白斑と生きる北京の24歳アニメーター Colourful Whiteが映す多様性
白いまだら模様が残る皮膚の病気・白斑(ビティリゴ)とともに生きる24歳のアニメーター、Li Jiahaoさん。その個人的な経験が、北京とロンドンをつなぐアニメーション作品として結晶しました。
自身の体験をアニメーションで可視化するこの試みは、見た目の違いと多様性をめぐる国際ニュースの文脈でも静かな関心を集めています。
- 10年ほど前、額に現れた白い斑点が創作の原点となった
- ロンドン芸術大学でキャラクターアニメーションを学び、昨年修士号を取得
- 卒業制作のアニメーションドキュメンタリーColourful Whiteで白斑と向き合う日々を描いた
白斑との出会いが、創作の原点に
Liさんが額に最初の白い斑点を見つけたのは、今から10年ほど前のことです。当時の彼女は、その小さな変化が将来の作品づくりにつながるとは想像もしていませんでした。
思春期から白斑とともに生きることは、外見への不安や他者の視線への戸惑いを伴うことが多いとされています。Liさんもまた、その例外ではなく、自身の身体の変化とどのように折り合いをつけるか、模索を続けてきました。
ロンドンで学び、北京で働く若手アニメーター
現在、Liさんは北京を拠点に活動するアニメーター兼ビジュアルアーティストです。日々の仕事をこなしながら、自分自身のテーマにも向き合い続けています。
昨年にはロンドン芸術大学のキャラクターアニメーション修士課程を修了しました。ロンドンでの学びは、ストーリーをどう構築し、キャラクターにどう命を吹き込むかを徹底的に考える時間だったといえます。国際的な教育環境の中で、自分の身体の物語を作品化するという視点も自然と育っていきました。
卒業制作Colourful Whiteが映す、白斑と日常
修士課程の集大成として制作した卒業制作が、アニメーションドキュメンタリーColourful Whiteです。そのタイトルは、白という色に対する新しい視点を感じさせます。
この作品は、白斑という自身の病気に焦点を当てたアニメーションドキュメンタリーです。10代から続く経験をもとに、白斑とともに生きる感覚を多角的に掘り下げています。
実写ではなくアニメーションを選ぶことで、身体の変化を直接映し出すのではなく、感情や記憶、見えない不安といった内面の世界を柔らかく表現できるのも、この作品の特徴です。視聴者は、作者の視点を通して白斑と共生する感覚を追体験することになります。
見た目の違いをどう語るか
白斑は命にかかわる病気ではない一方で、見た目の変化が本人の自己認識や社会との関わりに大きな影響を与えることがあります。だからこそ、それをどう語るか、どんな言葉やイメージで伝えるかは繊細なテーマです。
Colourful Whiteのような作品は、白斑を持つ人にとっては自分だけではないと感じられる居場所となり、そうでない人にとっては、これまで想像してこなかった視点に触れる入り口になります。国や文化を問わず、見た目の違いをめぐる悩みを抱える人は少なくありません。作品が北京やロンドンという都市をまたいで生まれたことも、その普遍性を象徴しているようです。
アニメーションがつくる安全な距離
ドキュメンタリーというと、カメラを向けて現実をそのまま切り取るイメージが強いですが、アニメーションドキュメンタリーは少し違います。現実をもとにしながらも、絵や動きによって再構成することで、当事者にとっても観客にとっても、ちょうどよい距離感を保つことができます。
Liさんの作品も、実際の出来事や感情を土台にしつつ、キャラクターアニメーションの技術を生かして、それらを物語として届ける形を選びました。その選択自体が、個人的な経験を社会と共有するための一つの工夫だといえるでしょう。
日本の読者への問いかけ
日本でも、肌の色や傷あと、障がい、体型など、見た目に関する悩みは根強くあります。しかし、その一つ一つに対する物語や視点は、まだ十分に共有されているとはいえません。
北京で働き、ロンドンで学んだ24歳のアーティストが、自身の白斑をめぐる経験を作品化したという事実は、日本のクリエイターや観客にとっても示唆的です。自分の身体や生きづらさを作品にすることは、決して特別な人だけのものではなく、誰もが語りうるテーマであることを静かに教えてくれます。
LiさんのColourful Whiteは、一人の若者の物語であると同時に、見た目の違いとどう向き合うかを考えるための鏡でもあります。ニュースやSNSで流れる派手な話題とは対照的に、こうした小さな個人の物語に耳を澄ませることが、多様性を理解する第一歩になるのかもしれません。
スキマ時間に観る短いアニメーションであっても、そこには長い時間をかけて培われた葛藤と工夫が詰まっています。白い斑点から始まったLi Jiahaoさんの道のりは、私たちにとっても、自分自身の見せたくない部分をどのように受け止め、表現していくかを考えるヒントになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








