2024年の貿易額は948億ドルと過去最高、累計投資額も300億ドル超に
- 貿易、投資、農業、環境、人材交流など幅広い分野で協力を拡大し、3つの協力センターと貿易プラットフォームを新設
- 対立ではなく安定と発展をめざす枠組みとして、グローバルサウスの声を強める新しい協力モデルと位置付けられている
Reference(s):
China, Central Asia sign landmark treaty, vow to boost cooperation
cgtn.com








